「名馬」を語る グランシルク~中山マイルの神話~ 2023年9月10日 ひざに置いた フォトグラフあなたの街は出会いの喜びと 涙をくれた──VOICE「24時間の神話」より引用 ちょうど30年前。列島の端北海道のさらに端で、多感で内気な青春を過ごしていたティーンエイジャーの私の一風変わった琴線に触れた曲の1つが、北海道出身のデュオ「VOICE」が歌い上げる「24時間の神話」だった。 歌詞に... 枝林 応一
「名勝負」を語る 鮮やかで密やかな、もう一つの「ワープ」~2013年ラジオNIKKEI賞・ケイアイチョウサン~ 2023年7月2日 突然ですが、皆さんは次の2つのキーワードから、どのレースを思い浮かべるだろうか。 1つ目は「ステイゴールド産駒」 2つ目は「ワープ」 この記事をお読みの方であれば、その場面が脳裏にス~っと浮かんでくることだろう。2012年、皐月賞。中山競馬場の4コーナーで無人の野と化した馬場の内側を実に分かりやすく、ズドドドドドと重戦... 枝林 応一
「名勝負」を語る 「黄金旅程 第二章」、ここに始まる~2006年マーメイドステークス・ソリッドプラチナム~ 2023年6月18日 アフリカンゴールド、エクスパートラン、ザスリーサーティ、スヴァルナ、マイネルヴァッサー、マイネルファンロン、そしてマイネルレオーネ。 自らの走りで、そしてその血の輝きで、私を競馬の魅力に引きずり込んでのめりこませてくれたステイゴールド。中央に籍を置くその直仔は、とうとう7頭になってしまった(2023年6月現在。地方を含... 枝林 応一
「名馬」を語る 檜になった黄金の"あすなろ"。オルフェーヴル初年度産駒の皐月賞馬、エポカドーロ。 2023年4月16日 「あすは檜になろう、あすは檜になろうと一生懸命考えている木よ。でも、永久に檜にはなれないんだって!それであすなろうと言うのよ」 ──井上 靖. あすなろ物語(新潮文庫) (p.38). 新潮社から引用 2018年2月。雨の小倉競馬場。2歳500万下(現在の1勝クラス)特別戦、あすなろ賞。 偶然か必然か、レース名に冠せら... 枝林 応一
「名馬」を語る ステイフーリッシュ - 競走中止を乗り越え、世界の舞台へ。ステイゴールド晩年の代表産駒として、常識を超え続けた国際派。 2023年3月24日 Man knows so much and does so little.(人間は知りすぎるくらい知っているが、それを実行に移すことはあまりにも少ない)R.バックミンスター フラー(1895-1983) 第57回札幌記念。緩やかな3コーナー入り口でソダシが果敢に先頭に立つ。ブラストワンピースが逃すものかと後を追う。桜花... 枝林 応一
それぞれの競馬愛 あの日のふるえを、わすれない~ユーバーレーベン~ 2023年3月17日 2021年5月23日、15時44分。第82回優駿牝馬。 ステイゴールドとゆかりの馬たちをただひたすらに応援し続けている私。自室の片隅、PCの液晶画面にはSNSとJRAのHPを表示し、デスクの傍らに並べた応援馬ゆかりの5枚の馬券に願いを込めながら、私はもう一方の傍らに置いたスマホで競馬中継を見つめていた。83頭目(※)の... 枝林 応一
「名勝負」を語る [2019年・中山記念]ウインブライトによる連覇、そこから巣立った名馬たちの軌跡を振り返る。 2023年2月27日 春は中山。ようよう狭くなりゆく優駿への道、生き残りをかけて若駒たちは日々凌ぎを削り、おのおの道を究めし名伯楽たちは如月の暮れを以て厩の看板を静かに下ろし、めいめい大望を抱きし若人たちが弥生の明けとともに鞭一本で道なき道を切り拓かんと駆け出してゆく、早春。 時は2019年。 冬と春、結びと旅立ち、そして平成から次の時代へ... 枝林 応一
「名勝負」を語る 「最後」の舞台、授けられた翼 - 2007年中日新聞杯・サンライズマックス 2022年12月11日 冬が、来た。キン、と冷えた外気が、頬を刺す。首を竦める。用事を済ませてまっすぐ帰宅の途に就く。帰ったら息子とのプロレスごっこが待っている──。 2022年の冬も、雪の出脚が遅い。 昨冬も初雪は遅かったが、その分をじっくりため込んだ32秒台の末脚を爆発させたが如きドカ雪が幾度も襲い、街は止まった。そして中山の大生垣が如き... 枝林 応一
「名馬」を語る クロコスミア~名は体を表す~ 2022年11月12日 競馬ファンになると、競馬そのもの以外にも意図せず自然に身につく知識がたくさんあると、個人的には思っている。 例えば「的場」「南井」「池添」「御神本」「張田」そして「武」といった、なぜか競馬関係者に特に多いように思われる珍しい苗字があげられる。 そして、レース名に冠せられている「皿倉山」「開成山」「五頭連峰」といった地元... 枝林 応一
「名馬」を語る アルコセニョーラ - いつも笑顔をくれるタフなステイ牝馬 2022年9月10日 もう「アラフォー」を名乗れるタイムリミットが近づいてきた私。 最近はなんだか涙腺が緩みやすくなっているらしく、これも齢のせいか、と感じることが多い。 参観日で真っ直ぐ手を挙げて真剣に黒板を見据える子の姿にこみあげ、このご時世で久方ぶりに会った老父が急に小さくなったように見えてはこみあげ、TVロードショーで身軽になったラ... 枝林 応一