今も駆ける スター"ウマ娘"の血を引く者たち〜今週の新馬戦(10/30,10/31)〜

巷で話題になっているゲームアプリ「ウマ娘 プリティーダービー」。

実際の競走馬をモデルにしたこのゲーム。登場するウマ娘たちの中に現役で走っている馬をモチーフとしたキャラクターはいませんが、子供、孫あるいは親戚にあたる馬が現役で駆けている例はたくさんあります。

そういった競走馬を「ウマ娘 プリティーダービー」から競馬を持った方々にも応援してもらいたい。そんな思いからこの「今も駆ける スターの血を引く者」では、ウマ娘にも登場するキャラクターのモデルとなった競走馬と血縁関係に当たる馬を、その週のレースからピックアップして紹介していきたいと思います。

今週は、2021年の競馬界においては見ることが少なくなったウマ娘関連血統を持つ2頭の新馬を紹介します。

土曜阪神3R ヒトツデモカチタイ

土曜日の阪神ダート1400m戦でデビューするヒトツデモカチタイ。祖母フサイチケリーの兄はビワハヤヒデやウイニングチケットと3強を形成したナリタタイシンです。

ナリタタイシンは「ウマ娘」では体が小さいウマ娘として描かれていますが、モデルのナリタタイシンもデビュー時の体重が422キロと競走馬としては比較的小さい馬でした。

その小さな体から繰り出される”鬼脚”とも言われる末脚がナリタタイシンの最大の武器。それを最大限に発揮したのが1993年の皐月賞でした。

この年の皐月賞は6戦して4勝2着2回と抜群の安定感を誇っていたビワハヤヒデ、鋭い末脚を武器にデビュー2戦目から4連勝で皐月賞に駒を進めたウイニングチケットが人気を分け合い2強を形成しており、ナリタタイシンは2頭とは少し離された3番人気。世間的な評価は「強い馬だけれども、クラシックの主役を張るほどではない」と言う感じが正確なところでしょう。

レースは好位追走から早めに抜け出しをはかるビワハヤヒデを3コーナーから4コーナーのまくりで捕まえに行くウイニングチケットと言う様相。ナリタタイシンは捲っていったウイニングチケットにはついていかず、直線まで自慢の末脚を温存する作戦に出ます。

外々を回したロスが響いたのか、直線の伸びを欠くウイニングチケット。彼らをビワハヤヒデが振り切り、誰もが一冠目はビワハヤヒデが戴冠すると思ったその刹那、ギリギリまで脚を溜めていたナリタタイシンの末脚が爆発。一気にビワハヤヒデを抜き去って逆転で皐月賞を制しました。

この皐月賞のラスト3ハロンのハロンタイム(200m刻みのラップタイム)は11.9-11.8-11.8。残り200mから心臓破りの坂がある中山コースで残り400m~200mに比べて残り200m~ゴールまでのタイムが上がることは珍しく、これはその流れを差し切ったナリタタイシンの末脚がいかに驚異的だったかを示しています。

この皐月賞から世間の「2強」と言う評価は、ナリタタイシンを加えた「3強」と言う評価に変わり、BNW時代の幕開けとなりました。

「バカにした奴らを見返してやる」その思いで走っているナリタタイシンのキャラクターは、「2強」の評価を覆し自らの末脚で「3強」の評価に変えたこのレースを想起してつけられたのでしょうか。

ナリタタイシンは競走生活を終えた後、種牡馬入りを果たしますが、産駒からは重賞を勝つ馬はおろか重賞に出走する馬を出すことなく種牡馬を引退しています。ナリタタイシンの兄弟姉妹からも目立った活躍をする馬は出ていません。その為、2021年の競馬界において「ナリタタイシンの親戚」はレアな存在となっています。

ヒトツデモカチタイには「一つでも勝ちたい」なんて小さなこと言わずに、たくさん勝って再びナリタタイシンの名を世に知らしめる活躍を期待したいところです。

日曜東京5R エリーリング

日曜の東京芝1800mというクラシックを意識した期待馬も多くする条件でデビューするエリーリング。母父はウマ娘ではゲーム内きっての「ドジっ娘」として知られるメイショウドトウです。

メイショウドトウと言えば切っても切り離せないのがテイエムオペラオーの存在。2000年の宝塚記念を皮切りに、天皇賞秋、ジャパンカップ、有馬記念、2001年の天皇賞春と当時の主要中長距離G1で5戦連続テイエムオペラオーに敗れての2着と「あと一歩」のところで常にテイエムオペラオーと言う高い壁を超えられませんでした。

こういう「勝ち切れない馬」の多くが、自身より格下の相手にも敗れたりすることがあるのですが、メイショウドトウにはそういったことが一切なく、G1の前哨戦、金鯱賞やオールカマー、日経賞と言ったレースを取りこぼしなく確実に勝っていました。2000年4月29日のメトロポリタンSから翌2001年4月29日の天皇賞春まで、メイショウドトウは9戦を消化していますが、そのうち先着を許したのはテイエムオペラオーただ1頭。実に1年の間”テイエムオペラオー以外には”一切先着を許さなかったことになります。世が世なら”怪物”と評されてもおかしくなかったメイショウドトウの凄さがここに現れていると思います。

そんなメイショウドトウの”打倒・テイエムオペラオー”の執念がついに結実したのが2001年宝塚記念。このレースはメイショウドトウの鞍上安田康彦元騎手が「今回テイエムオペラオーに負けたら、メイショウドトウの主戦から降りる」と公言し、その覚悟を感じさせるような好位から早め先頭の強気の競馬。これが功を奏しました。加齢の為か、勝負所での反応がやや鈍くなりつつあったテイエムオペラオーを4コーナー手前で一気に突き放してセーフティーリードを取ると、エンジンがかかって大外から猛追するテイエムオペラオーの追い込みをクビ差しのぎ切って優勝。念願のG1タイトルを手に入れました。

結局メイショウドトウは現役生活を通じてG1はこの宝塚記念しか勝つことが出来ませんでしたが、G1を複数回勝った馬に勝るとも劣らない実力を持っていたことは疑いようがありません。歴史に名を残すべき名馬だと筆者は思います。

種牡馬になってからのメイショウドトウはその能力を産駒に伝えることは出来なかったのか重賞を勝つような馬は現れませんでした。母の父としてもその名を見ることはそれほど多くなく、今年デビューする2歳馬の中で「母父メイショウドトウ」と言う馬はエリーリングを含めて2頭しかいません。

エリーリングには再び「メイショウドトウ」の名を広める活躍を期待したいところです。

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