[マイルCS]今も駆ける スター"ウマ娘"の血を引く者たち〜日曜重賞編〜

巷で話題になっているゲームアプリ「ウマ娘 プリティーダービー」。

実際の競走馬をモデルにしたこのゲーム。登場するウマ娘たちの中に現役で走っている馬をモチーフとしたキャラクターはいませんが、子供、孫あるいは親戚にあたる馬が現役で駆けている例はたくさんあります。

そういった競走馬を「ウマ娘 プリティーダービー」から競馬を持った方々にも応援してもらいたい。そんな思いからこの「今も駆ける スターの血を引く者」では、ウマ娘にも登場するキャラクターのモデルとなった競走馬と血縁関係に当たる馬を、その週のビッグレースからピックアップして紹介していきたいと思います。

今週はマイルCSの出走馬から紹介します。

サウンドキアラ

2年連続のマイルCS出走となるサウンドキアラ。母の父は2000年にこのレースを制したアグネスデジタルです。

このレースを勝つまで、アグネスデジタルはそれほど注目を集めている馬ではありませんでした。それまでに重賞を3勝していたとはいえそれは全てダート戦。芝では重賞勝ちはもちろん、条件戦での勝利もなく、ダート馬と言う印象を多くの人が持っていたのではないでしょうか。

事実、このマイルCSでアグネスデジタルの単勝人気は13番人気と低く、単勝オッズ10倍以下が5頭もいる混戦模様とは言え、「アグネスデジタルが勝つ」と思っていた人は多くありませんでした。

この年のマイルCSは前半800m通過タイムが45.3で、マイルCS3番目に速いハイペース。差し・追い込み馬有利な流れになりました。後方で脚を溜めていたアグネスデジタルにとっては絶好の展開になりました。しかし、同じく後方に位置しながら4コーナーで内目の進路を取り上がっていき、直線半ばでは先頭を捕らえんとしていた1番人気ダイタクリーヴァとは異なり、4コーナーに入っても、残り200mになってもアグネスデジタルはまだ後方。アグネスデジタルが勝つとわかってレースを振り返ってみても「ここから本当に届くのか」と思えるようなレース。当時この時点でアグネスデジタルに注目できた人は、アグネスデジタルの馬券を買っていた人も含めていなかったのではないかと思います。

しかし、そこからが凄かった。残り200mのハロン棒のあたりで、鞍上の的場均騎手がキングヘイローの外へと誘導すると、そこからは溜めていたエネルギーを一気に爆発させたような、まるで一頭だけエンジンがついているんじゃないかと思えるような、”鬼脚”という言葉でも足りないくらいの末脚で一瞬でアグネスデジタルは前を飲み込みました。

このレースのラスト600mを200m毎に区切ったいわゆる”ハロンタイム”は11.8-12.2-11.7、ラスト200mでさらに加速していることが分かります。つまり「前を走っている馬がバテているわけではない」にもかかわらず、残り200mで4,5馬身はあったであろう差を逆転してしまったという事になります。この記録にはアグネスデジタルの末脚のえげつなさが表れているのではないでしょうか。

サウンドキアラはインパクトのあるレースを見せることができるのか、注目です。

ホウオウアマゾン

1枠1番を引いた3歳馬ホウオウアマゾン。母の父はアグネスデジタルと同馬主で2001年の皐月賞を制したアグネスタキオンです。

本来ならこのレースには他に2頭の母の父アグネスタキオンと言う馬が出走する予定でした。富士Sでワン・ツーを飾ったソングラインとサトノウィザードです。

ソングラインは今年のNHKマイルカップの2着馬。レベルが高いとされる3歳牝馬路線の代表格で、ここ2戦古馬の牡馬相手に戦った関屋記念と富士Sでそれぞれ3着、1着と結果を残しマイル路線の新星として期待されている馬です。

サトノウィザードは末脚に定評がある馬でここ5戦は全て上がり3F(ラスト600m)が33秒台、もしくは32秒台の好記録を残しており、そのうち4戦はメンバー中最速の上がり3Fを記録しています。富士Sでも9番人気と言う低評価ながら2着に入り、このマイルCSでも穴党の間では秘かに話題になっていた馬でした。

しかし、両者コンディションが整わずマイルCSを回避。富士Sは過去10年で3勝勝ち馬を送り出している最重要ステップレースでもあったので、強敵が揃っているとはいえ出走すれば面白い存在になったのは間違いありません。

アグネスタキオンは父としては数多の名馬を送り出しましたが、母の父としてノンコノユメとワイドファラオ、2頭のG1馬を出していますが、いずれもダートのレースで自身が得意としていた芝のG1はまだ勝てていません。今回は初の芝G1奪取のチャンスでもあったので、この2頭の回避はとても残念に思います。

しかし、ホウオウアマゾンにチャンスがないかと言われるとそうではありません。ホウオウアマゾンも先の2頭に劣らぬ実力馬。G1でまだ結果を出すことが出来ていませんが、G1以外のレースでは一度も馬券圏内を外したことがなく、安定した好成績を残しています。

アグネスタキオンファンの筆者としては、ソングラインとサトノウィザードの分までホウオウアマゾンは頑張ってほしいと願っています。

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