中距離路線の国内最強を決める大一番! 次の時代の主役は誰だ?
今週は天皇賞・秋が行われます。
今年は各世代から有力馬が集まり、非常にハイレベルなメンバーが集まりました。まさに、今の中距離路線における国内最強を決めるレースといっても過言ではないでしょう。少なくとも、今後に向けて大きなポイントになりそうなレースであることは確かです。まずはこのレースの意味合いについて考えていきます。
① 今後競馬界の中心になる馬が決まる
2022年の当初は21年に天皇賞・秋、有馬記念と連覇したエフフォーリアがさらに飛躍すると思われていましたが22年の大阪杯、宝塚記念で思わぬスランプに陥り、現在は有馬記念を視野に建て直し中です。天皇賞・春と宝塚記念を勝ったタイトルホルダーは凱旋門賞へ出走していたため、日本競馬の中距離路線における主役が不在とも言える状況です。有馬記念で改めて前述の2頭との比較が注目されますが、現時点での最強候補を決めるレースになるのは間違いないでしょう。
② 各世代間の比較がここで分かる
このレースは各世代のトップクラスの馬が集まりました。3歳世代からは皐月賞馬のジオグリフ、皐月賞・ダービーで2着のイクイノックス、ダービー4着のダノンベルーガが参戦。さらに4歳世代からはダービー馬のシャフリヤールとオークス馬のユーバーレーベン、札幌記念を勝ったジャックドールらが、5歳世代からは大阪杯を勝ったポタジェに、ドバイターフを勝ったパンサラッサらが参戦し、各世代での有力馬が集いました。
このレースで明らかに強い世代が判明すれば今後の重賞戦線にも大きく影響するのは確かです。
その点でも注目と言えるでしょう。
馬場状態について
菊花賞週の東京競馬場は土日とも芝は良馬場での開催。秋の東京開催では馬場状態が非常に良く、高速馬場での開催が続いています。今週も週中や土曜に少し雨が降る予報が出ていますが、雨量は多くないので前週と同様に高速馬場での開催になるでしょう。
高速馬場での開催となると、今年はジャックドールとパンサラッサがいるので前半から速いペースの流れで進んでいく可能性が高いです。そのまま緩むことなく進むので、コースレコードの1分56秒1に近い高速決着になる可能性が高いと判断します。今回はタイム面から各馬の比較をしていきたいと思います。
タイム面から各馬を比較してみる
基準になるのがジャックドールです。同馬は逃げてそのまま速い流れでペースを持続させていくタイプなので天皇賞・秋でもこれまでと同様のスタイルでレースを引っ張っていく可能性は高いでしょう。そんな同馬の東京芝2000Mで出したタイムを基準にして他馬と比較していきます。他馬に関しては東京芝2000M、1800Mでのタイムを挙げて、1800Mの馬に関してはあと200Mを12秒0で走った時のタイムを表記します。あくまでも参考程度に考えていただくと幸いです。
- ジャックドール 白富士S(リステッド、良) 55キロ 1800M通過:1分45秒0、2000M:1分57秒4
- アブレイズ メイS(リステッド、良) 54キロ 1800M:1分46秒3(200M12秒0を追加すると1分58秒3)
- イクイノックス 東スポ杯2歳S(G2、良) 55キロ 1800M:1分46秒2(200M12秒0を追加すると1分58秒2)
- ジオグリフ 共同通信杯(G3、やや重) 57キロ 1800M:1分48秒1(200M12秒0を追加すると2分00秒1)
- シャフリヤール 共同通信杯(G3、良) 56キロ 1800M:1分48秒0(200M12秒0を追加すると2分00秒0)
- ダノンベルーガ 共同通信杯(G3、やや重) 56キロ 1800M:1分47秒9(200M12秒0を追加すると1分59秒9)
- ノースブリッジ 毎日王冠(G2、良) 56キロ 1800M:1分44秒5(200M12秒0を追加すると1分56秒5)
- ポタジェ 毎日王冠(G2、良) 58キロ 1800M:1分44秒6(200M12秒0を追加すると1分56秒6)
- パンサラッサ オクトーバーS(リステッド、やや重) 1800M通過:1分47秒3、2000M:2分00秒0
ただし、ジャックドールのタイムは55キロのもの。今回のように58キロになった時にどうかという点が焦点になります。パンサラッサと競り合ってかえって全体のタイムが遅くなる可能性がありますが、天皇賞秋でも1分57秒0前後で走る可能性が高いと言えそうです。それに対して他馬はピックアップしたレースが2歳時や3歳春時なので、当時よりも成長している可能性、今回は前半からペースが流れるのでもっと走破時計が速くなる可能性がある馬もいますが、その点での評価をどう上げ下げするかも観戦の上で大きなポイントになるのではないでしょうか。
今開催の東京芝2000Mの傾向を探る
最後、に今開催の東京芝2000Mの傾向を探ってみたいと思います。各馬の能力比較が難しいなら、天皇賞・秋が行われる東京芝2000Mのレースでどんな馬が勝っているのか、という傾向を探っていきましょう。
新馬戦以外の東京芝2000Mはこの秋開催で8レース行われましたが、各項目についてピックアップしていきます。
騎手部門では戸崎騎手が2勝2着1回、ルメール騎手が2勝3着1回が目立ちますが、その他はばらけているのであまり参考にはならず。血統面に関しても2勝した馬がいないので、傾向と呼べる偏りはなかったように思います。ただ、上位に入った脚質については偏りが見られたので取り挙げます。
8レースの3着以内24頭の脚質をそれぞれ分類していくと、
- 逃げ:0勝、2着1回、3着2回
- 先行:0勝、2着4回、3着2回
- 差し:1勝、2着2回、3着3回
- 追い込み:7勝、2着2回、3着1回
と、圧倒的に追い込み馬が結果を残していました。さらにもう一歩踏み込んで、メンバーの中で上り3ハロン1~3位の馬がどんな結果を出していたかというと、
- 上り1位:8勝、2着0回、3着0回
- 上り2位:0勝、2着2回、3着1回
- 上り3位:0勝、2着1回、3着3回
という結果に。今の東京芝2000Mはとにかく上りの速い追い込み馬が結果を残しています。天皇賞・秋では有力な逃げ馬が揃いましたが、鋭い末脚を持つ馬が今の東京の馬場に合うと言えるのではないでしょうか。
いががだったでしょうか?
出走各馬の比較が難しいメンバー構成ではありますが、高速馬場であることや逃げ馬が揃ったことを考えても、ある程度は時計勝負になる可能性は高そうです。どこまで皆さんの参考になったかは分かりませんが、実力の高い馬が揃ってハイレベルなレースになることは間違いないので、そんなレースを楽しめる参考になれば幸いです。レコード決着もあり得るガチンコ勝負を楽しんでいきましょう!
写真:かぼす、安全お兄さん