[オークス]牝馬二冠を目指してリバティアイランドが出陣。 - 重賞プレビュー

オークスの見どころ

21日の東京メインは牝馬クラシック二冠目、オークスが行われます。今年のオークスの見どころは、なんといっても『桜花賞で強さを見せたリバティアイランドが二冠を達成するのか?』という点でしょう。

東京・芝2400Mに替わっても切れのある末脚を出すことができるのでしょうか。
他馬がどう戦うのか、そしてどんなレースになるのか、楽しみです。

前哨戦を振り返る

まずは出走馬の主な前哨戦を振り返っていきましょう。
桜花賞とフローラSについて簡単に振り返ります。

桜花賞 回顧

1着:リバティアイランド 2着:コナコースト 3着:ペリファーニア 4着:ハーパー 5着:ドゥアイズ 6着:シンリョクカ 8着:ライトクオンタム

勝ちタイム:1分32秒1(良)前半800M:45秒9 後半800M:46秒2

前半800Mが45秒9に対し、後半800Mが46秒2。
速めの時計が出る馬場ではありましたが、速いペースで進んでの持続力勝負となりました。
3ハロン目からゴールまで1ハロン11秒台が続いたので、道中のスピードと持続力が問われたレースとなります。ある程度位置を取ってスピードを持続できたコナコースト、ペリファーニアが我慢比べのような競り合いをしていましたが、リバティアイランドが「そんな展開など関係ない」と言わんばかりに外から差し切る強い勝ち方を見せたました。

フローラS 回顧

1着:ゴールデンハインド 2着:ソーダズリング

勝ちタイム:1分58秒9(良)前半1000M:1分00秒8 後半1000M:58秒1

開幕週の高速馬場でのレースだったので、前半1000M通過1分00秒8はキャリアの少ない3歳牝馬と言えどもスローペースといえます。後半1000Mが58秒1と速く、特に残り800Mからゴールまで全て1ハロン11秒台という速い流れで進みました。いわゆるスローで進んで残り800Mからヨーイドンのレースで全体的に内、前で進んだ馬が有利になる展開で、1~3着馬は内、前で進んだ馬。4,5着馬が外から伸びてきているものの、内、前を進んだ馬に押し切られてしまったレースでした。

桜花賞・フローラSを比較すると、レースのレベルとしては桜花賞の方がレベルが高く、先行して押し切るかに思えたコナコースト、ペリファーニアをまとめて差し切ったリバティアイランドの切れは特筆すべきでしょう。現状としては先行するだろうゴールデンハインド、コナコースト、ペリファーニア、ソーダズリングを桜花賞と同様にリバティアイランドが差し切れるかどうか、がポイントになるでしょうか。

馬場状態について

最近は週末になると雨が降るのでG1レース時にどんな馬場状態になるのか悩むことが多かったのですが、今週末も微妙な天気で頭を悩ませることになりそうです。オークスが行われる時間にどのくらい馬場に水分が残っているか判断はつきませんが、やや水分を含んでいるものの良馬場、という状態で行われるのではないかと見ています。つまり、先週の日曜のような馬場ではないでしょうか。ヴィクトリアマイルの馬場状態をイメージするのが良さそうです。

オークス 注目馬紹介

リバティアイランド - 牝馬二冠に向けて死角無し。東京コースでより切れがいきる。

まずは何と言っても注目は、リバティアイランドでしょう。
ここまで4戦3勝2着1回と、ほぼ完璧な成績。特に桜花賞では後方の競馬になりましたが、前が有利な展開を外から豪快に差し切りました。上り3ハロンは32秒9と他馬とは一段違う切れを見せました。

現3歳牝馬世代ではNO.1の能力を持っているであろうことは間違いありません。今回は距離延長が課題になりますが、桜花賞で見せたような後方からの競馬ができれば、直線の長い東京でよりその切れを発揮できるはずです。圧倒的な人気を集めるかと思いますが、その期待に応えられる可能性が高いと言えます。

あえて弱点を探すならアルテミスSで敗れた東京コースであること、桜花賞で後方からになったのは馬自身の判断によるもので偶然性が高い事などが挙げられますが、総合力が高いことには変わりありません。強い勝ちっぷりを期待したい1頭です。

コナコースト - 対抗一番手として。レーン騎手への乗り変わりで逆転なるか?

リバティアイランの高い素質は一目瞭然ですが「逆転候補はいるのか?」あるいは「2,3着候補は誰なのか?」という点で非常に悩ましいのが、今年のオークスではないでしょうか。その1番手が桜花賞2着のコナコーストです。ここまで4戦1勝2着3回と勝ち切れない戦績ですが、力をつけているのは確かです。

桜花賞ではスタートを決めて2番手につけ、直線で早め先頭に立ち後続を抑え込んでいました。勝ったリバティアイランドが究極の切れ脚を見せたので差し切られてしまいましたが、残り50Mくらいまで先頭で粘っていた持続力は評価すべきでしょう。

今回は距離延長に加えてレーン騎手への乗り替わりがどうか、というところが焦点になります。同馬は鮫島駿騎手がデビューから騎乗してきたのですが、この大一番での乗り替わりで力を出し切れるかどうか、やや不安要素ではあります。また、レーン騎手自身も先週は16鞍騎乗し2勝と少し寂しい結果。1番人気に騎乗したのが8回という数字を考えればちょっと物足りない感じがするのも確かです。うまく人馬が噛み合って桜花賞馬を逆転できるでしょうか?

ペリファーニア - 曇り空は最高の贈り物。兄エフフォーリアの無念を妹が晴らすか。

オークス開催日の曇り予報を見て、一番喜んでいるのはペリファーニア陣営ではないでしょうか。
この馬は元々ノド鳴りの持病持ちで、乾燥した空気が合わない体質でした。加えて距離延長になることからスタミナを持続させるのが難しいと言えそうです。

ただ、幸運にもオークス当日は曇り空。雨や曇りの湿度の高さがノド鳴りの症状を軽減すると言われているのでペリファーニアには絶好の天気と言えるでしょう。桜花賞では2着馬のコナコーストに競り負けてしまいましたが、4着以下を2馬身弱離しているので3歳牝馬世代ではトップクラスの力があると言っていいでしょう。兄エフフォーリアという血統面から東京芝2400Mが合うのは確かですし、騎乗する横山武騎手も思い入れのある血統で力が入っているのは間違いありません。

兄が勝てなかったダービーと同じコースで妹が勝利するロマンを期待したいですね。

ハーパー - 東京コースでの鞍上・ルメール騎手。継続騎乗で上積みに期待。

3歳牝馬にとって未知の距離である2400Mの距離ですから、騎手のエスコートはかなり重要なファクターになります。そういう点ではルメール騎手は現役屈指の信頼ができるでしょう。

今更ではありますが、例年「ルメール騎手がどの馬に乗るのか?」という点はレースにおいて重要なポイントであるのは間違いありません。今回のオークスではハーパーに騎乗します。

桜花賞では追走に手一杯になってしまったようですが、今回の距離延長はプラスに働きそうです。長距離馬を育てることに定評のある友道厩舎の馬ということもあって2400Mの距離は合うのではないでしょうか。今年に入って急成長した中でも桜花賞4着と地力の高さを見せました。上積みは大きいですし、ルメール騎手の腕を加味すれば勝ち切れるかどうかはさておき、2,3着の候補としては十分でしょう。

ソーダズリング - フローラSで見せた大器の片鱗。大舞台で花開くか?

NHKマイルカップ、ヴィクトリアマイルと東京実績のある馬が好成績を残していますが、東京コースで行われたフローラS組にも一定の注意は必要でしょう。加えて速い上りを出せる馬が結果を出していました。東京で行われたフローラSからはソーダズリングを推します。

フローラSでは内目の3番手を通っていきましたが、勝ち馬にうまく逃げ切られての2着。開幕週だったこともあって押し切られてしまいましたが、2000Mの距離でも楽に追走できたのは収穫でしょう。

今回はさらに距離延長になりますが、兄にチャレンジカップを連覇したソーヴァリアントがいる血統なので2400Mまでは持つはずです。『レジェンドの立ち回りの巧さと合わせて無視できない1頭』ではないでしょうか。

ヒップホップソウル - ベゴニア賞では後のG1馬とクビ差の接戦。東京適性がいきる展開になれば。

前述したように、ここ2週のG1レースでは東京コース実績のある馬が好走しています。その中で盲点になっているのがヒップホップソウルではないでしょうか。

注目なのは2戦目のベゴニア賞で、このレースでは後にNHKマイルカップを勝つシャンパンカラーにクビ差の2着と接戦をしています。現時点での3歳牝馬と牡馬の力の差は判断がつきませんが、2月のクイーンカップで勝ったハーパーが桜花賞4着。3着だったモリアーナがNHKマイルカップで6着だったことを考えれば、若干ながら桜花賞組の方が上かもしれません。

その点、ヒップホップソウルには未知の魅力がある馬と言っていいでしょう。前走のフラワーカップでは出遅れながらも3~4コーナーでは外を回って追い上げて外から先頭に並びかけました。最後はさらに外から伸びた勝ち馬に交わされてしまいましたが、長くいい脚を使っていたので持続力とスタミナのあるところを見せました。雨が想定以上に降れば前走の経験がいきるでしょうし、長くいい脚を使えるのは東京向きなので一発を期待してもいいのではないでしょうか。

ここで取り挙げた他にも2戦2勝のミッキーゴージャスやフローラSを勝ったゴールデンハインドなどがいて好メンバーが揃った今年のオークス。リバティアイランドが中心で強さを見せて勝ち切る可能性は高いですが、2,3着にはどの馬が入ってもおかしくないレースです。一生に一度しかない3歳牝馬たちの晴れ舞台。どんな走りをしてくれるのか楽しみです。この記事が皆さんの参考になれば幸いです。

写真:かぼす、win

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