[桜花賞2021]今も駆ける スター"ウマ娘"の血を引く者たち〜桜花賞編〜

巷で話題になっているゲームアプリ「ウマ娘 プリティーダービー」。

実際の競走馬をモデルにしたこのゲーム。登場するウマ娘たちの中に現役で走っている馬をモチーフとしたキャラクターはいませんが、子供、孫あるいは親戚にあたる馬が現役で駆けている例はたくさんあります。

そういった競走馬を「ウマ娘 プリティーダービー」から競馬を持った方々にも応援してもらいたい。そんな思いからこの「今も駆ける スターの血を引く者」では、ウマ娘にも登場するキャラクターのモデルとなった競走馬と血縁関係に当たる馬を、その週のビッグレースからピックアップして紹介していきたいと思います。

今回紹介するのは牝馬クラシックの第一弾、桜花賞です。

桜花賞とは?

牝馬クラシック三冠の始まりを告げるG1競走です。

イギリスのクラシック競争「1000ギニー」を倣って作られた、日本における「八大競争」のひとつに数えられる伝統的なレースです。阪神競馬場が改修される2006年以前はスタート直後にコーナーがあるコース形態だったため、前半のポジション争いが激しくなって「魔の桜花賞ペース」と呼ばれるほどペースが速くなることも多く、波乱が起きやすいとされてきたレースでした。しかしコースが改修され、スタートからしばらくは直線を走る形態に変わってから、ややその傾向は薄らいできています。

ウマ娘に登場するキャラクターの中では1992年にニシノフラワー、2007年にダイワスカーレットがこのレースを制しています。ちなみに現実の競馬でもウマ娘のゲームでも「女帝」と呼ばれるエアグルーヴは熱発のためこのレースを欠場していて、ウマ娘のゲーム内でエアグルーヴを育成していると桜花賞前のイベントで聞ける「風邪など引いて熱発というわけにはいかんからな」と言うセリフは、このことを意識して作られたものではないでしょうか。

ホウオウイクセル

今年の桜花賞出走馬の中で「ウマ娘と馴染みが深い」馬と言えば、何と言ってもホウオウイクセル。

父の母がエアグルーヴ、母の父がスペシャルウィーク、母の母がメジロドーベルと、祖父母4頭のうち3頭がウマ娘のモデルとなっている競走馬という、豪華な血統背景を持っています。さらに言えば、スペシャルウィーク母方の祖父はマルゼンスキー、メジロドーベルの父はメジロライアンですから、ウマ娘に登場する馬の血が5頭分も、この馬に流れていることになります。

また、エアグルーヴ、メジロドーベル、スペシャルウィークの3頭は、それぞれ生まれた年が1年違いであり、同じ時代に走った馬。実際にエアグルーヴはメジロドーベル、スペシャルウィーク両方と対戦経験があります。

その中でも個人的に印象深いのが、1998年のエリザベス女王杯。
この年のエリザベス女王杯はエアグルーヴとメジロドーベルの2頭が人気を集めていました。とはいえ、牡馬とのレースでも結果を出していたエアグルーヴの方が、牝馬限定戦を中心に結果を残していたメジロドーベル(ゲーム内におけるメジロドーベルの「男性が苦手」という設定は、これを想起させます)よりもやや格上という扱い。単勝オッズもそれを示すようにエアグルーヴが1.4倍、メジロドーベルが4.6倍とやや開きがありました。
しかし、レースでは4コーナーで外をまくって上がってきたエアグルーヴとは対照的に、最内1番枠を利してピッタリとラチ沿いを回ってきたメジロドーベルが、直線もラチと馬の間をこじ開けてくるように伸びる根性を見せ、見事に優勝。エアグルーヴにも劣らぬ力を持っていることを証明しました。

そんな彼女の血を引く馬ですから、競り合いにも屈しない根性を持っているのではないでしょうか。
様々なウマ娘のモデルとなった名馬の子孫であるホウオウイクセルですが、特にメジロドーベルファンの方には推してほしい1頭です。

ブルーバード

ブルーバードは、アニメ版ウマ娘の第一期で主人公を務めたスペシャルウィークの子孫にあたります。
過去にこの連載記事で何度かスペシャルウィークの血を持つ馬は紹介してきましたが、それらの馬とこの馬が決定的に違うのは、ブルーバードが『父祖から続く直系の子孫である』と言う点です。

種牡馬スペシャルウィークは牝馬は「ジャパニーズスーパースター」と称されたシーザリオやG1を6勝したブエナビスタと派手な活躍を見せた馬がいる一方、牡馬のG1勝利は3つに留まっています。現状、スペシャルウィークを父祖直系の始祖とする種牡馬は、ブルーバードの父であるリーチザクラウンと、2014年の菊花賞馬トーホウジャッカルの2頭しかいません。さらにはその2頭も、種付け頭数がやや減少している傾向にあります。

言葉を選ばずに言うと、スペシャルウィークの父祖直系は風前の灯火とも言える状態です。
しかし、もしもこのブルーバードが桜花賞を勝つようなことがあれば、父であるリーチザクラウンの価値も高まることが予想され、さらにはその血が繋がることも考えられます。そうすれば遠い未来の競馬ゲームで「ナスルーラ系」や「ロイヤルチャージャー系」と同じように「スペシャルウィーク系」と言う文字列が並ぶ可能性も出てきます。

前述のホウオウイクセルもスペシャルウィークの血を引いていますが、父祖直系にこだわる方などはこちらのブルーバードが、幸せを運ぶ青い鳥になってくれるかもしれません。

その他のウマ娘関連血統馬は、下記の通りです。

  • ストライプ:父の母がエアグルーヴ
  • ストゥーティ:曽祖父がグラスワンダー、母方の祖父がゼンノロブロイ
  • シゲルピンクルビー:曾祖父がグラスワンダー
  • ソングライン:母の祖父がアグネスタキオン

さらに、ウマ娘関連以外にも、今年の桜花賞は希少性の高さと神々しいほどの白さを誇る「白毛」という種類の毛色を持つソダシや、父母ともに三冠馬と言う超良血で桜花賞親子制覇を狙うアカイトリノムスメなど、話題性が豊富な一戦です。間違いなく一見の価値があるレースだと思いますので、競馬に少しでも興味が湧いた方は是非見ることをお勧めします。

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