[POG2020-2021]注目馬紹介~一口クラブ・ウインレーシング編~

POG2019-2020シーズンにおいて、「ウイン」の冠名を見かけることが何度もありました。

  • ウインマリリン(父:スクリーンヒーロー)フローラ賞:1着、ミモザ賞:1着、オークス:2着
  • ウインマイティー(父:ゴールドシップ)  忘れな草賞:1着、デイジー賞:1着、オークス:3着
  • ウイングレイテスト(父:スクリーンヒーロー) デイリー杯2歳S:2着、ニュージーランドT:3着
  • ウインカーネリアン(父:スクリーンヒーロー) 皐月賞:4着

クラシック路線で存在感のある馬をこれほどまでに送り込んだというのは、偉業と言ってよいでしょう。
古馬としてもウインブライトが香港G1を2勝、ウインムートが交流重賞・さきたま杯を勝利するなど、快進撃が続きました。
今年のPOGでも、ウインの勢力は見逃せません。

昨年ウマフリのウイン2歳馬特集では「今年のウインは『新種牡馬産駒』『スクリーンヒーロー産駒』がアツい!」とイチオシし、ウインマリリンを写真付きで紹介していました。
上述した活躍馬たちの父を見る限り、大的中と言って良いのではないでしょうか?

では、今年のウインで注目すべき産駒にはどのような傾向があるのでしょうか。取り上げたいのは「ウイン馴染みの血統」そして「あのベテラン種牡馬の産駒」です。

今年は「ウイン」馴染みの血統がアツい!

2011年以降、ウインを経営しているコスモヴューファーム。それ以降、ウイン所属馬は自家生産馬が中心となっています。
上述した今年活躍している4頭(ウインマリリン・ウインマイティー・ウイングレイテスト・ウインカーネリアン)は、いずれもコスモヴューファーム生産馬です。
まずはそうしたコスモヴューファーム生産馬の屋台骨ともいえる、ウイン馴染みの血統馬から3頭ご紹介しましょう。

ウインリブルマン

父:エピファネイア
母:ウインリバティ
母父:ダンスインザダーク

母のウインリバティは、その名前からもわかる通り「ウイン」所属馬でした。
ウインンリバティは現役時代、本格化前の3歳時にチューリップ賞へ挑戦し5着に食い込んでいます。人気のハープスターにこそ負けましたが、2番人気プリモンディアルや3番人気シャイニーガールには先着を果たしました。また、古馬になると3連勝を記録し、エリザベス女王杯にも参戦しています。こちらも勝利は出来ませんでしたが、終始先頭でレースを引っ張るという存在感たっぷりな走りを披露しています。6歳になっても愛知杯で6着に食い込むなど長い間重賞戦線で活躍した馬でした。

このウインリバティはもちろんのこと、ウインリバティの母フリーヴァケイションも、「ウイン」馴染みの繁殖牝馬と呼べるでしょう。
障害競走で勝ち星をあげたウインリベロをはじめ、何頭もの「ウイン」所属馬を送り出している繁殖牝馬です。カナディアンオークス3着という実力を、しっかりと子孫に伝えています。

デアリングタクトで大成功を収めた、父エピファネイアにサンデーサイレンスの3×4クロスを持つ注目の配合です。
血統から見ても、成長力も十分ありそうな素質馬です。

ウインチェレステ

父:ドゥラメンテ
母:コスモチェーロ
母父:Fusaichi Pegasus

こちらは「ウイン」ファンでなくとも目にしたことのある血統馬ではないでしょうか。
安定感抜群の名繁殖・コスモチェーロの産駒です。
そう、冒頭でも紹介したウインマリリンの母です。

過去送り出した多くの馬が中央で複数勝ち星をあげているだけでなく、素晴らしいのは「どの種牡馬との配合でも良い馬が出せる」という点ではないでしょうか。
初仔・マイネヒメルは父ロージズインメイで中央4勝をあげていますし、マツリダゴッホ産駒のウインマーレライはラジオNIKKEI賞を制覇しています。ウインマーレライは勝ち星こそ3つですが、ホープフルS・ニューイヤーS・ディセンバーSといったオープン競走でいずれも掲示板に食い込むなど、しっかりとした実力を持つ競走馬でした。
他にもウインヴォラーレ(父ステイゴールド)、イペルラーニオ(父ディープインパクト)も中央で3勝をあげています。

昨年推奨したウインマリリンも、これまで重賞未勝利だった「スクリーンヒーロー産駒の牝馬」でしたが、見事そうしたネガティヴな傾向をはねのける活躍を見せてくれました。
今年の父は、未知数でありながらも期待値が非常に高い新種牡馬・ドゥラメンテ。果たしてウインチェレステは、どのような走りを見せてくれるでしょうか?

ウインアグライア

父:マツリダゴッホ
母:ウインアルテミス
母父:Arch

上記2頭の母と比べて、この馬の母・ウインアルテミスは知名度で劣ります。
それもそのはず、ウインアルテミスは中央・地方未勝利馬。今回繁殖に上がって初めての仔が、このウインアグライアなのです。
こちらはこれからの「ウイン」を発展させるかもしれない1頭としてピックアップしました。

ウインアグライアの祖母Walker’s Galは名種牡馬ヘクタープロテクターの全妹。全姉にも1000ギニー・英チャンピオンSなどを制覇しカルティエ賞最優秀3歳牝馬に輝いた名牝・Bosra Shamがいます。さらに半兄には仏2000ギニー勝ち馬のシャンハイ、甥っ子にはリュパン賞勝ち馬のシーロがいる、超良血馬。同じ牝系からは、アルゼンチン共和国杯などを制覇したトレイルブレイザーやダート重賞戦線で活躍したドリームキラリといった、日本での活躍馬も見られます。
このウインアルテミスを中心に、これから新たに広がっていきそうな牝系を、今から注目するのも楽しそうです。

他にも、ビッグレッドファーム→コスモヴューファームという流れをくむウインプロスト(母:コスモネモシン)は、そろそろ活躍馬を出しても良い母だけに注目です。
また、POG向きかはわかりませんが「ウイン」馴染みの血統と言えば、ウインバリアシオン産駒は外せません。ウインレヴェランス(母:レナリッチ)は青森県産馬ですが、今後の成長次第では面白い存在になりそうな1頭です。

今年注目の種牡馬はあのベテラン輸入種牡馬

昨年度のこのシリーズで「注目種牡馬」としてピックアップしたのはスクリーンヒーローでしたが、今年はロージズインメイをピックアップします。
ロージズインメイといえば2005年のドバイワールドカップなどを制覇した活躍馬で、引退と同時に日本へと輸入された種牡馬です。
JBCスプリント勝ち馬ドリームバレンチノや、弥生賞勝ち馬コスモオオゾラ、白山大賞典勝ち馬マイネルバイカなどダートを中心に多くの活躍馬を輩出してきました。
さきたま杯・兵庫GTと交流重賞で2勝したウインムートや、ファンタジーSで3着のウインソワレなど、ウインとの相性も良い種牡馬の1頭です。
気が付けばロージズインメイも今年で20歳。さらなる大物輩出を目指して、今年は素質溢れる産駒をたくさん送り込んでくれました。

ウインアルバローズ

父:ロージズインメイ
母:マイネピュール
母父:ジェニュイン

グッドルッキングな1頭です。
全兄コスモソーンパークは重賞・オープンクラスで活躍した馬です。
オープン競走・ニューイヤーSを制覇したほか、小倉大賞典では2着に食い込んでいます。さらに豪華メンバーが集まった都大路Sでは1着エイシンヒカリ、2着グランデッツァ、4着マジェスティハーツ、5着マウントシャスタといった実力馬たちの中に割り込んで、3着と好走しました。
もう1頭いる全兄マイネルファラオンは、中央でこそ勝ち星は上げられませんでしたが、地方移籍後は18勝をあげる息の長い活躍をしました。 久々のロージズインメイとの配合ですから、期待値は非常に高いです。

実は日本競馬を長く支えてきた超名牝系ビユーチフルドリーマーの子孫で、血統に秘める底力も十分に感じます。
現在「母父ジェニュイン」で最高賞金額を獲得しているのは全兄コスモソーンパークですから、まずはその偉大な兄を超える活躍を目指したいところでしょう。

ウインクラリティ

父:ロージズインメイ
母:ヒカルダイヤモンド
母父:アグネスタキオン

母のヒカルダイヤモンドは高い素質を持つ牝馬で、中央で2勝をあげています。本来であればもっと活躍できていたはずの逸材で、骨折での引退が悔やまれる牝馬でした。
中央の条件戦で10戦連続で1番人気に推されるなど、競馬ファンからの評価も高い1頭だったのではないでしょうか。
この牝系からは中山金杯で2勝をあげたベストタイアップ、京成杯勝ち馬ノーモアスピーディ、名古屋グランプリで2着のクラシカルノヴァ、関谷記念で2着のエアラフォンらが活躍を収めています。

ウインクラリティのいとこであるローズプリンスダム(父:ロージズインメイ)がレパードSを制覇しています。今回の配合は、上述したウインアルバローズ同様に「おかわり」的な配合と言って良いのではないでしょうか。こうした過去の実績に基づいた「おかわり」配合があるからこそ、今年のロージズインメイ産駒は期待値が一段階引き上げられています。
ロースプリンスタムは、デビューこそ芝で勝利している馬ですが、その後ダートのオープン競走で鳳雛S・ラジオ日本賞などを制覇していることからも、よりダートに適性がある馬でした。ローズプリンスダムの母父はシンボリクリスエスでしたが、ウインクラリティの母父はアグネスタキオン。母父アグネスタキオンといえばノンコノユメやワイドファラオなど、やはりダート適性も高い血統です。
……と、ここまで書くとダート一本の馬に聞こえるかもしれませんが、ウインクラリティは芝でもいけそうな雰囲気のある馬です。芝ダート両睨みのききそうな馬として、頭に入れておきたいです。

ウインカンターレ

父:ダノンシャンティ
母:サマーソング
母父:ロージズインメイ

こちらはロージズインメイが「母父」として登場です。
ダノンシャンティとの配合が試されました。

1950年うまれの輸入牝馬テキサスクインから繋がってきた牝系で、ここに至るまでにトサミドリ・ファバージ・クリスタルパレス・パレスダンサーと非常に渋い種牡馬と配合されてきました。ウインカンターレの祖母にあたるマサノチャーミング(父:パレスダンサー)は知る人ぞ知る道営競馬の活躍馬で、道営記念・赤レンガ記念といった地元の大きな重賞を制覇しています。そうした活躍により、200頭以上いるパレスダンサー産駒のなかで最も賞金を稼いだ馬となりました。
そして母父パレスダンサーで最も賞金を稼いだのが、中央ダート1200m戦で4勝をあげたサマーソング、つまりウインカンターレの母です。
貴重な血を繋ぐという意味でも応援したい1頭です。

また、この配合の面白さは、クロスにあります。
ダノンシャンティの祖母Glorious Songは、種牡馬Devil's Bagの全姉です。Devil's Bagと言えばタイキシャトルを輩出しただけでなく、ロージズインメイの父である Devil His Dueも輩出しています。
つまりは、父ダノンシャンティ×母父ロージズインメイは全姉弟クロスの4×3が実現する配合なのです。この馬の活躍次第ではロージズインメイ産駒の繁殖牝馬たちにとってトレンドの配合になるかもしれません。


また、上記であげた馬以外にもウインガヴァナー(父:ルーラーシップ)や、ウインシュクラン(父:スクリーンヒーロー)といった期待馬がいる今年のウイン。

あなたにとっての「大物候補」は見つかりましたでしょうか?
今年も、ウインから目が離せません!

写真:ウインレーシングクラブさまHP

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