春の嵐が吹き荒れ、記録的な大雨に見舞われた日本列島。
週末にかけて降った雨は競馬にも影響を及ぼし、各3場の競馬場は馬場コンディション悪化の中でレースが行われた。

中山競馬場も天候雨の不良馬場でレースが進み、2年連続不良馬場で中山牝馬ステークスを迎えた。

雨、不良馬場、そして急坂と、牝馬にとっては苦しい環境が揃ってしまった今年の中山牝馬ステークス。
これら逆境に打ち勝ち、栄冠を手にするのは果たしてどの馬か。

レース概況

人気は割れ加減で4頭が単勝10倍圏内となった。
その中でも1番人気は9番のドナアトラエンテ。ここまで掲示板はおろか馬券圏内も外したことのない安定感が、重賞初挑戦ながら注目を集めた。
続いてこのレースと同じ中山芝1800mのオープン特別2着のサトノダムゼル、昨年のクラシックを盛り上げたリアアメリア、これがラストランとなるアルーシャがそれぞれファンに支持されてレースを迎えた。

スタンド前でのゲートインが終わり、レーススタート。
各馬揃った飛び出しから先行争いへと移る。

まずは中枠の各馬から11番のロザムールが先手を主張。
そして2番手に今回は先行策を打ったスイープセレリタスが続いた。
その後ろ3番手でリリーバレロとドナアトラエンテが並んで追走。4番手から中団に賭けてサトノダムゼル、リアアメリア、アルーシャと人気各馬が揃って前を伺った。

縦長となって向こう正面へ。

前半1000mのペースは62秒5と馬場状態も相まってかなり遅い流れ。
3コーナーを迎えるころには馬群がギュッと固まってきた。先頭はロザムールが譲らずキープ。番手でスイープセレリタスとドナアトラエンテの5枠2頭が上昇し、連れて後方から連覇を狙うフェアリーポルカもするすると上がってきて直線へ。
後続の馬は泥で真っ黒になりながら前へと迫ってくる。

先頭は譲らずロザムール。一杯になったスイープセレリタスを交わしてフェアリーポルカが2番手から前へと迫る。この2頭のマッチレースに見えたが坂を駆け上がってから後続の末脚が冴える。
13番ランブリングアレーがホウオウピースフルを連れてグングン前へと迫ってきた。
逃げるロザムールを、ランブリングアレーがとらえたところがゴール板。

並んでのゴールインとなったが、わずかに外から追い込んだランブリングアレーが先着。
愛知杯2着からリベンジ達成の初重賞制覇となった。

各馬短評

1着 ランブリングアレー (武豊騎手 7人気)

2週連続重賞制覇を狙う武豊騎手の手綱で、見事な重賞初制覇となった。

道中は中団で脚を溜める競走。
最後の直線では入口こそジリジリとした脚だったが、坂を駆け上がってからは末脚が爆発した。

厳しい条件を乗り越えての戴冠は、強さの証明。
クロノジェネシスやデアリングタクトといった一線級にどう立ち向かうか注目だ。

2着 ロザムール (北村宏司騎手 5人気)

圧巻の粘りを見せたロザムールが2着に食い込んだ。

道中は一切先頭を譲らず、直線でも競りかけたスイープセレリタスを封じる強さを見せた。ランブリングアレーには交わされたものの、後続のフェアリーポルカには差させない粘り脚を披露。後続が迫ったレースの中で見せた根性は今後も重賞戦線で楽しみな脚であった。

3着 フェアリーポルカ (和田竜二騎手 6人気)

連覇を狙ったフェアリーポルカは3着となった。

道中は後方もまくり上げるようにしてポジションを上げ、3番手で直線に向いた。
良い脚で前へと迫ったもののあと一歩及ばず、3着入線という結果に。
しかしながら、中山での安定感は現役屈指のもの。広大なコースでも好走を期待したい。

総評

嵐が吹き荒れた中山牝馬ステークスは、ランブリングアレーの重賞初制覇となった。
過酷な中戦い抜いた16頭は各馬それぞれが力を出し切った戦いであったし、結果を残した馬は次への自信につながっただろう。ハイレベルで激戦必至な牝馬戦線はさらなる高みへと邁進していく。

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