[重賞回顧]偉大なる先輩の系譜を辿る〜2021年・朝日杯セントライト記念〜

3連休最終日の9月20日。
この日はJRAアニバーサリーデーとして中山・中京の2場開催が行われた。
各場のメインレース前には10年前の年度代表馬オルフェーヴルと20年前の年度代表馬ジャングルポケットの名を冠したレースも行われるなど、観客制限がある中でも「記念日」を盛り上げるイベントも実施。そんな記念日のメインレースを飾るのはこちらも偉大なる名馬を冠したレース「セントライト記念」だった。

秋の入り口から本格化したトライアル戦線。
中山から始まる菊花賞トライアルは果たしてどのようなレースとなるのか。

レース概況

3着までに菊花賞への優先出走権が与えられるセントライト記念。今年は14頭が名を連ねた。

東の総大将エフフォーリアは中距離戦線へ進み、西の総大将シャフリヤールは神戸新聞杯に進んだためG1馬の出走は無かったものの、中山コースで実績を積んだ馬が数多く見受けられた。

1番人気に支持されたのは横山武史騎手騎乗のタイトルホルダー。
中山で行われた弥生賞ディープインパクト記念の勝ち馬で、皐月賞でも2着に入線するなどこのメンバーでは実績最上位。先行力としぶとさを兼ね備えた実績馬へ支持が集まった。

2番人気は戸崎圭太騎手騎乗のソーヴァリアント。
こちらはまさに、夏の上り馬と言える。
北海道シリーズで連勝を飾り、前走の藻岩山特別は楽勝の内容。鞍上は戸崎騎手に乗り替わったが、夏の成長度が期待を持たせた。中山でも勝利経験があり、逆転の対抗格に推された。
他では京成杯を制したグラティアスや昨年のホープフルステークス2着のオーソクレースなど中山巧者が集った。激戦必至のトライアルレースとなった。

ファンファーレの後拍手が沸き上がった中山競馬場。
14頭が一斉にスタートを切った。まずは先行争いに移る。
真ん中からタイトルホルダーとノースブリッジがのぞき、さらにワールドリバイバルが大外から押し上げて先頭を奪った。さらにルペルカーリアやグラティアスもポジションを上げ、先行勢はかなり流動的な動きとなった。

注目のオーソクレースとソーヴァリアントは中団前でレースを進める。
中山競馬場らしく3コーナーから各馬が動きを見せた。

特に動きが良かったのはソーヴァリアントで、中団からグラティアスの外を回って先団まで取り付く。

4コーナーから直線。
コーナーワークからルペルカーリアが先頭に立つ。
しかし一気に後続が強襲。ソーヴァリアントが楽な手応えで先頭を奪い取った。

このまま突き放しにかかったソーヴァリアントだが、一頭大外から追い込む馬がいた。

末脚を溜めていたアサマノイタズラだった。
ソーヴァリアントを捕らえ差し切ってのゴールイン。まさに奇襲の末脚勝負。

見事な重賞制覇だった。

各馬短評

1着 アサマノイタズラ (田辺裕信騎手 9人気)

スプリングステークス2着など、中山で実績を積んでいたアサマノイタズラ。
今回は後方に構えての末脚勝負だった。直線で大外に進路を持ち出すと豪脚一閃。
ソーヴァリアントをとらえて勝利を手にした。

まさに奇襲ともいえる末脚勝負。今後の戦い方を広げる勝利にもなっただろう。

2着 ソーヴァリアント (戸崎圭太騎手 2人気)

直線一度は抜け出したソーヴァリアントは差されての2着となった。
しかし内容はまさに横綱相撲と言ってよい。

自ら3コーナーで動き出し、直線では一度突き放す強さを見せた。
敗れはしたものの夏競馬で見せた強さは本物。今後の走りに期待がかかる。

3着 オーソクレース (C.ルメール騎手 5人気)

3着には馬群を縫って追い込んだオーソクレースが入った。
道中は中団やや前目を追走。ソーヴァリアントに合わせて前段に進出すると馬群を縫って3着に入り込んだ。

2歳時のホープフルステークス以来の実戦だったが、何の問題もなし。
菊花賞戦線に、まあた1頭楽しみな馬が登場した。

総評

セントライト記念は、アサマノイタズラの勝利で幕を閉じた。

アサマノイタズラの勝利でまた関東から菊花賞戦線の主役が誕生したとも言える。末脚勝負がはまったアサマノイタズラは戦法に幅が出たトライアルになり、ソーヴァリアントやオーソクレースにとっても改めて能力の高さを実感できるトライアルとなった。

来週の神戸新聞杯とあわせて、菊花賞はよりレベルの高い戦いが繰り広げられるだろう。

いよいよ、菊花賞が近づいてきた。

写真:shin 1

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