サマースプリントシリーズ第3戦北九州記念。
灼熱の小倉競馬場を舞台に繰り広げられるスピード決戦は、夏の小倉開催における名物競走となっている。
今年もフルゲート18頭が参戦し、ド迫力のスプリント戦が展開された。中でも今年の北九州記念の注目はモズスーパーフレアの存在だ。今年の高松宮記念で着順変動はあれどG1初制覇を果たしたモズスーパーフレア。同じく高松宮記念でG1初制覇となった名コンビ松若風馬騎手を背に、下半期初登場となった。北九州記念には昨年も参戦していたが、その時は先行しての3着。生まれ変わったスピードキングがリベンジを果たすかどうかに、競馬ファンの視線が画面越しから向けられた。

レース概況

今年の北九州記念もうだるような暑さの中行われたが、馬場状態については稍重の発表となった。

向こう正面のポケット一からのスタート。18頭の精鋭がゲートに入り、ゲートオープン。
スタートダッシュがカギとなるスプリント戦。揃ったスタートの中まず飛び出したのはアイビスサマーダッシュの覇者ジョーカナチャン。
1馬身飛び出すも馬群の真ん中からダッシュをつけてモズスーパーフレアが交わし去り先頭を奪った。
続くのはゴールドクイーンとラブカンプー。人気の各馬はトゥラヴェスーラが中団、タイセイアベニールが後方寄りの追走となった。

前半600mは32秒4。
モズスーパーフレアが逃げたレースではここ1年で最も早い流れとなった。

残り400mを切って4コーナー。ここで先頭のモズスーパーフレアとジョーカナチャンが後続を振り切ってマッチレースに持ち込んだ。すぐさま追い出しにかかる後続各馬。しかしながら中々差が詰まらない。
残り200m地点でも3番手の馬ですら先頭のモズスーパーフレアとは4馬身近い差があった。逃げ粘りを図るモズスーパーフレア。

しかし残り200mのハロン棒を過ぎたあたりから様相がガラッと変わった。

4番手から追っていた赤い勝負服の馬がはじけるような脚を繰り出し、瞬く間にモズスーパーフレアを捕まえたのだ。
その馬は、レッドアンシェル。
残り100m付近で先頭に立つと鞍上福永祐一騎手が手綱を緩める余裕も見せた。
昨年のCBC賞以来の勝利は、豪脚一閃のレースとなった。

各馬短評

1着 レッドアンシェル (福永祐一騎手 8人気)

約1年ぶりの勝利で、復活ののろしを上げた。
道中は中団やや前目で飛ばす先行勢を見る形で競馬を進めた。直線では4番手辺りまで押し上げると残り200mから豪脚を披露。モズスーパーフレアの連勝を阻止した。
昨年CBC賞を制覇してから約半年の休養の後復帰したレッドアンシェル。
今年は万全な状態で秋の中山決戦に挑む。

2着 モズスーパーフレア (松若風馬 1人気)

G1からの連勝とはいかなかったものの、随所でパワーアップの可能性を感じたレースであった。本文でも紹介したが前半600m通過タイム32秒4は、昨年制したオーシャンステークスに匹敵する速さで、G1レースで記録したペースよりも早いものだった。そんなハイペースでも直線目いっぱい粘れたのは好材料だろう。
春秋スプリント制覇に弾みをつけた。

3着 アウィルアウェイ (川田将雅 10人気)

後方待機のアウィルアウェイが最後3着に躍り出た。
道中は13番手付近とかなり後方からのレースとなったが、3.4コーナー辺りから進出し、直線では勝ち馬と同タイムの上りでモズスーパーフレアに詰め寄るも、わずかに及ばず3着となった。
今年重賞初制覇を果たした同馬も中山決戦に虎視眈々だ。

総評

無観客ながら、今年の北九州記念は迫力ある電撃戦となった。
モズスーパーフレアの復帰戦は2着となったが、それでも秋につながる素晴らしいパフォーマンス。
勝ち馬のレッドアンシェルは前走2着から着実にステップアップし、見事な重賞制覇となった。いよいよサマーシリーズも終盤戦。サマーシリーズ王者は、そして秋の中山決戦に主役として挑むのはどの馬なのか。
注目のスプリント路線は、まだ続く。

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