よく競馬ファン同士で「人生で最も好きな競走馬は?」といった問いがあります。

アーモンドアイ、ディープインパクト、スペシャルウィークを始めとした超有名馬……。ツインターボやブロードアピールのように強烈な脚質で多くのファンを熱狂させた馬……。
競馬ファンの数だけ、好きな競走馬がいると思います。私にとっての「好きな競走馬」も、勿論いるのです。

私が初めて競馬に触れたのは、2017年の宝塚記念。
当時トップホースとして人気を集めていたキタサンブラックが出走するということで、友達に連れられ人生初の競馬場に向かいました。
初めて買った馬券は見事外れたのですが、当時の私は「ギャンブルだしこんなもんか」としか考えていなかったのを覚えています。

しかし競馬場にいた多くのファンの皆さんは違うようでした。
「まさかキタサンブラックが負けるなんて……」
「クラウンが勝ったよ!!!」
まさに、十人十色の反応でした。

馬主さんや調教師さん達が馬達の成績に一喜一憂するのは理解ができたのですが、1ファンがどうしてそんなにも競走馬に感情移入できるのかが、当時の私には理解ができませんでした。

しかし1年後、私も「そちら側」の人間になるのです。

まだ当時は、想像もつかなかった、全くの別人に。

宝塚記念から約3か月後、とあるコンテンツを親友に紹介されました。

「ウマ娘」という、有名競走馬を擬人化するというコンセプトのコンテンツです。
私はそこで、1頭の競走馬を知るきっかけと出会います。そのゲームのHPを流し読みしているときに、1頭──いや1人の女の子が目にとまったのです。

それが、ヒシアマゾンでした。この出会いが僕の人生を大きく変えてくれました。
過去の記事と繰り返しの表現になりますが、褐色で紺髪ロングの美少女──これが、私がヒシアマゾンを初めて見た時の印象でした。

そして、ウマ娘としてのヒシアマゾンを好きになるうちに、競走馬としてのヒシアマゾンにも興味が湧き、色々なことを調べるようになりました。ヒシアマゾンの生い立ち、戦績、ライバル、血統……。
調べることすべてが新鮮で、競馬ってこんなに面白くて奥深いものなんだと知ることができました。

元々は軍資金と新聞片手に競馬場に向かっていた私が、いつしか、お昼ご飯代とカメラだけを持って競馬場に向かうようになっていました。昔から写真好きだったのもあり、馬券は殆ど買わずに競走馬の写真をひたすら撮ることに楽しみを感じるようになったのです。

このように競馬スタイルが変わった私ですが、ウマ娘のとある描写を見て、もう一つのことにチャレンジしたくなりました。その描写というのが、ヒシアマゾンが寮長として他のウマ娘たちを支えていく姿です。
この姿を見て、私も何か競走馬達にできることはないかと考えるようになりました。

あくまで一般人の私にできることとは何だろうと考えているところに、ウオッカの写真集発売というニュースが飛び込んできました。「これだ!」と内心叫びました。自分が好きな写真の技術もいかすことができますし、何より馬そのものをテーマにできる点も理想的に感じたのです。

そして私は1頭の元競走馬に、写真のモデルになってくれないかと依頼をしました。

その競走馬の名前は”ハルウララ”。競馬を知らない人でも知っているような、高知競馬を救ったアイドルホースです。引退馬活動をなさっているソフト競馬様の計らいで、ハルウララが住んでいるマーサファーム様をご紹介いただき、企画内容も快く受け入れて頂きました。
そして牧場へ赴いたものの、ハルウララ自身との撮影交渉は難航。尻尾でカメラを叩かれるなどこのままでは難しいかと思われる瞬間もありましたが、最終的には人参10本と引き換えに撮影をご快諾いただき、撮影を順調に進めることが出来ました。

その結果生まれたのが「ウララのしあわせ」という写真集。
少額ではありますが、その売り上げは養老牧場に寄付させていただきました。

余談ですが、マーサーファームにヒシアマゾンの長男であるヒシアンデスも住んでおり、生まれて初めて1人で騎乗した馬がヒシアマゾンの長男という、贅沢な体験もできました。
これも何かの縁だったのかもしれません。このように1頭の競走馬との出会いが、私の人生を大きく変えてくれました。

一部の方は競馬をあくまで「ギャンブル」として捉えているでしょうが、私は競馬を通じて多くの競走馬に出会い、多くの人に出会うことができました。

もし競馬に出会えていなかったら、どんな淡白な人生になっていたのかな、と考えることも多々あります。

個人ができる範囲では限られていますが、もっと競馬の素晴らしさ・奥深さ・面白さを、過去の自分のように「競馬=ギャンブル」と捉えている方に伝えていけたらいいなと思います。

この記事を読んで頂いた競馬ファンの皆様も、ぜひ競馬のすばらしさをお友達や、SNSを通じていろんな人に伝えていただけたら嬉しいです。

写真:スオミアッキ

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