秋に行われる女王決定戦「エリザベス女王杯」。
過去にはスノーフェアリーなど外国馬の勝利もある国際的な側面を持つレースで、ここを勝てば世界に名をとどろかせることも夢ではないと言える。
今回は、3歳にして一気に牝馬の頂点に立った1頭の名牝と、2013年のエリザベス女王杯について振り返っていく。

この年のエリザベス女王杯は、G1馬5頭を含む18頭が出そろった。

その中で主役を担ったのは3歳馬メイショウマンボであった。3走前の優駿牝馬でG1初制覇と共に世代の頂点に立ったメイショウマンボは、その後ローズステークスを挟んで挑んだ秋華賞も制覇。牝馬2冠で世代の頂点に立った。さらに鞍上の武幸四郎騎手に久しぶりのG1タイトルをもたらしたというドラマ性にも魅力を感じる1頭で、彼女にとってはこのコンビネーションも大いなる強みだった。

これが初めての古馬との対戦。
ヴィルシーナなどの強敵相手に、G1連勝を伸ばせるのか。
名コンビが、淀のターフに乗り込んだ。

重馬場での京都競馬場。
スタンド前からのスタート。
ゲートが開くと、好スタートを切ったエディンが先頭に立つ。連れてラキシスやセキショウが先行集団にとりつき、内外離れた先行争いが展開された。

メイショウマンボも先行集団に加わり、ヴィルシーナはメイショウマンボをマークする位置に待機した。
3番人気のデニムアンドルビーは指定席の後方待機と、早めに隊列は決まった。

1000m通過が62秒7とかなりスローペース。馬場の悪さを物語っている。距離や坂越えに加えてこの馬場状態。過酷な条件であることは間違いない。

──そんな逆境を跳ね返せるのは、どの馬か。

迎えた4コーナー。先頭走るエディンめがけて内外離れて各馬が殺到する。内からハナズゴール、外からは8枠2頭セキショウとラキシスが追い込む。さらに大外からは2枠ながらメイショウマンボが突っ込んでくる。

激戦の差し合戦はメイショウマンボがまとめて差しきるが、そこにラキシスが追いすがる。
さらには猛然と追い込んだアロマティコがやってくるも、メイショウマンボがそれらを完封。

最終的には1馬身半の差をつけてゴールイン。
3歳とは思えない余裕の走りで3つ目のタイトルを手にした。

重馬場ということもあって、泥をかぶりながらの壮絶なレースだった。
そんな中メイショウマンボは内枠ながら大外から追い込む豪快な勝利。古馬をも撃破し見事最強クイーンの座に就いた。

まさに1頭の3歳牝馬が、女王の座を手にした瞬間であった。

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