不来方賞は1969年に創設された歴史あるレース。
一時は岩手競馬のダービー格にも位置付けられていた。
レースの位置づけは歴史を重ねるに連れて変わってきたが、2024年からはダートグレード競走に格上げされることになった。

22年に発表された「全日本的なダート競走の体系整備」。その中で目玉施策とされたのが、新たな「3歳ダート三冠」の創設だった。交流重賞の黎明期にはユニコーンステークス、スーパーダートダービー、ダービーグランプリの3競走による「三冠」が存在していたものの、ジャパンダートダービーの創設などにより短命で終了。長らくダートでは3歳馬が出走できるレースが少なく、中央競馬の芝路線に比べて一歩遅れをとっていた。

そこで、芝=中央、ダート=地方と役割を明確にし、新たな競走体系の整備に着手する。南関東のローカル重賞かつクラシックレースであった羽田盃、東京ダービーをJpnIに昇格。ジャパンダートダービーはジャパンダートクラシックに改称のうえ10月上旬に移設し、先の2競走とあわせて「新・三冠」を形成した。3レースすべて勝利すれば、賞金と達成ボーナスをあわせて3億円。中央競馬のクラシック競走にはさすがにおよばない賞金額ではあるものの、明確な目標レース、路線が作られた。また、ジャパンダートクラシックの勝ち馬には、JBCクラシックへの優先出走権も付与。これにより、古馬路線との合流もスムーズになり、より世代交代のサイクルも活性化されることだろう。

あわせて前哨戦も整備された。不来方賞は、秋の地方名物重賞として親しまれたダービーグランプリと統合したうえで、JpnII格付けを取得。ジャパンダートクラシックへのステップレースに指定され、中央、地方の所属を問わず、勝ち馬には同レースへの優先出走権が与えられることになった。記念すべき初年度は中央馬5枠、地方馬11枠の最大16頭で争われる。

斤量は別定で、牡馬・セン馬5  6kg、牝馬2kgの設定。JpnI勝ち馬であっても同じ負担重量で出走できることから、今年は不在だが春の2冠を制した馬が始動戦に選ぶことも考えられる。いずれにせよ、今年から本格的に始まった三冠路線において、重要な立ち位置を担っていくであろうことは間違いない。

また、ダートグレード競走になっても、岩手三冠の最終戦というポジションは変わらず。今年は無傷8連勝中のフジユージーンが史上3頭目の快挙に挑む。対するはJRAから鳳雛Sを楽勝したカシマエスパーダや、ホープフルS3着や若駒S勝ちの実績があるサンライズジパングなど。ホッカイドウ競馬からは、ブラックバトラーとパッションクライの実力馬2頭が参戦する。

格上げ初年度から好メンバーが揃った一戦。ジャパンダートクラシックや、その先の古馬GI戦線に向けて、見逃せないレースになりそうだ。

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