[重賞回顧]ジャンプの先に見える栄光へ〜2021年・中山グランドジャンプ〜

中山競馬場で行われる障害のJ-G1競走「中山グランドジャンプ」。

皐月賞前日に行われる春のジャンプチャンピオン決定戦は、8頭を迎えて開催された。
昨年はなかった拍手と歓声の下でレースが行われ、大竹柵障害を飛び越えたときに大きな拍手が競馬場を包む光景が帰ってきた。

新緑の季節にジャンプの王に立つ馬は、果たしてどの馬か。

レース概況

出走馬は8頭ながら、それぞれが様々な路線で実績を積み上げた実力馬・実績馬というメンバー構成だった。

特に注目は2頭の対決。

「オジュウチョウサンvsメイショウダッサイ」だ。

言わずと知れたジャンプ界最強の王者・オジュウチョウサン。
手にしたタイトルは数知れず、平地のG1有馬記念にも出走を果たした、正に稀代のアイドルホース。このレースを勝てば同一レース6連覇という前代未聞の大記録達成が懸かった一戦となった。

対するはメイショウダッサイ。
昨年の中山グランドジャンプでオジュウチョウサンの2着に敗れたのちに、重賞3連勝。
昨年暮れの中山大障害では、自身初のG1タイトルも手にした。
ただし中山大障害にはオジュウチョウサンが出走していなかったため、G1の舞台でオジュウチョウサンへのリベンジを成し遂げるための一戦になった。

王者が防衛か、それとも世代交代か。

曇り空の下ジャンプG1のファンファーレが鳴り響いた。

レースの方はめまぐるしい展開となった。
平地の重賞でも実績のあるタガノエスプレッソがレースを引っ張ろうとするもオジュウチョウサンがぴったりと付け、先頭が入れ替わりながらレースが進む。そこにスマートアベックスも絡んで、先団は3頭となった。
連れてケンホファヴァルトとメイショウダッサイが追走。マイネルプロンプト、シンギングダンサー、ヒロシゲセブンが後方集団となった。

大障害コースに入り、大竹柵障害、大いけ垣障害を各馬が飛越。
無事全馬が大障害コースをクリア。

8頭がいよいよレースのクライマックスを迎える。
タガノエスプレッソが先頭を奪い返す。一方で、じわじわとメイショウダッサイがポジションを押し上げ、スマートアベックスを交わし去る。
オジュウチョウサンは苦しくなり、後方に下がって直線に向いた。

最後の障害を飛越。
そこからのメイショウダッサイの伸びは、段違いだった。

粘るタガノエスプレッソと追いすがるケンホファヴァルトを難なく置き去りにし、リードを広げゴールイン。
見事4連勝で、ジャンプG1を連覇した。

各馬短評

1着 メイショウダッサイ (森一馬騎手 1人気)

J-G1連覇。それも他馬を寄せ付けない圧勝劇だった。

終始入れ替わる先団を見続け、最終3コーナーから徐々に上昇。直線入り口で先団を捕まえるとあっさり抜け出してゴールインとなった。

王者を競り落としての勝利。
新時代の王者として、メイショウダッサイの連勝ロードは止まらない。

2着 ケンホファヴァルト (熊沢重文騎手 5人気)

メイショウダッサイと共に中団で追走した。

ラストは先団に加わりタガノエスプレッソをとらえたものの、メイショウダッサイには届かずの2着となった。

こちらは中山大障害から連続の2着。
しかしそれは能力の表れだ。

メイショウダッサイにリベンジへ。挑戦はこれからも続く。

3着 タガノエスプレッソ (植野貴也騎手 3人気)

オジュウチョウサンやスマートアベックスと演じた激しい先頭争いの末、3着に食い込んだ。

最終的には3着にはなったが、それでもあの壮絶な争いから考えると驚異的な粘り腰だろう。
平地でも実績のあるタガノエスプレッソ。重賞連勝の脚は伊達ではない。

総評

このレースの終了後、SNSのトレンドには「全馬無事完走」という文字が上がった。

まずは4250mを走り切った8頭に敬意を表したい。

そして勝利を収めたメイショウダッサイは、王者という称号が相応しい走りだったと言えるだろう。

オジュウチョウサンも一度は後方に下がりながらも5着まで盛り返した。
その走りはまだ「衰えた」とは言わせない走りだっただろう。

多くの方に感動を届けた、素晴らしいレースであった。

写真:shin 1

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