ウマフリ読者の皆様こんにちは。今日のコラムの本題に入る前に……というか、すでに半分は本題なのですが、ひとつ蘊蓄を披露させてください。
競走馬エピファネイアの名前の由来となった「エピファニー」は公現祭といいまして、カトリックでは一般的に1月6日が祝日となるそう。
そして、公現祭を祝って食べるお菓子が、ガレット・デ・ロワという焼き菓子です。洋菓子の専門家である知人のパティシエに聞いたところ、家庭で出されるガレット・デ・ロワにはフェーヴという陶製の小さな人形が一つ入っていて、切り分けられたガレット・デ・ロワにフェーヴが入っているとその人は幸運が舞い込んでくるのだそうです(諸説あり)。
エピファネイアの産駒にガレットデロワと命名された時点で、オーナーサイドの期待値の高さは否が応にも伝わってきます。
そして、Twitterアカウントやコミュニティ活動報告でお伝えした通り、今年、クワイトファインに3頭めの種付けオファーがあり、無事に受胎が確認されました。この馬がエピファネイア産駒のガレットデロワ号です。今年出産したバトルクウも受胎が確認されておりますので、原稿執筆時点では2頭が受胎したことになります。
ガレットデロワの血統の素晴らしさについては、ネットニュースにもなったくらいですから読者の皆様にもご納得いただけることと思います。父エピファネイア、母父ディープインパクト、母母はダート短距離の追込馬として一世を風靡したブロードアピール……。近親にはワグネリアンの名前もあります。
種付けの話を聞いた時点では、正直なところクワイトファインには勿体ないレベルの牝馬だという思いを活動報告に記載しましたところ、支援者の方からお叱りを頂戴しました。お叱りはご尤もである一方で、もしこの馬がマーケットブリーダーの所有馬だったなら、クワイトファインとの配合という選択肢は100%なかった、というのも現実です。
しかし、現実は変えられます。変えるチャンスが来ているのかも知れません。
今年、数多の繁殖牝馬が種付けをしたなかで、受胎がネットニュースになったのはアーモンドアイとこの馬ガレットデロワくらいではないでしょうか。
私も多少話題にはなるだろうとは予想していましたが、知らないうちにネットニュースに取り上げられるとは思いませんでした。
そして、このまま順調に育って来春に無事産まれてくれれば、マスメディアで取り上げられる機会も多くなるでしょう。1歳になればPOGでも人気になるかも知れません。
クワイトファインの1つの強みとして、サンデーやミスプロの濃い繁殖牝馬でも配合しやすい点が挙げられます。
そして、産まれる前からこれだけの話題を集められる種牡馬ですから、今回のように水準以上の繁殖牝馬を提供していただければ、今のサラブレッドのビジネスモデルから考えて、いくらでもビジネスチャンスはあると思うのです。
もちろん、それはクワイトファイン自身も同じことで、正直なところサラリーマンいち個人が手弁当でプロジェクトを運営するのも色々な意味で限界があります。この馬が1年でも長く種牡馬を続けられる体制を構築し、私がいち馬主として繁殖牝馬の確保に専念(とは言え年1頭が限度ですが)出来るようになれば、活動の幅も広くなります。
当プロジェクトはまだまだ自転車操業の状況ではありますが、今回のガレットデロワ陣営からの種付けオファーと、それに伴う多くの波及効果は、競馬サークルからの懐疑的な評価(というより無視・黙殺)を覆す1つの切っ掛けになると思います。いや、覆していかなければなりません。
それ以前の問題として、今回のネットニュースでクワイトファインのことを知っていただいた方も多いようです。知られていない、ということは運営として努力不足を恥じなければなりませんが、一方で知名度が高まれば高まるほど、ビジネスチャンスが広がるということでもあります。
幸運のフェーヴが、種牡馬クワイトファインに、そしてバイアリーターク父系にもたらされることを願って。
まずは、まだ受胎していないイットーイチバンも受胎して、来年三頭の産駒を送り出せるよう、そして三頭のうちどれか、後継種牡馬の夢を託せる牡馬が誕生してくれることを祈ります。
写真:Horse Memorys