[弥生賞]テイエムオーシャン、バウンスシャッセ、ワントゥワンら名牝の産駒が激突。 - 重賞プレビュー

皐月賞と同じコースで行われる皐月賞トライアル。
実績馬の成長やいかに?

5日の日曜中山では皐月賞トライアルのディープインパクト記念が行われます。

過去には、レース名にもなったディープインパクトをはじめ、フジキセキ、スペシャルウィーク、ヴィクトワールピサといったG1馬が多数ここから飛躍していきました。近年ではタイトルホルダーやアスクビクターモアなど、長距離で活躍する馬を輩出するレースに変わりつつあるため、皐月賞に直結するとは言い難くなっています。それでも、皐月賞と同コースのトライアルなので注目のレースと言えるでしょう。

今年の弥生賞出走馬は良血揃い!
母の名前に懐かしさを感じる馬が多数出走。

今年の出走メンバーも10頭とトライアルにしては寂しい頭数ですが、実績を積んだ馬が出走しているのは確かですし、何より期待の良血馬が例年よりも多くいるというのが特徴でしょうか。それでは有力馬を見ていきましょう。

トップナイフ - 実績は出走メンバーでNo.1! 立ち回りを含めて注目の1頭。

メンバーの中で一番といえる実績を誇るのが、トップナイフです。

ホープフルSではハナ差の2着。重賞勝ちこそないものの既に2勝を挙げていますし、京都2歳Sでも2着と結果を出しています。先行して押し切るタイプですが、差しに回ることもできる立ち回りの巧い馬と言えます。鞍上の横山典騎手が乗り方を熟知している印象です。

ただ、既に皐月賞の出走に必要な賞金は確保しているので、この一戦にこだわる必要が無いというのが良くも悪くも悩みどころと言えます。今回は皐月賞に向けてのレースをする可能性もあるので勝ち切れるとは言い難いですが、地力が上位なのは確かです。ホープフルS組のレベルを再確認する意味でもその走りには注目です。

グリューネグリーン - 京都2歳Sでトップナイフに勝利した実力派。真価が問われる一戦に。

京都2歳Sでトップナイフに勝ったのがグリューネグリーン。
新馬戦(東京芝2000M)では3着でしたが、勝ち馬はホープフルSで1番人気だったミッキーカプチーノです。2着が後にきさらぎ賞を勝つフリームファクシですし、レベルの高い新馬戦でした。

2戦目で東京芝1800Mの未勝利戦を勝ち上がるのですが、この時4着に負かしたのが後に中山で1勝クラスを快勝するエエヤンですからこちらもなかなかのレベル。そして3戦目の京都2歳Sではトップナイフ以下を抑える逃げ切り勝ちですから、決して相手に恵まれてきたわけでは在りません。

前走のホープフルSでは展開が向かなかったこともありますが、10月から4戦してきた疲れもあったでしょうか。休養を挟んで改めて真価が問われる一戦になるのは間違いありません。兄にオールカマー、AJCCを勝ったヴェルデグリーンがいるという厩舎ゆかりの血統。中山巧者の血に改めて期待したいですね。

タスティエーラ - 名手たちからバトンを受け継いで真価を発揮か。

1戦1勝馬ながらも共同通信杯に出走し、4着だったタスティエーラ。中2週で弥生賞ディープインパクト記念に出走します。

共同通信杯では2番人気に推されましたが、直線で前との差を詰められず4着。ただ、際どい2着争いに参加できましたし、3着馬が東スポ杯2着だったダノンザタイガーだったことを考えるとトップクラスの素質を見せたことは確かです。

同馬の成長と経験を加味すれば勝ち負けを期待できるのではないでしょうか。父サトノクラウンですので東京での切れ比べよりも、やや時計がかかる中山での持続力勝負の方が向きそうです。先行するライバルを目標に長くいい脚で差し切る可能性もあるのではないでしょうか。この馬の走りが共同通信杯組との比較になるのはもちろんですし、強敵との対戦経験で大きく成長しているかもしれません。

遅れてきた大器の素質開花に期待しましょう。

ワンダイレクト - 祖母ワンカラット、母ワントゥワンの系譜を受け継ぐ良血馬。

今年のメンバーが混戦であればあるほど『ルメール騎手がどの馬に乗るのか?』という点が気になるファンは少なくないかと思います。『終わってみればやっぱりルメール騎手だったんだよな』と後から後悔することも多いのではないでしょうか。

このレースでルメール騎手が騎乗するのが、ワンダイレクトです。
2戦1勝、2着1回というまだキャリアが少ない馬ですが、祖母がフィリーズレビューなど重賞4勝したワンカラット、母が重賞2着が3回あるワントゥワンという血統で、名前を見た時に懐かしさを感じるファンも多いのではないでしょうか。

祖母も母も1200Mから1600Mで結果を出してきた馬ですが、ワンダイレクトは2000Mで新馬を勝っています。2戦目の若駒Sでは馬場の真ん中を抜けて勝ちパターンに入りましたが、マイネルラウレアにまるでディープインパクトが勝った若駒Sのような末脚で差し切られてしまっての2着。勝った相手を誉めるしかないですが、立ち回りの巧さやセンスを感じさせました。

今回は初の輸送、右回りが鍵になりますが、ルメール騎手とのコンビで、キャリア以上に期待できる馬と言えそうです。

レヴォルタート - 母バウンスシャッセは中山巧者。そのパワフルな馬体に期待を込めて。

キャリアが少ない馬が揃ったメンバー構成ですので、中山コース適性の有無を血統から推測するのは有効な手段と言えるでしょう。近親に中山巧者がいるのなら、その期待は高まります。

母にフラワーカップ・中山牝馬Sを勝ったバウンスシャッセを母に持つレヴォルタードには中山適性を期待して良いのではないでしょうか。母バウンスシャッセは500キロを超える大きな馬体でパワー型の牝馬で、中山コースの適性が高い馬でした。牝馬ながらも、あえて中山の皐月賞に出走したほどで、結果は11着に終わりましたが、続くオークスではヌーヴォレコルト、ハープスターに続く3着と健闘。能力の高さとスタミナを示しました。藤沢和雄厩舎の牝馬として印象に残っている方も多いのではないでしょうか。

今回は初の中山になるのですが、長くいい脚を使うタイプでもありますので中山の方が合う可能性が高いでしょう。ここで権利を取って、母と同様に皐月賞に進んでほしいと願うファンもいるのではないでしょうか。

ヨリマル - 母テイエムオーシャンの最後の息子。クラシックへの期待を込めて。

母がG1を勝った名牝という点ではヨリマルもその1頭。

母テイエムオーシャンは桜花賞などG1を3勝した名牝でファンの多い馬でした。22歳で繁殖生活を引退しましたが、その最後の仔がヨリマルです。3戦目の中京未勝利戦で逃げ切り勝ち。気性に難しいところがあるようですが、マイペースで走ることができれば能力を発揮できそうです。

このメンバーでどれだけ走れるかは未知数ですが、血統的な面で期待したいファンは多いでしょう。


トップナイフ、グリューネグリーンの走りは注目ですが、母に名牝を持つ馬たちがどんな走りを見せるのか?という点も気になります。母の名前を見た時に懐かしいなあと思い、母の現役時を思い出しながらも息子に期待するという点が今年の弥生賞ディープインパクト記念の特徴と言えるでしょうか。

キャリアが少ない若駒たちの立ち回りの巧さやパワー、スタミナが問われるレースになり、皐月賞への権利取りをめぐって激しい戦いが行われるでしょう。いまだはっきりした主役がいない3歳牡馬路線。このレースで新星が出てくるのを期待したいですね。

写真:かぼす

あなたにおすすめの記事