白山大賞典は金沢競馬場の2100mで行われる唯一のダートグレード競走で同競馬場の四大重賞の一つ。
毎年10月第1週の火曜日に行われていたが、今年は9月最終火曜日の開催(9月開催は1994年以来26年ぶり)。
今年で40回目を迎える歴史のある競走だが、四大重賞の中では一番歴史が浅く、第1回は1981年で距離は2300mだった。翌1982年から1996年まで2600mの長丁場で行われたが、1997年にダートグレードに指定されたと同時に現在の2100mになった。
このレースで目を引くのは中央勢の強さ。
ダートグレードに指定されて以来、馬インフルエンザで地元馬限定になった2007年を除いて昨年までなんと中央勢の21連覇中。ダートグレードが始まって最初に指定された重賞の一つなのに地元馬どころか地方馬も勝っていない。それだけ中央のダートの中距離の層がいかに厚いかを物語っている。
この白山大賞典、地元では「隠れた出世レース」とも呼ばれ、勝った後に大活躍をする馬が度々現れる。
ダートグレードになる前では種牡馬として大活躍したワカオライデン、ダートグレードになってからは後に天皇賞(春)を制するイングランディーレ、ジャパンカップダートなどGI5勝のタイムパラドックス。重賞19勝、GI6勝のスマートファルコンの初重賞はここ。白山大賞典を制したその年のジャパンカップダートを制すニホンピロアワーズ、JpnI3勝の現役馬ケイティブレイブ。
ダートGIはもちろん天皇賞馬までいるダートグレード。勝ち馬集めてレースしたらまさに夢の第12レースになりそうな面々である。
もちろん、白山大賞典を制したあといまいちになったり、これが最後の勝利になった馬も存在するが、勝ちに恵まれない実力馬が覚醒する舞台がこの白山大賞典なのかもしれない。
そんな強い中央勢を前にして地元勢は勝てない、掲示板載ったら大健闘、馬券圏内で大喜び、2着に入ろうものなら大騒ぎ。
こんなので地元ファンは楽しいの? と思われるかもしれないけども。
結論から言えば、楽しい。すごく楽しい。
思うに地元民にとっての白山大賞典は一昔前、90年代頃のジャパンカップのような物ではないか。
よその強い馬、強そうな馬が有名騎手を背にしてやってくる。その馬たちに地元の最強馬やほかの地方の馬がぶつかっていく。敵わないとはわかっているけどどこまでやってくれるのか、噂の強い馬がどんな走りを見せてくれるのか。馬だけではなく普段目の前で見ることのできない騎手達の手綱捌きも目の前で見られる。
それを目の当たりにするのが楽しい。地元勢が歯が立たなくても、下位独占しても楽しいし面白い。
その頃のジャパンカップを「競馬のオリンピック」なんて呼んでいたけども、地元ファンにとっては白山大賞典はまさにオリンピックのようなお祭りレースと感じているのかもしれない。
そんな大レースに色々制限はあるが現地で参加できるようになったことは何よりも嬉しいこと。
ここまでにこぎ着けた関係者の皆様には深い感謝の念を抱く。特に今年の出走馬、騎手の面々を見るとJBCトライアルかと思うような好メンバーが揃ったからなおさらすべての人にありがとうございますと言いたい。
来年のJBCは金沢で行われる。
今年の勝ち馬はそこへ繋がるような出世をしていくのだろうか。
現地で、ネットで注目していこう。
今年のフリーペーパー「遊駿+」の開幕号兼白山大賞典号は紙での発行はなくネット配信のみとなっています。
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※記事中にある出走馬のナムラカメタローは回避してヒストリーメイカーが繰り上がりになりました。