紅梅ステークスは例年京都競馬場芝1400メートルで行われる、3歳牝馬限定のリステッド競走。
1998年に紅梅賞から名を改めて始まった本レースからは、これまでに牝馬三冠を達成したスティルインラブ(2003年)、秋華賞などGIを3勝したスイープトウショウ(2004年)などが出世している。
近年であれば、2016年に優勝したシンハライトが後に優駿牝馬(オークス)を制覇していた。

今年は初めて中京競馬場での開催となった。


11頭が出走。単勝オッズ一桁台に推されたのは6頭と、人気が割れた。

1番人気は、2.9倍のソングライン。
鞍上には初コンビとなるクリストフ・ルメール騎手である。東京競馬場6月の新馬戦は最後方の大外からメンバー中最速となる34.7秒の末脚を見せて追い上げを見せた。しかし、中団から内を突いたクールキャットに同じ34.7秒の脚を使われて2馬身差し遅れた2着だった。
同じ府中に姿を見せたのは5か月後、馬体重を14キログラム増やしての登場だった。スタートで後手に回り、中団に。直線では残り400メートルから徐々に進出し、200メートル付近で先頭に。そこから後方を突き放し、最後は流して入線、3馬身差での勝ち上がりを果たした。

4.6倍の2番人気に推されたのはシャーレイポピー。
昨年10月京都競馬場の新馬戦でデビュー、4.0倍の1番人気に支持を集めた。5番手から直線で差し切りを狙ったものの、同じ石坂公一厩舎の人気薄オプティミスモを捕らえることができずクビ差の2着であった。
続いて11月阪神競馬場の未勝利戦に出走、12頭立ての6枠から好スタートを切り先頭で進めた。
そのまま直線に入るとメンバー中最速の上がりを見せ、追い上げる後続を断ち切って1着。3馬身半差をつけての勝ち上がりであった。

6.1倍、3番人気に推されたのは、オンラインドリーム。
父はフランケル、母は凱旋門賞を勝利したデインドリームという超良血馬。
11月下旬、東京の新馬戦に2.6倍の1番人気でデビューした。良いスタートからハナを奪い、そのまま押し切りデビュー勝ちを果たしている。

4番人気には中央転入初戦の黒松賞を制したエムオーシャトル。門別で7戦2勝の成績を残している。
5番人気にはジャカランダレーン。新馬戦勝利後、ダリア賞ともみじステークスにて、どちらも1番人気に支持されて3着。母のウリウリは京都牝馬ステークス、CBC賞と重賞2勝、通算6勝を挙げている。
6番人気にはララクリスティーヌ。新馬戦を7番人気の支持ながら、1馬身4分の1差をつけて勝利した直後の参戦となった。
メンバー唯一の重賞ウィナー、リンゴアメは函館2歳ステークスを制覇。新馬戦からコンビを組んできた丹内祐次騎手から国分優作騎手に乗り替わって参戦した。こちらは32.4倍の8番人気という支持であった。

レース概況

ばらついたスタートを切り、特に後手に回ったシャーレイポピーが最後方となった。
エムオーシャトルやアールラプチャーが並んで先頭に。
先行集団を形成したジャカランダレーン、ソングラインやオンラインドリームが横一列に広がり、それにリンゴアメやララクリスティーヌが取り付く。
3馬身半開いた最後方集団にシャーレイポピーとルチェカリーナが位置した。

内のエムオーシャトルが先頭を、600メートルを33.5秒で通過するペースを演出。それと同時に最後方で待機していたシャーレイポピーやルチェカリーナがポジションを上げた。
第3コーナーに達して馬群は凝縮。ハナを許した2番手のアールラプチャーやジャカランダレーンがコーナーワークを活かして、エムオーシャトルに並びかけた。

内にジャカランダレーン、中にエムオーシャトル、外にアールラプチャーが3頭で並び最後の直線へ進入する。好位には、エムオーシャトルとアールラプチャーの間を窺うソングライン、馬群の外で進めるオンラインドリームとリンゴアメ。2列目にはララクリスティーヌがいて、シャーレイポピーとルチェカリーナが大外から追い上げる。

そして残り200メートル付近にてソングラインが逃げ粘る3頭をかわして、先頭に躍り出た。
以降は末脚を見せて後続を突き放し一人旅、先頭で入線した。

ソングラインが通ったコースを後から進んだララクリスティーヌは、懸命に追い上げたものの、3馬身差をつけられ2着。大外から追い上げたルチェカリーナは、ララクリスティーヌに1馬身及ばず3着となった。
スタートで出遅れて、最後方を進んだ2番人気のシャーレイポピーは先頭から1.3秒離された6着。3番人気に推されたオンラインドリームは8着となった。

各馬短評

1着 ソングライン

好位から抜け出しての勝利。上がり3ハロンをメンバー中最速の35.3秒でまとめた。
父はキズナ、種牡馬として2世代目にあたる。母ルミナスパレードは東日本大震災当日の2011年3月11日にこの世に生を享けた。2013年に新潟競馬場の新馬戦にて1番人気に応えて勝利して以来、1600万円以下(現3勝クラス)まで出世するなど計4勝。2017年2月に競走馬登録を抹消し、繁殖牝馬に。ソングラインは初仔である。

叔母にはジューヌエコール(父:クロフネ)、デイリー杯2歳ステークスと函館スプリントステークスと重賞2勝を記録。函館スプリントステークスは高松宮記念でGI制覇直後のセイウンコウセイなどの古馬勢を完封し、コースレコードでの勝利であった。

2着 ララクリスティーヌ

新馬戦勝利からの挑戦で、2着を確保。前回とは異なるペースとなったが、対応して見せた。

曾祖母にはエリンバード、叔母には優駿牝馬を勝利したエリンコート(父:デュランダル)がいる血統。
2019年の北海道サマーセールでは、1890万円でフジイ興産株式会社に購買された(上場番号756番)。

3着 ルチェカリーナ

未勝利戦で勝ち上がった同じ舞台での参戦。最後方からの追走であったが、終いはソングラインに迫る上がりを披露。末脚には目を見張るものがある。

6着 シャーレイポピー

ゲートで出遅れたため、終盤では大きな差が生まれることとなった。

レース総評

ソングラインが優れたパフォーマンスを見せて快勝。今後は未定であるが、牝馬クラシック参戦が常道と言えよう。2歳女王ソダシの対抗馬として名乗りを上げる資格を得た。

鞍上のルメール騎手は、昨年の阪神ジュベナイルフィリーズでは、サトノレイナスで2着。
前週に行われたフェアリーステークスではファインルージュで優勝している。

ルメール騎手は果たして、どの馬の手綱を握り、今年の牝馬クラシックに臨むだろうか。

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