──皆さんは、ブラックタイドの新馬戦を見たことがあるでしょうか? ブラックタイドといえば、最近の競馬ファンにはキタサンブラックの父として、そしてイクイノックスの祖父としてすっかりおなじみでしょう。 しかし現役時代を過ごしたのはもう20年近くも前の話(2024年現在)。リアルタイムで彼の走りを見届けた人は私も含めたオール...
ハシスポ
1996年に競馬デビュー。2004年から観戦記やコラムを中心とした競馬ブログを開設し、現在も更新を続けている。星海社新書『競馬 伝説の名勝負』シリーズにもライターの一人として参加。好きな馬はスティルインラブとゴールドシップ。
ハシスポの記事一覧
淀駅の大阪方面ゆきホームからは、ほんの少しだけ京都競馬場の芝コースを望むことができる。たった今まで激闘が繰り広げられていたターフからは、まだ熱気がゆらゆらと立ち込めているように映った。 2013年4月28日、15時50分。天皇賞の決着を見届けた瞬間、私はその場から逃げ出すように席を立つと、数分後にはもう帰りの電車に飛び...
思わず声を出して笑ってしまった。 たぶん、彼がジョープロテクターに乗って淀短距離Sを勝ったときのことだったと思う。テレビ中継のカメラがいつものようにウィナーズサークルの様子を捉えると、そこには満面の笑みを浮かべながら、ターフィーくんに抱きついて喜ぶジョッキーの姿があった。まるで子どもが遊園地のキャラクターとじゃれ合って...
一体どれだけの夢を叶えたのだろう。あなたの愛馬は、とてつもないことを成し遂げた。 父がディープインパクト、そして母がラヴズオンリーミー。すなわち2016年のドバイターフを制したリアルスティールの全妹が、DMMドリームクラブの所有馬となったのは翌17年のことだった。「たくさんの人に馬主気分を味わい、感動を共有してほしい」...
読書が苦手だ。こうして競馬コラムを執筆しているだけでなく、自身のブログを日々更新していたり、あるいは本業でもコピーライティングの世界に身を置く立場でありながら、どうにも他人の文章を読むのが好きになれない。なかでも小説の類は「しょせんは作り話」と冷めた感情が邪魔をしてしまって、素直に楽しめないのだから困ったものだ。我なが...
未勝利戦からメインレースまで、全ての映像がJRAのホームページにアーカイブされている現在とは違い、インターネット黎明期の2000年前後、さらにはそれ以前のレース動画を振り返るのは簡単なことではなかった。G1をはじめとする有名なレースならまだしも、条件戦ともなるとそれはほぼ不可能と言って良い。そこで頼りになるのは己の記憶...
直線の入り口で、まだ先頭までは10馬身以上あっただろうか。それでも、鞍上はその「差」さえも楽しんでいるように映った。そして、満を持してゴーサインが出された瞬間、府中のターフに一陣の風が吹き抜けた──。 2010年のNHKマイルCを制したダノンシャンティ。 最後方からの大外一気を決めた豪快な末脚と、当時の日本レコードであ...
間違いなく、彼はその場に帰ってきた。 2013年の有馬記念。クラシック三冠馬であり、凱旋門賞でも二度の2着を経験した稀代の名馬オルフェーヴルの引退レースとして今も語り継がれる一戦で、その8馬身後ろの2着に入ったのがウインバリアシオンだった。影を踏むことすらできない、ぐうの音も出ない完敗。それでも彼にとっては大きな価値が...
例えば、あなたが応援しているアイドルの卵が、全国区のスターへと上り詰めていく過程を見守ることができたとしたら──。 それって、とても幸せなことだと思いませんでしょうか? まだ世に広く知られていない頃からその才能に惚れ込み、やがてそれが確かなものだったと証明されていく……そんなステキな物語を私に届けてくれたのが、スティル...
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語り継がれし「名馬」たち
レース回顧
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[重賞回顧]秋晴れに輝く2つ目のティアラ 盤石の競馬で突き抜けたチェルヴィニアが二冠達成~2024年・秋華賞~
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[重賞回顧]春の悔し涙は歓喜の涙に。アクシデントを乗り越えたルガルと西村淳也騎手が、復活のGⅠ初制覇~2024年・スプリンターズS~
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