「名馬」を語る 歯車が狂い始めてからも、惨敗を目の当たりにしても…。稀代の個性派、ゴールドシップを想い続けるということ。 2023年7月14日 淀駅の大阪方面ゆきホームからは、ほんの少しだけ京都競馬場の芝コースを望むことができる。たった今まで激闘が繰り広げられていたターフからは、まだ熱気がゆらゆらと立ち込めているように映った。 2013年4月28日、15時50分。天皇賞の決着を見届けた瞬間、私はその場から逃げ出すように席を立つと、数分後にはもう帰りの電車に飛び... ハシスポ
「名馬」を語る 「ふたり」の時間は終わらない。ネオユニヴァースとM.デムーロ騎手の物語。 2023年1月30日 思わず声を出して笑ってしまった。 たぶん、彼がジョープロテクターに乗って淀短距離Sを勝ったときのことだったと思う。テレビ中継のカメラがいつものようにウィナーズサークルの様子を捉えると、そこには満面の笑みを浮かべながら、ターフィーくんに抱きついて喜ぶジョッキーの姿があった。まるで子どもが遊園地のキャラクターとじゃれ合って... ハシスポ
それぞれの競馬愛 ラヴズオンリーユーを愛した、すべての人たちへ。 2022年2月11日 一体どれだけの夢を叶えたのだろう。あなたの愛馬は、とてつもないことを成し遂げた。 父がディープインパクト、そして母がラヴズオンリーミー。すなわち2016年のドバイターフを制したリアルスティールの全妹が、DMMドリームクラブの所有馬となったのは翌17年のことだった。「たくさんの人に馬主気分を味わい、感動を共有してほしい」... ハシスポ
「名馬」を語る 「競馬は小説より奇なり」。今も競馬ファンの心を離さぬクロフネ物語。 2021年11月29日 読書が苦手だ。こうして競馬コラムを執筆しているだけでなく、自身のブログを日々更新していたり、あるいは本業でもコピーライティングの世界に身を置く立場でありながら、どうにも他人の文章を読むのが好きになれない。なかでも小説の類は「しょせんは作り話」と冷めた感情が邪魔をしてしまって、素直に楽しめないのだから困ったものだ。我なが... ハシスポ
「名馬」を語る 何を目に焼き付け、心に刻むか。「アナログ時代」の終盤を駆けたティコティコタックの思い出。 2021年10月16日 未勝利戦からメインレースまで、全ての映像がJRAのホームページにアーカイブされている現在とは違い、インターネット黎明期の2000年前後、さらにはそれ以前のレース動画を振り返るのは簡単なことではなかった。G1をはじめとする有名なレースならまだしも、条件戦ともなるとそれはほぼ不可能と言って良い。そこで頼りになるのは己の記憶... ハシスポ
「名馬」を語る 黄金世代のマイル王・ダノンシャンティの豪脚に魅せられて 2021年5月10日 直線の入り口で、まだ先頭までは10馬身以上あっただろうか。それでも、鞍上はその「差」さえも楽しんでいるように映った。そして、満を持してゴーサインが出された瞬間、府中のターフに一陣の風が吹き抜けた──。 2010年のNHKマイルCを制したダノンシャンティ。 最後方からの大外一気を決めた豪快な末脚と、当時の日本レコードであ... ハシスポ
それぞれの競馬愛 己の運命に打ち勝った名脇役、ウインバリアシオンに喝采を。 2021年4月29日 間違いなく、彼はその場に帰ってきた。 2013年の有馬記念。クラシック三冠馬であり、凱旋門賞でも二度の2着を経験した稀代の名馬オルフェーヴルの引退レースとして今も語り継がれる一戦で、その8馬身後ろの2着に入ったのがウインバリアシオンだった。影を踏むことすらできない、ぐうの音も出ない完敗。それでも彼にとっては大きな価値が... ハシスポ
「名馬」を語る 私の"予感"を現実にしてくれた最愛の名馬・スティルインラブ 2021年4月8日 例えば、あなたが応援しているアイドルの卵が、全国区のスターへと上り詰めていく過程を見守ることができたとしたら──。 それって、とても幸せなことだと思いませんでしょうか? まだ世に広く知られていない頃からその才能に惚れ込み、やがてそれが確かなものだったと証明されていく……そんなステキな物語を私に届けてくれたのが、スティル... ハシスポ