「名馬」を語る 特別なこと - ワグネリアンと藤岡康太騎手 2026年9月19日 絶え間なく流れる時の中で、ふと振り返る瞬間がある。 交わされた言葉、偶然の出会い。ほんの一瞬の出来事が、後になって胸を締めつけるほど大切なものになることがある。 2018年9月23日、神戸新聞杯。 勝者、ワグネリアン。 秋の気配をはらんだ風が、仁川の空を吹き抜けた。主戦騎手の負傷という逆境を乗り越えたダービー馬と代打騎... norauma
「名馬」を語る [追悼]大きな流星を揺らして - オウケンブルースリがくれたたくさんの宝物 2026年9月11日 オウケンブルースリ。 ブルースリーではなく、ブルースリ。競走馬の名前に許された九文字に無理やり詰め込んだような、けれどそんな名前が、どういうわけかよく似合う馬だった。 私が初めてオウケンブルースリを知ったのは、ダービーに向けた戦いが佳境を迎える5月、裏開催の新潟で行われた未勝利戦だった。新聞片手にぼんやり眺めていると、... norauma
「名馬」を語る ターフから神事へ - 相馬野馬追に生きる、孝行息子ブラックホール 2026年9月5日 甲冑をまとった騎馬武者が行き交い、色鮮やかな旗指物が風に翻る。 相馬野馬追の景色には、遥か昔と現在がひとつにつながったような不思議な時間が流れている。勇壮な装束に身を包んだ武者と馬。沿道に集まった人々の熱気と喧噪のなかを、一頭一頭がそれぞれの役目を果たすように進んでいく。 その中に、祭礼馬となったブラックホールの姿があ... norauma
それぞれの競馬愛 「福ちゃん、勝ったよ」。片目のサラブレッド・ドコフクカゼが、新しい景色に出会った日 2026年8月23日 福ちゃんが、勝った。 デビューから二戦目。大外から堂々と進出し、直線で力強く抜け出した。拍手と歓声に包まれながら、そのまま先頭でゴールを駆け抜けた。 少し戸惑いながらも初めて競馬場を走った日から、わずか三週間ほど。二度目のレースで、片目のサラブレッド福ちゃん──ドコフクカゼは、競走馬として最初の勲章を手にした。 おめで... norauma
「名馬」を語る 「今度こそ」を何度もくれた君へ - ボンドガールの引退に寄せて 2026年8月9日 2023年6月4日。新緑の東京競馬場。 前週の日本ダービーの余韻もまだどこか残る2歳新馬の開幕週。その中で、その馬は初めて、私たちの前に姿を見せた。 ボンドガール。 鹿毛の美しい馬体に、どこか可憐で品のある眼差し。走り出せば弾むようなしなやかなフットワークを見せた。眩しい陽を追いかけるように軽々と気持ちよさそうに駆け、... norauma
「名馬」を語る 遥かなる旅路のプロローグ - 北の大地でディアドラが広げた、世界への翼 2026年8月1日 ディアドラという存在は、一羽の気高い渡り鳥のように思える。 ドバイ、イギリス、アイルランド、フランス、サウジアラビア、バーレーン、香港──。海を越え、国境を越え、その土地ごとに異なる芝を踏みしめながら、世界中の強豪へ挑み続けた。日本調教馬が海外へ遠征することは、もはや珍しい時代ではない。それでも、これほど長く、一つの場... norauma
「名馬」を語る よかよか、と笑えるから - 2021年北九州記念・ヨカヨカ 2026年7月4日 小倉の夏は、どこか人をおおらかな気持ちにさせる。 照りつける陽射しも、まとわりつくような湿った風も、決して優しくはないはずなのに、そこには不思議と懐かしさが同居している。 そんな土地で、昔からよく使われてきた言葉がある。 「よかよか」 思うようにいかない日も、先が見えなくなる時もある。けれど、そんなときでも大丈夫、焦ら... norauma
「名馬」を語る 残照の先に芽吹くもの - エフフォーリアが駆け抜けた季節 2026年7月2日 春の陽ざしが少しずつ暖かさを帯び、柔らかな空気が戻ってくる。その季節の気配に触れると、不思議と心が軽くなる。 競馬は毎週のように新しい主役を生み出す世界。約束のない舞台で、馬たちは一歩ずつ物語を刻んでいく。そんな季節の移ろいのなか、ときに1年の景色を変えてしまうような輝きが現れる。 2021年の春。コロナ禍の閉塞感がま... norauma
「名勝負」を語る 雨の向こうに続く夢。2026年宝塚記念、メイショウタバルの走り 2026年6月15日 2026年6月14日、15時30分。それは本馬場入場が始まる頃のこと。 阪神競馬場に激しい雨が降った。突如として発達した雨雲が仁川の空を覆い、夏の夕立を思わせる豪雨が地面を叩く。画面越しにも分かるほどの嵐のような雨脚に、場内からどよめきが起こる。先ほどまで良馬場だった芝は瞬く間に水を含み、重馬場へと姿を変えていった。 ... norauma
ニュース・ブログ [POG26-27]注目馬紹介~一口クラブ・ユニオンオーナーズクラブ 2026年6月5日 ユニオンオーナーズクラブは、1986年に日高地方の生産牧場が集結して設立された老舗クラブ。古くは1989年のエリザベス女王杯を最低人気で制し、大波乱の代名詞的存在ともなったサンドピアリス、近年では2015年のチャンピオンズカップで牝馬として初めてJRAダートGⅠを制したサンビスタや、2023年のJBCクラシックと202... norauma