今年度より、金沢競馬にも新しい取り組みが見られるようになった。
ひとつはスーパースプリント賞。
第1回こそ準重賞で、C1~B1級までというクラス編成だったが、いずれはスーパースプリントシリーズに編成されるよう、今後も条件を変更していく模様だ。
二つ目は北國王冠(2600m)が全国交流競走に変更されたという点。過去にはホッカイドウ競馬などでも同距離のレースを実施していたが、現在では金沢の北國王冠と大井の金賞のみ。全国交流となれば、オグリキャップ記念(2500m)同様に、長距離路線で活躍の場を求める陣営にとって最適なレースとなるだろう。今年の11月は全国から集まったステイヤーで盛り上がりそうだ。
そして最後に、石川ダービーの新設があげられる。
微かな記憶だが1999年から2004年までの間に、金沢では日本海ダービーが実施されていた。この時は三条競馬場との交流競走で、日本海側の3歳ナンバー1を決める目的で創設されたように記憶しているが、その三条競馬場も2002年に廃止。99年時でも経営が苦しかったのか、1度も遠征馬が来る事もなく、6 年間の出走馬は金沢所属のみだった。目的をなくした日本海ダービ ーは賞金も尻すぼみとなり、2004年に廃止。それ以降、金沢競馬場に『ダービー』と名称がつくレースはなかった。
そして今年2017年に13年振りとなる『ダービー』石川ダービーが創設された。
7月12日に大井競馬場で開催されるジャパンダー トダービー(以下JDD)へのステップ競走としての位置づけだが、あわせて高知競馬場の高知優駿もダービーシリーズに加入。
全地方競馬にダービーが創設されたこととなり、ダービーシリーズとして新たな一歩を踏み出した。
また、シリーズ優勝馬がJDDに出走した場合は、馬主に奨励金100万円が支払われる。更にJDD地方競馬最先着馬の馬主には報奨金200万円が与えられるという。
これが対JRAへの地方ホースマンの発奮材料とな ってくれれば喜ばしいが、金沢競馬の日程には不安もある。
今年の石川ダービーの開催日は6月20日。JDDが7月12日開催で、 このレースに出走するとしてもかなりの強行スケジュールだ。まして暑くなる7月に、先がある馬に無理をさせるだろうか?
また、他地区のダービーは最低でも500万の賞金。それに対して 金沢は400万円と1番安い。JRA未勝利(未出走)でも埋もれた原石はいる。そのような馬が地方で花を咲かせるパターンは多々あった。 獲りやすいという点で金沢移籍もあるだろうが、わざわざ安い賞金のところへの移籍を考える人は少ないだろう。ダービー制覇、ダービージョッキー響きはとても良いが、今後改善すべき点も多いということは確かだ。
新しい取り組みに挑戦する金沢競馬に期待したい。
写真:Y.Noda