[新馬戦回顧]メイクデビューの勝者達 - 2022年8月20日・21日

8月も後半に入り、2020年産駒達の新馬戦も早くも80戦が終了。
ここでは先週開催された新馬戦で、世代全体のうち3割前後しか勝ち上がることができない狭き門を突破した2歳馬達をご紹介していきたいと思います。

2022年8月20日(土)

新潟3R ダ1800 雨・稍重 15頭

イエルバブエナ

牡馬
マジェスティックウォリアー×ミンティエアー
母の父:アグネスタキオン
所属:栗東)須貝尚介厩舎
生産:三嶋牧場
鞍上:M.デムーロ騎手
466㎏ 1番人気 6枠11番

広尾レース所属馬の、この世代最初の勝ち上がり馬が誕生しました。
好スタートを決めるたイエルバブエナは積極的に前に行くと5番手で折り合います。
徐々にポジションを上げ直線に入りますが、残り200m付近では逃げていたエクチュールがリードを広げる良い手応え。
鞍上のデムーロ騎手も「差し切れないかと思ったという」というほどの手応えでしたが、そこからイエルバブエナもグッと伸びていき、最後はクビ差で勝利をものにしました。

勝ち時計は1分57秒2。
序盤は砂を被って頭をあげる場面もあり、そんな幼さを見せつつも勝ち切れたということで更なる成長を見せてくれるのが楽しみな1頭です。

札幌5R 芝1500 曇・稍重 12頭

ドルチェモア

牡馬
ルーラーシップ×アユサン
母の父:ディープインパクト
所属:栗東)須貝尚介厩舎
生産:下河辺牧場
鞍上:横山和生騎手
480㎏ 1番人気 5枠6番

2021年の紫苑SやフェアリーSを勝っているファインルージュの半弟エコロジョイアー、2019年中京記念の勝ち馬グルーヴィットの半妹ピュアグルーヴが登場した新馬戦。勝利したのは2013年の桜花賞馬アユサンの5番仔ドルチェモアでした。

スタートを綺麗に決めるとスッと前に出ていき、そのまま先頭へ。
逃げたというよりはスピードがあって自然とそこに来たというような楽な手応えでレースを進め、直線に入ると後続をグングン引き離していきました。

勝ち時計は1分32秒2。
この後は放牧に出さず栗東に行って次走へ備えるということで、関西の芝で今度はどのようなレースを見せてくれるのか注目ですね。

競走中止となったウインエーテルは左前肢跛行とのこと。軽症で早期復帰できることを祈ります。

小倉5R 芝1200 晴・良 14頭

シルフィードレーヴ

牝馬
アメリカンペイトリオット×キモンクイーン
母の父:クロフネ
所属:栗東)西園正都厩舎
生産:田原橋本牧場
鞍上:幸英明騎手
434㎏ 10番人気 8枠13番

この代が2世代目となりますアメリカンペイトリオット産駒が、3連単299万という高配当となったレースで今年の新馬戦初勝利を挙げました。
シルフィードレーヴは外枠から飛び出すようなスタートを決めますが、逃げの体勢には入らず3番手に。
外々を回る展開になるも最後までしっかり伸びて、差してきた2着馬キタサンエルピスに1と1/4馬身の差をつけました。

勝ち時計は1分08秒5。
まだまだ余裕も伸びしろもありそうということで、次走に予定しているG3小倉2歳Sでの走りも楽しみです。

新潟5R 芝1200 雨・稍重 17頭

ヴィアルーチェ

牝馬
Almanzor×Via Firenze
母の父:Dansili
所属:美浦)奥村武厩舎
生産:Katsumi Yoshida
鞍上:岩田康誠騎手
436㎏ 1番人気 8枠15番

今年の新馬戦初勝利となった岩田康誠騎手とともに、Almanzor産駒がJRA初勝利を挙げました。

1.9倍の1番人気に推されたヴィアルーチェ。
好スタートを切りましたが無理に前には行かず馬群中団でポジションをとると、コーナーを曲がりながら外から少しずつ前へあがっていきます。
残り200を切ったあたりから更にグッと伸びて、最後は余裕も感じさせる手応えで差し切っていきました。

勝ち時計は1分10秒8。
今回は忙しい距離で、適性はもう少し長めのマイルくらいにあるのではないかと言うこと。
距離延長が予想される次走の走りにも注目です。

小倉6R ダ1700 晴・稍重 16頭

ヤマニンウルス

牡馬
ジャスタウェイ×ヤマニンパピオネ
母の父:スウェプトオーヴァーボード
所属:栗東)斎藤崇史厩舎
生産:錦岡牧場
鞍上:今村聖奈騎手
536㎏ 1番人気 4枠8番

ジェンティルドンナの半弟イストロスや2018年の中山大障害の勝ち馬ニホンピロバロンの半弟ニホンピロビートが登場した新馬戦でしたが、先頭でゴールしたのは大活躍中の女性ジョッキーとコンビを組んだ『熊』という意味の名前を持つ536㎏の巨漢馬でした。

好スタートを切り2番手につけたヤマニンウルス。3コーナー付近で、早めに先頭に立ちます。
早すぎる仕掛けかと思われましたがそこからグングンと加速したヤマニンウルスの脚色は最後まで衰えることなく、2着ゴライコウとの着差4.3秒は1984年のグレード制導入以降のJRA平地レース最高記録、勝ち時計1分44秒3は2歳ダート1700mの中央レコードという衝撃の勝利となりました。
この勝利でG1騎乗資格条件である31勝を達成した今村騎手とともに、G1まで駆け上がっていってくれることを期待させるような大物候補と言えるでしょう。

11番テングクラブはゲート内で転倒し負傷してしまったようで除外。
早期の回復を願っています。

2022年8月21日(日)

小倉5R 芝1200 曇・重 8頭

メイショウヒュウガ

牡馬
ダンカーク×カネトシガーネット
母の父:キングカメハメハ
所属:栗東)安達昭夫厩舎
生産:まるとみ冨岡牧場
鞍上:松山弘平騎手
476㎏ 5番人気 7枠7番

前日とは打って変わって重馬場発表となった小倉の芝での新馬戦、勝利を挙げたのはダートで活躍する産駒も多く出ているダンカーク産駒のメイショウヒュウガでした。

良いスタートを切ったメイショウヒュウガは先頭集団を形成した3頭の1つ後ろでレースを進め、直線に入り内に進路を見出すと一気に加速し見事な差し切り。
安達調教師にこの世代の管理馬初勝利をプレゼントしました。

勝ち時計は1分08秒3。
次走は未定とのことですが、完成度も高そうで2歳重賞等でも見てみたいなと思わせる1頭です。

新潟5R 芝1800 晴・稍重 13頭

ロードプレイヤー

牡馬
グレーターロンドン×ホオポノポノ
母の父:タニノギムレット
所属:美浦)尾形和幸厩舎
生産:アイズスタッド
鞍上:田辺裕信騎手
442㎏ 2番人気 6枠9番

ロードホースクラブの所属馬が、この世代の新馬戦初勝利となりました。
中団でレースを進めたロードプレイヤーは直線に入ると外へ進路を取り前へ。
1つ後ろから追い込んできた1番人気ブレイディヴェークと最後は一騎打ちの形となりますが、アタマ差で競り合いを制し勝ち上がりを決めました。

勝ち時計は1分50秒2。
おっとりした性格でまだまだこれから良くなっていくタイプという評価のなかで早々に1つ勝ち切ることができたのは大きいでしょう。余裕ができたということで、1度間隔をあけて成長を促すプランもあるようですが、これからの活躍が楽しみです。

札幌5R 芝2000 晴・稍重 6頭

インスタキング

牡馬
エピファネイア×アガサ
母の父:マンハッタンカフェ
所属:美浦)蛯名正義厩舎
生産:前谷武志
鞍上:武豊騎手
492㎏ 4番人気 4枠4番

2022年3月に開業し5月に初勝利を挙げました蛯名調教師。新馬戦における初勝利は、競馬学校の同期・武豊騎手とのタッグで達成となりました。
6頭立てとなったレースを3番手で進めたインスタキング。

直線前で逃げていたフッカツラヴをとらえると、直線では先に抜け出した2013年ダイヤモンドSの勝ち馬アドマイヤラクティの半弟ジュンツバメガエシと、外から追い込んできた1番人気アヴニールドブリエとの優勝争いに。
残り200mからのひと伸びが見事でしたね。

勝ち時計は2分06秒3。
6月以降新馬戦での勝利がなかった武豊騎手が伸びしろに期待する言葉と共に馬名に絡めて「綺麗な馬。インスタ映えしますね」とコメントし、笑いを誘う一幕も。
そんなコメント通りの瞬間をこれからどれだけ見せてくれるのか、今後の成長と活躍に期待の1頭です。

以上、今週のメイクデビュー勝ち馬8頭を見ていきました。

この仔達がこれからどのような成長を見せてくれるのか、また今週末の新馬戦ではどんな仔達がデビューしてくるのか、週末を楽しみに待ちたいと思います。

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