[新馬戦回顧]メイクデビューの勝者達 - 2022年9月24日・25日

2週連続の台風接近で開催が危ぶまれた中央競馬でしたが無事開催。
2020年産駒達の新馬戦も120戦を超えました。
ここでは先週開催された新馬戦で、世代全体のうち3割前後しか勝ち上がることができない狭き門を突破した2歳馬達をご紹介していきたいと思います。

2022年9月24日(土)

中山3R ダ1800 曇・不良 16頭

トレド

牡馬
ヘニーヒューズ×リンガスウーノ
母の父:サウスヴィグラス
所属:美浦)池上昌和厩舎
生産:松浦牧場
鞍上:石川裕紀人騎手
504㎏ 1番人気 6枠12番

オーナーである株式会社ラ・メールと生産牧場である松浦牧場にとって、今年の新馬戦における初勝利となりました。

6枠からのスタートとなったトレドは、ゲートの出こそそれほど早くはありませんでしたが抜群の二の脚を見せてスッと先頭へ。
そのまま楽な手応えで逃げに入ると、4コーナー辺りまで付いてきていた3着馬フレスコバンクールらを直線に入ったところで一気に突き放し独走態勢に。
追い込んでいた2着馬デルマツリダシに6馬身差をつけ、不良馬場の中これまでの記録を0秒3更新する1分51秒9のレコード勝ちで1番人気に応えました。

鞍上・石川騎手もこの先が楽しみになる馬と高評価で、次走にも注目の1頭です。

直線で競走中止となったアールスペックは左前肢跛行との発表。軽症であることを祈っています。

中京4R ダ1400 晴・不良 10頭

セラドナイト

牝馬
Mendelssohn×セラドン
母の父:Gold Halo
所属:美浦)木村哲也厩舎
生産:ノーザンファーム
鞍上:Cルメール騎手
424㎏ 2番人気 8枠10番

シルクレーシングから今年8頭目の新馬戦ウィナーが登場です。
1番外から悪くないスタートを切ったセラドナイトは、逃げたコパノバークレーを先頭とした馬群の外側でレースを進めます。
3〜4コーナーを回りながら2番手までポジションを上げると楽な手応えのまま先頭をとらえ、鞭を1つ2つと入れられながらグングンと加速。

2014年富士Sの勝ち馬ステファノスの半妹ハンベルジャナイトが追い込んできましたが、1と1/4馬身差をつける強い内容でした。

勝ち時計は1分25秒1。
外外を回りながら楽な手応えで進出していくスピードとスタミナで、今後の活躍にも期待の1頭です。

鞍上Cルメール騎手はこの勝利で、史上15人目・武豊騎手を上回り最少騎乗回数での1600勝達成となりました。

中京5R 芝1400 晴・良 14頭

オオバンブルマイ

牡馬
ディスクリートキャット×ピンクガーベラ
母の父:ディープインパクト
所属:栗東)吉村圭司厩舎
生産:サンデーヒルズ
鞍上:角田大河騎手
414㎏ 5番人気 3枠4番

ファンに配当金を盛大に振る舞えるように、と命名された新馬が、ルーキーながらここまで新馬戦で2勝を挙げている角田大河騎手と共に、初戦から結果を出しました。

好スタートを切ったオオバンブルマイは勢いそのままに内寄りの3番手を確保しレースを進めます。
そのまま直線に入りますが、前にはスマートメイプル、外にはトーホウフランゴ。
進路がなくなったかに思えましたが、オオバンブルマイはスマートメイプルの内のスペースを突いて脚を伸ばし、残り200m付近で先頭に。

最後は1番人気スプルが追い込んできますが、これを1と1/4馬身差で退け1分22秒1での勝利となりました。

生産のサンデーヒルズと、この世代の仔が3代目の産駒となるディスクリートキャットにとって、嬉しい今年の新馬戦初勝利となりました。
今後も「大盤振る舞い」の大活躍に期待ですね。

中山5R 芝1600 曇・不良 16頭

コウセイマリア

牝馬
リアルスティール×アズマガール
母の父:キングカメハメハ
所属:美浦)和田雄二厩舎
生産:増尾牧場
鞍上:佐々木大輔騎手
400㎏ 14番人気 7枠14番

馬体重400㎏の小柄な牝馬が、不良馬場となった中山の芝で単勝万馬券の高配当レースを演出しました。

外枠からのスタートとなりましたコウセイマリアは、ゲートの出はそれほど悪くありませんでしたが後方からのスタート。
残り400m付近までは焦らずそのままレースを進めていましたが、残り200mを切り外から伸びていったアメイジングスターに内からついていくようなタイミングで脚を伸ばし始めます。

ここからの末脚が見事でした。
グングン伸びていったコウセイマリアは、逃げ切りを図ったペニードロップスをクビ差交わしたところだった1番人気ザングウィルもとらえ、ハナ差前に出たところがゴール。
勝ち時計は1分36秒7でした。

凄く良い脚を使ってくれました、楽しみな馬ですと評価した鞍上のルーキー佐々木大輔騎手は、これが記念すべき新馬戦初勝利となりました。

2022年9月25日(日)

中京4R ダ1200 晴・稍重 8頭

ルクルス

牡馬
ハーツクライ×チリエージェ
母の父:サクラバクシンオー
所属:栗東)松永幹夫厩舎
生産:白井牧場
鞍上:武豊騎手
502㎏ 2番人気 3枠3番

馬場入り時にクルクル旋回する癖が話題になる事でも愛された重賞3勝馬・ハクサンムーンの半弟が見事に新馬戦を制しました。

内枠から好スタートを切ったルクルスは、同じく内から飛び出していった1番人気カンフーダンス、カップケーキと共に3頭でレースを引っ張っていきます。
最終コーナーを曲がる頃にはカンフーダンスとの追い比べになりますが、残り200mを切った辺りでこの競り合いを制します。ラストで追い込んできた2着馬ウイニンググレイスに3馬身差をつける快勝でした。

勝ち時計は1分13秒9。
鞍上の武豊騎手は「まだ緩く、能力だけで勝った感じです」とコメントしているように、これからの成長に期待が高まります。

中山4R ダ1200 晴・重 16頭

トモジャシーマ

牡馬
シャンハイボビー×ステラーホープ
母の父:グラスワンダー
所属:美浦)鈴木伸尋厩舎
生産:日進牧場
鞍上:横山典弘騎手
492㎏ 3番人気 6枠11番

今年の新馬戦で存在感を示しているシャンハイボビー産駒から、また1頭、新馬戦勝ち馬が誕生しました。

良いスタートを切ったトモジャシーマは、素晴らしい二の脚を披露して逃げたスングリダンダンのすぐ後ろにポジションをとりレースを進めます。
直線に入ると早々に先頭に立ち、後方から1番人気メイデンタワーが追い込んできましたが更にもうひと伸び。
レース後には鈴木調教師から距離延長を示唆するコメントが出るほど、余裕を感じさせるレース内容でした。
勝ち時計は1分12秒3。

37年目のベテラン横山典弘騎手はこれが今年の新馬戦における初勝利となりました。

中京5R 芝2000 晴・良 8頭

バロッサヴァレー

牝馬
ハーツクライ×ピラミマ
母の父:Unbridled's Song
所属:栗東)高野友和厩舎
生産:ノーザンファーム
鞍上:北村友一騎手
452㎏ 3番人気 7枠7番

2019年ジャパンカップを始めG1競走2勝を含む重賞5勝を挙げた名馬スワーヴリチャードの全妹、バロッサヴァレーが堂々のデビュー戦勝利です。

8頭立てとなりましたこのレース、3番人気に推されたバロッサヴァレーはスタート直後にやや狭くなる一幕もありつつ序盤は後方から。向こう正面あたりから徐々にポジションを上げ始めます。

残り800を切った辺りで逃げているヴァモスタイテーが7馬身以上という大きなリードをとる展開となっていましたが、直線に入ると1番人気シルヴァーアーマーとバロッサヴァレーが競り合いながら脚を伸ばし、残り200m付近で先頭に。
3着馬に5馬身差をつける長く激しい叩き合いとなりましたが、最後はバロッサヴァレーが1と1/2馬身これを制しての勝利となりました。

勝ち時計は2分01秒9。

2021年に落馬事故で大怪我を負い、2022年6月に復帰しました北村友一騎手にとって、これが今年の新馬戦初勝利となりました。

中山5R 芝2000 晴・良 10頭

スマラグドス

牡馬
ハーツクライ×エメラルドスター
母の父:Mount Nelson
所属:栗東)西園正都厩舎
生産:社台ファーム
鞍上:松山弘平騎手
476㎏ 2番人気 7枠7番

無敗の3冠馬コントレイルの半弟インタクトが登場したこの週最後の新馬戦。
勝利を挙げたのはグリーンファーム所属のハーツクライ産駒スマラグドスでした。

好スタートを切ったスマラグドスは外枠から積極的に前へ。
3〜4番手で折り合います。
外目を回しながらレースを進めると、残り600m付近から徐々に進出を開始。
4コーナーを曲がり切る頃には先頭2頭に並びかけ、そのまま中山の急坂を上がり最速の末脚で一気に駆け抜けていきました。

勝ち時計は2分06秒3。
まだ幼さを残すものの稽古通りの結果が出たという西園調教師からは来年大きいところを狙える馬とのコメントも飛び出し、今後の動向に注目の1頭になりそうです。


以上、今週のメイクデビュー勝ち馬8頭を見ていきました。

この仔達がこれからどのような成長を見せてくれるのか、10月に入る今週末の新馬戦ではどんな仔達がデビューしてくるのか、週末を楽しみに待ちたいと思います。

写真:バン太、かずーみ

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