10月2週目。中央競馬は3日間開催となり、2020年産駒達の新馬戦も13戦行われました。
ここではその13レースの新馬戦で、世代全体のうち3割前後しか勝ち上がることができない狭き門を突破した2歳馬達をご紹介していきたいと思います。

2022年10月08日(土)

東京4R ダ1300 曇・重 16頭

イニッツィオ

牡馬
ネロ×ノアビジン
母の父:ブラックタイド
所属:美浦)稲垣幸雄厩舎
生産:赤田牧場
鞍上:菅原明良騎手
494㎏ 6番人気 2枠3番

3日間開催の新馬戦は、イタリア語で「始まる、スタート」という意味の馬名を持つ馬の逃げ切り勝ちからスタートとなりました。

内枠から好スタートを切ったイニッツィオは、素晴らしい二の脚を見せて先頭に立つとそのまま逃げの体勢へ。
楽な手応えのままレースを進めていきます。
1馬身ほどのリードを保ったまま直線に入ると後続も追い込みにかかりますが、イニッツィオとの差は縮まらず。
鞍上菅原騎手が何度か振り返って確認するほどの好走を見せ、ノーステッキのまま勝ち上がりを決めました。
勝ち時計は1分17秒8。

この世代の仔が初年度産駒になるネロ産駒はこれが嬉しい新馬戦初勝利となりました。

阪神5R 芝1600 曇・稍重 18頭

レッドヒルシューズ

牝馬
ハーツクライ×ヤマノラヴ
母の父:アグネスデジタル
所属:栗東)武英智厩舎
生産:チャンピオンズファーム
鞍上:酒井学騎手
452㎏ 2番人気 6枠11番

重賞3勝馬シャケトラの半妹トラミナーが登場し人気を集めた新馬戦は、ゴール前大接戦のレースとなりました。

トラミナーに続く2番人気に支持されたレッドヒルシューズは、6枠から好スタートを決めると馬群の外側、3番手辺りで折り合います。17番プレッジ、13番モイルが外から早めに上がっていきますが無理に追いかけることはせず4コーナーへ。
直線に入ると先頭のモイルが外にヨレて外にいた4頭が影響を受ける一幕があり、レッドヒルシューズも少し外に振られましたが集中は切れず。
内で抜け出していたタガノドゥリと外から追い込んできたデアデルマーレ、トラミナー、レッドヒルシューズの4頭が同タイムとなる大接戦となりましたが、一番外から追い込んだレッドヒルシューズに軍配があがりました。

勝ち時計は1分36秒5。
ハーツクライ産駒のJRA通算1400勝目となる記念すべき勝利となりました。

この後は11月のファンタジーSを予定しているとのことです。

東京5R 芝1800 曇・良 17頭

タイセイクラージュ

牡馬
サトノクラウン×シェリール
母の父:サンデーサイレンス
所属:栗東)矢作芳人厩舎
生産:ノーザンファーム
鞍上:横山武史騎手
452㎏ 4番人気 8枠15番

矢作芳人調教師はこの3日間開催で最も注目されたホースマンの1人と言って良いのではないでしょうか。
大活躍はこのタイセイクラージュからスタートしました。

外枠から好スタートを切ったタイセイクラージュは、やや行きたがる様子を見せながらも横山騎手に抑えられ、3番手でレースを進めます。
そのまま4コーナーを回るとエイトキングゴッド、ナイトフォールサンを早々に交わして先頭へ。
1番人気レヴォルタードが追い込んできますが、そこで一伸びすると残り200mは差を詰めさせず、2馬身半差をつけての勝利でした。

勝ち時計は1分47秒0。

重賞馬ムスカテールやグロンディオーズの半弟にあたる良血馬で見事なデビュー戦を見せてくれましたが、ゲート入りを渋ったり序盤も行きたがるなどまだまだ幼さを残す状態とのこと。
現役屈指の名伯楽のもとでこれからどう成長して、どのような活躍を見せてくれるのか、楽しみな1頭ですね。

阪神6R ダ1800 曇・重 11頭

コンティノアール

牡馬
ドレフォン×パンデリング
母の父:キングカメハメハ
所属:栗東)矢作芳人厩舎
生産:レイクヴィラファーム
鞍上:坂井瑠星騎手
530㎏ 1番人気 8枠11番

重賞2勝馬オーヴェルニュの半弟ヴァレーニュや、2020年のG3きさらぎ賞勝ち馬コルテジアの半妹クレメダンジュが登場した新馬戦で、ライオンレースホースから今年2頭目の新馬戦勝ち馬が誕生しました。

母がアーモンドアイの半姉という期待馬コンティノアールは、大外から悪くないスタートを切るとそこからスムーズな加速を見せて2番手へ。
先頭に立ったミッキーゴーゴーを半馬身後ろからマークする形でレースを進めます。
4コーナーに入ると早めに前に並びかけ、直線に入ったところでは完全に並走状態に。
コンティノアールはそこから上がり最速タイとなった37.6秒の末脚を見せて後続を振り切り、見事1番人気に応えました。

勝ち時計は1分56秒1。
矢作厩舎の所属馬はこの勝利で今週の新馬戦2戦2勝となっています。

東京6R 芝1600 曇・良 18頭

ビヨンドザヴァレー

牝馬
イスラボニータ×リリーオブザヴァレー
母の父:Galileo
所属:栗東)橋口慎介厩舎
生産:社台ファーム
鞍上:横山武史騎手
448㎏ 2番人気 8枠18番

2016年のG2青葉賞勝ち馬ヴァンキッシュランの半妹が見事デビュー勝ちを決めました。

18頭立ての大外からスタートとなったビヨンドザヴァレーですが、飛び出すような見事なスタートを決めると、同様に好スタートを切った1つ内のニシノレールガンの後ろについて2番手で折り合います。
そのままレースを進めて直線に入ると、徐々に加速してニシノレールガンを交わし先頭へ。
残り400を切ったところで内からアフターグロウ、その後外から1番人気パルティキュリエが迫ってきましたが、ビヨンドザヴァレーは最後までしっかり脚を伸ばしてこの追撃を振り切りました。

勝ち時計は1分34秒1。
次走の予定は馬の状態を見てからとのこと。
素晴らしいスタートから計算されたレースを見せてくれたように感じましたが、横山騎手は能力だけで勝ったようなものとコメントしており、今後更なる成長に期待の1頭です。

2022年10月09日(日)

阪神3R ダ1400 曇・稍重 11頭

エコロアレス

牡馬
Unified×Red Hot Tweet
母の父:Heatseeker
所属:栗東)森秀行厩舎
生産:St.Simon Place LLC & Scott Stephens
鞍上:武豊騎手
460㎏ 1番人気 1枠1番

この世代の管理馬がこれまでに2頭新馬戦勝ち、1頭が未勝利戦を勝ち上がっており、その全頭がマル外馬という森厩舎からまた1頭マル外の新馬戦勝ち馬が誕生しました。

最内からのスタートとなったエコロアレスはゲートの出はまずまずでしたがそこからの二の脚が抜群。内枠も活かしてダートコースに入る頃には先頭に立ちます。
名手のペース配分でエスコートされたエコロアレスは直線に入っても余力十分。どんどん差を広げていき2着ゼットリアンに5馬身差をつけ1番人気に応えました。

勝ち時計は1分25秒1。

武豊騎手からもスピードがあり素直で真面目、と高評価で、次走での走りにも注目ですね。

東京4R ダ1600 曇・稍重 16頭

ネイビースター

牡馬
ドゥラメンテ×メジロマリアン
母の父:メジロベイリー
所属:美浦)林徹厩舎
生産:レイクヴィラファーム
鞍上:吉田隼人騎手
524㎏ 2番人気 7枠14番

2022年京都新聞杯勝ち馬アスクワイルドモアの半弟カレンアルカンタラが1番人気、2022年レパードS勝ち馬カフジオクタゴンの半弟ネイビースターが2番人気に推されました東京4R。

ゲート入りを渋りながらも好スタートを切ったネイビースターは、そのままスムーズに加速して序盤は3-4番手。
外目を回りながら直線に入り、残り400を切った辺りで先頭へ。
そこからも力強く脚を伸ばしたネイビースターは、2着ドライブアローカスに3馬身差をつけゴール。

勝ち時計は1分36秒9、上りは最速の36.3でした。

キックバックや馬混みでの反応も勉強させたかったがスムーズに勝ってしまったと吉田騎手が語るなどまだまだ発展途上。
次走は未定とのことですが次はどのような走りを見せてくれるのか、楽しみな1頭がまた増えました。

阪神5R 芝1800 曇・良 9頭

マルカシャルマン

牝馬
ノヴェリスト×ナチュラルスタンス
母の父:フジキセキ
所属:栗東)浜田多実厩舎
生産:社台ファーム
鞍上:小沢大仁騎手
430㎏ 6番人気 8枠9番

6番人気、9頭立ての9番からスタートとなりましたマルカシャルマンは、スタートは遅くはありませんでしたが無理せず5-6番手にポジションをとりレースを進めます。
残り1000mを通過した辺りから徐々に差を詰めると、外を回しながら直線へ。
直線半ばまでジッとこらえたマルカシャルマン、小沢騎手の左ムチが入ると一気に加速して先行していたシテ、ジュエルピーチらを差し切っていきました。

勝ち時計は1分48秒0。

2年目の19歳ジョッキー小沢騎手はこれが今年の新馬戦初勝利となりました。

東京5R 芝2000 曇・良 15頭

ミッキーカプチーノ

牡馬
エピファネイア×スティールパス
母の父:ネオユニヴァース
所属:栗東)矢作芳人厩舎
生産:千代田牧場
鞍上:戸崎圭太騎手
520㎏ 3番人気 1枠1番

重賞2勝馬ヴェルデグリーンの半弟グリューネグリーンや、2017年の秋華賞を始め国内外で重賞5勝を挙げたディアドラの半弟フリームファクシがデビュー戦を迎えたこのレースで、「ミッキー」の冠名で有名な野田みづきオーナーが今年の新馬戦初勝利を挙げました。

このレース最大の520㎏の馬体で1枠1番からスタートしたミッキーカプチーノは、ラチ沿い4番手でレースに入ります。
直線に入り暫くは前を外にスペースが無く我慢を強いられましたが、残り400を切って外が空くと進路を得て進出を開始。
逃げていた1番人気フリームファクシに外から並びかけ、クビ差前に出てゴールを迎えました。

勝ち時計は2分01秒1。

矢作厩舎はこれで今週の新馬戦3戦3勝。
鞍上戸崎騎手はこの勝利で3年ぶり8回目のJRA年間100勝を達成しました。

2022年10月10日(月)

阪神4R 芝1400 曇・重 13頭

スーパーアグリ

牡馬
リオンディーズ×クラシックリディア
母の父:ハービンジャー
所属:栗東)矢作芳人厩舎
生産:ノーザンファーム
鞍上:坂井瑠星騎手
452㎏ 5番人気 3枠3番

F1日本グランプリが鈴鹿で行われた翌日、阪神でスーパーアグリと名付けられた青鹿毛の牡馬がデビュー戦を勝利で飾りました。

悪くないスタートを切ったスーパーアグリは先行勢をリズムよく追走し4番手。
4コーナーを回りながら進路を先行3頭の外に決めると、鞍上坂井騎手の追い出しに応えて重馬場発表の阪神の直線で力強い末脚を披露。
2着コスモエポラールに1と1/4馬身差をつける良い内容のレースでした。

勝ち時計は1分22秒2。
矢作厩舎はこの勝利で今週の新馬戦驚異の4戦4勝となりました。

ABCマート創業者である三木オーナーは先月のティファニードンナに続いて新馬戦2勝目。
馬主活動は2019年からだそうですが既に異なる3頭で重賞3勝と結果を出しており、スーパーアグリの活躍と共に目の離せないオーナーと言えそうです。

阪神5R 芝2000 曇・稍重 9頭

グランヴィノス

牡馬
キタサンブラック×ハルーワスウィート
母の父:Machiavellian
所属:栗東)友道康夫厩舎
生産:ノーザンファーム
鞍上:川田将雅騎手
518㎏ 1番人気 5枠5番

「大魔神」佐々木主浩オーナーが今年の新馬戦初勝利を挙げました。

5枠5番からスタートとなったグランヴィノスは、まずまずのスタートを切ると無理せず6番手で折り合いレースに入ります。
向こう正面に入ってから徐々にポジションをあげていき、直線に入ると6頭で形成された馬群の後方外から一気に加速して抜け出し、2着セレンディピティに1馬身半差をつけて1番人気に応えました。

勝ち時計は2分03秒5。

同オーナーと友道調教師のタッグで活躍したヴィルシーナ、シュヴァルグラン、ヴィブロスという3頭のG1馬達の半弟。
期待の良血馬の今後に注目です。

東京5R 芝1600 小雨・稍重 13頭

シンリョクカ

牝馬
サトノダイヤモンド×レイカーラ
母の父:キングカメハメハ
所属:美浦)竹内正洋厩舎
生産:下河辺牧場
鞍上:吉田豊騎手
440㎏ 4番人気 5枠7番

2018年阪神JFを含む重賞6勝馬ダノンファンタジーの半妹レーベンスベルーフらがデビューを迎えました東京5R。

4番人気に推されましたシンリョクカは好スタートを切り、一時は3番手辺りになりますが、少し引いて5番手でレースを進めます。
ほぼそのままの位置関係で直線に入ると外に進路をとり、400を切ると加速を開始。
200mで内の4頭をまとめて差し切り抜け出すと、2着となった1番人気エピメテウスに3馬身半差をつけてゴールを駆け抜けました。

勝ち時計は1分36秒6。

飼い葉食いが細く、まだ最低限の調教しかできていないというなかでの勝利。
一度放牧に出るようですが、秋を越えて成長した姿を見せてくれるのが楽しみですね。

29年目のベテラン吉田豊騎手はこれが今年の新馬戦初勝利となりました。

東京6R ダ1400 曇・重 16頭

マーゴットレーヴ

牝馬
エスポワールシチー×シリカ
母の父:メイショウボーラー
所属:美浦)伊坂重信厩舎
生産:プログレスファーム
鞍上:三浦皇成騎手
452㎏ 6番人気 3枠6番

13レース開催された3日間開催の新馬戦は、前田良平オーナー・伊坂調教師・生産のプログレスファーム・父エスポワールシチー4者にとっての嬉しい今年の新馬戦初勝利で終えることになりました。

好スタートをきったマーゴットレーヴは勢いよく前に出ていきますが、ハナを切るのは外から来たエコロウォーリアに任せ、それに続いたドナルビーの後ろ3番手で折り合いレースを進めます。
そのまま直線に入ったマーゴットレーヴ。前と外にはスペースが無く、詰まってしまったかと思われましたが、ここで前のエコロウォーリアと内ラチの間にスペースを見い出し、そこに飛び込んでいきます。
鋭く抜け出した時点で残り200m。
外からロミオボスとキョウエイカンフが追い込んできましたが、マーゴットレーヴは重馬場のダートを力強く走り抜き先頭でゴール。

勝ち時計は1分25秒0でした。

次走は未定とのことですが、デビュー戦から良いスタートを決め、キックバックも狭いスペースも嫌がらず豊かなスピードを披露する好レース。
ダートで活躍した父の名を更に挙げるような活躍に期待の1頭です。


以上、今週のメイクデビュー勝ち馬13頭を見ていきました。

この仔達がこれからどのような成長を見せてくれるのか、また今週末の新馬戦ではどんな仔達がデビューしてくるのか、週末を楽しみに待ちたいと思います。

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