新馬戦回顧、第2回は6月6日の東西新馬戦を取り上げます。
中京で1レース、東京で2レース開催されましたので、まずは西の新馬戦から振り返ります。

中京5R 芝1400m プレスレスリー 栗東:藤岡厩舎

中京1400mの新馬戦を勝利したのは、ゴドルフィン・ブルーの勝負服のブレスレスリーでした。
鞍上には藤岡康太騎手。父・藤岡健一調教師と親子タッグでの勝利です。
ブレスレスリーの父は新種牡馬アメリカンペイトリオット。こちらはアメリカでマイルのG1を勝利しています。
母のハッシュは芝短距離戦に良績があり、スピード能力を期待された配合と言えるでしょう。

レース概況

大外13番のエクセトラが好スタート、反対に最内1番枠のユイがで負けして後方に置かれてしまいます。
そのほかの各馬は五分のスタートを切り、団野騎手がコウユーキレカをハナに誘導します。その内から二の脚で加速したブレスレスリーが並びかけてハナに立ち、コウユーキレカが外から並びかけて2番手に位置取ります。

逃げる2頭を見る位置でスタニングローズが3番手に。好スタートのエクセトラは無理なく4番手、その内側ではタイガークリスエスとソーマレイオウが掛かってしまい、折り合いがつかずにコーナーへ。マイネルレノンも馬群の中5番手の位置で追走します。

4コーナーから先行集団が仕掛けはじめますが、外を追走していたエクセトラとスタニングローズの手ごたえが悪く、先に抜け出したブレスレスリーが芝のきれいな外側へ持ち出します。ブレスレスリーの真後ろで構えていたマイネルレノンと追われて盛り返したスタニングローズが差してきます。しかし、最後は脚色が同じになり、ブレスレスリーがセーフティーリードを守って逃げ切りました。2着にスタニングローズ、3着にマイネルレノン。4着以下を6馬身離しての決着となりました。

勝馬・注目馬短評

勝馬:ブレスレスリー

スタートは五分の発進でしたが、藤岡康太騎手が促すと内枠を利してすぐにハナに立つことができました。
また、終始競りかけられたにもかかわらず、かかることもなかったので、最後の直線で進路を選ぶ余裕もありました。その結果、後続の馬が末脚を発揮する前にセーフティーリードを保ってゴールまで逃げ切り勝ち。
距離は血統を見ても1400mか1200mが良いと思いますが、レースセンスの良さでマイルまではこなせるかもしれません。今回のレースとは反対に、外枠から内枠の先行馬に競りかけるレースが出来るか見たい馬です。

注目馬:ユイ

出遅れから永島騎手が最後まで諦めずに追った結果、ユイも最後まで諦めずに新馬戦を完走できました。
父は短距離王ロードカナロア。母のトリニティプレイスは下河辺牧場の繁殖牝馬で、現役時代は地方競馬で3勝をあげました。引退レースとなった芝500万下のレースでも2着に入り、どちらの適性もあるようです。

前の2頭がハナ争いをしていた段階で最後方にいたユイは、先頭からおよそ20馬身は離されてしましましたが、勝ったブレスレスリーと遜色ない36.0秒の末脚を繰り出しました。スタートを決めることができれば、更に着順をあげることが出来るでしょう。

東京5R 芝1600m(牝) クレイドル 美浦:黒岩厩舎

牝馬限定の新馬戦らしく、阪神ジュベナイルフィリーズや桜花賞、オークスを目指す良血馬たちが集いました。勝ったクレイドルはクロフネのラストクロップ。半兄に朝日杯2着、皐月賞3着、ダービー3着と一線級で活躍するステラヴェローチェがいます。クレイドルもG1を期待できる馬に成長できるでしょうか。

レース概況

フルティージャ以外は五分のスタートを決め、加速がついたスクリーンショットが逃げを打ち、ミギーフェイスがついてゆき2番手で続きます。サウンドビバーチェが3番手、コムストックロードが4番手、出遅れから巻き返しを図るフルティージャは5番手まで上がりました。クレイドルは6番手外、キセキノエンジェル、リアグラシア、ナンデフェスティブらが中段に位置取り、レディナビゲーターは後方で末脚を溜めてコーナーへ。

コーナーをロスなく最内で抜けたスクリーンショットが先頭で直線に入りますが、馬場の三分どころからミギーフェイスが追い出して逃げるスクリーンショットを振り切ろうとします。その外から差してきたクレイドルとコムストックロードが併せながら残り200mで先頭が入れ替わり、更に外からリアグラシアとレディナビゲーターが鋭い末脚を繰り出します。

先行集団を見ながら抜け出したクレイドルが1着、外から追い込んだレディナビゲーターが2着、リアグラシアが3着、クレイドルと併せていたコムストックロードは残り50mあたりで振り切られ4着、ミギーフェイスが5着でした。

勝馬・注目馬短評

勝馬:クレイドル

父のクロフネは牝馬のマイラーに活躍馬が多く、直近では白毛のアイドルホース、ソダシもクロフネの産駒です。切れ味よりもスピードの持続力で勝負する産駒が多く、福永ジョッキーがそつなくエスコートしたことで、安全にレースを進めることができ、持ち味が発揮されました。

また、最後の直線からゴールに至るまで常に他馬と併せる形で直線を戦いましたが、最後まで集中力を切らさずに走り切れた姿には、勝負強さも垣間見えます。

今後は距離との戦いとなりそうですが、マイルまでならスピードを活かしたレースが出来るでしょう。

注目馬:ミギーフェイス

東京開催は外を差す馬が優勢な馬場コンディションでした。
このレースでも掲示板に入った馬のほとんどが外から差した馬が4着までを占めた中で、逃げ馬を見ながら2番手で進め、5着に粘りこめた結果は、負けて強しの内容と言ってよいでしょう。

より芝のきれいなレースや前が残りやすい小回りコースの未勝利戦であれば、後方からの追撃をしのいで前進が見込めそうです。

東京6R 芝1400m ビーオンザマーチ 美浦:林厩舎

5Rより1ハロン短い1400mでの新馬戦も、勝ったのは牝馬ビーオンザマーチでした。
モーリス産駒らしい馬力のあるパワフルな走りで、荒れたインコースに進路を切り替えても、末脚が鈍ることはありませんでした。

レース概況

バーマンがやや出負け気味でしたが、各馬大きな出遅れのないスタートを切りました。
ニシノスーベニアが馬格の大きさを活かしてハナに立ち、イグザルトが2番手、ポルティフォナは前とやりあわずに3番手で進めます。ロープスピニングが外、ジェイケイボスが内に並んで4、5番手、ビーオンザマーチはデムーロ騎手に促されながら後方集団の中でレースを進めます。

逃げを打ったニシノスーベニアは残り300mまで先頭を守り、粘り込むための鞭が入ります。
先行した馬たちはばててしまいインコース側が密集したため、差し馬たちは外から追い出しにかかります。終始デムーロ騎手に追われていたビーオンザマーチがパワフルな脚で抜け出し1着でゴール。大外から追い込んできた2着サトノストロング、3着マニカルニカの2頭は外を回したロスの分追い届きませんでした。
逃げたニシノスーベニアはマニカルニカと首差の4着に粘り、苦戦した先行勢の中で上位に食い込む力を見せました。

活躍馬・注目馬短評

勝馬:ビーオンザマーチ

1400mのレースでしたがデムーロ騎手に終始追われていたところを見ると距離はもう少し長くてもよさそうに見えます。マイルや1800mにも対応できるかもしれません。また、このレースではニシノスーベニア以外の先行馬がばてて止まってしまったため、直線に入ったところで進路を見つけてから鞭を入れたデムーロ騎手の手腕に助けられての勝利でした。

後ろ脚の蹴りの強さが目を惹き、脚力があることで他馬がばてる展開の中でも最後まで脚を使い切ることができたのでしょう。瞬発力勝負では分が悪いですが、底力勝負では引き続き牡馬相手でも健闘出来そうです。

注目馬:ジェイケイボス

先行5番手から手ごたえを残して直線に向いたものの、外に出したいところでロースピニングとビーオンザマーチに蓋をされてしまい、インコースに切り替えた先にはばてた先行馬たちが密集し、進路を見いだせないままレースが終わってしまうもったいない結果となりました。

最後に最内から抜け出しましたが時すでに遅し、外から差してきた馬たちで決まってしまい、直線で外に出せなかったのが悔やまれる敗戦です。

新馬戦では対戦相手の実力も未知数であることが多く、展開のあやで負けてしまった今回の経験を糧に、次走はもう一度末脚を試してほしいところです。不利が無ければ上位争いできたことでしょう。

総評

東西3レースの新馬戦、いかがでしたか?
開催最初の新馬戦5レースでは、全て違う種牡馬の勝利となりました。
次週から夏の北海道シリーズが開幕し、札幌競馬場も合わせた3場で土日併せて6レースが組まれております。

勝った馬たちはもちろん、初めてのレースは不完全燃焼で終わってしまった馬たちも引き続き取り上げます。
次週のレース回顧もぜひ、ご覧下さいませ。

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