[札幌記念・北九州記念]今も駆ける スター"ウマ娘"の血を引く者たち〜日曜日の重賞編〜

巷で話題になっているゲームアプリ「ウマ娘 プリティーダービー」。

実際の競走馬をモデルにしたこのゲーム。登場するウマ娘たちの中に現役で走っている馬をモチーフとしたキャラクターはいませんが、子供、孫あるいは親戚にあたる馬が現役で駆けている例はたくさんあります。

そういった競走馬を「ウマ娘 プリティーダービー」から競馬を持った方々にも応援してもらいたい。そんな思いからこの「今も駆ける スターの血を引く者」では、ウマ娘にも登場するキャラクターのモデルとなった競走馬と血縁関係に当たる馬を、その週のビッグレースからピックアップして紹介していきたいと思います。

今回は札幌記念と北九州記念の出走馬から1頭ずつ紹介します。

札幌記念 ウインキートス

目黒記念に続く重賞連勝を狙うウインキートス。父は「白い不沈艦」ゴールドシップです。

ゴールドシップは2歳の夏に北海道でデビューしています。デビュー戦は函館芝1800m。1番人気はディープインパクト産駒の良血馬サトノヒーローに譲ったものの3コーナーからジワジワと内目を上がっていき、好位に取り付くと、ゴール前で逃げるコスモユッカをグイとひと伸びして差し切る後の活躍を予感させる強い競馬で勝利。タイムは1.51.2は当時の函館芝1800mの2歳レコードでした。

続くオープン特別のコスモス賞は中団やや前でレースを運びます。外から並びかけられると闘争心に火がついたように一気に加速。直線入り口で余裕をもって先頭に立ち完勝。直線先頭に立つとやや気を抜くような素振りを見せたのもゴールドシップらしいと言えるでしょう。

続く札幌2歳Sは、当時「アグネスタキオンの最高傑作」と噂されていてグランデッツァに敗れ2着となりますが、その後順調に成長を遂げ皐月賞、菊花賞、有馬記念などを制し名馬の階段を着実に上っていきます。

デビューから3年が経った5歳の夏。ゴールドシップは再び札幌競馬場に帰ってきます。その年の秋に凱旋門賞挑戦が決まっていたのでその前哨戦に札幌記念がチョイスされたのです。

その年の札幌記念は、その年の桜花賞馬で父にディープインパクト、祖母に二冠牝馬ベガ、おじにダービー馬アドマイヤベガを持つ良血馬、ハープスターと人気を分け合いました。そしてレースでもその二頭は一騎打ちを繰り広げます。

ゴールドシップとハープスター、ともに追い込みの競馬を得意としていたため、向こう正面ではハープスターが後ろから2頭目、ゴールドシップが最後方と言う位置取り。しかし、3コーナー手前あたりから2頭が一気に外から捲っていくと、4コーナー出口では2頭が先頭に立つと言う「らしさ」を見せる競馬。直線は2頭が後続を突き放しマッチレースになるものの52キロと言う、ゴールドシップに比べて5キロ軽い斤量も奏功したかハープスターが優勝しました。

敗れはしたもののゴールドシップの北海道での成績は4回走って2勝2着2回と安定した成績を誇っていました。パワーが必要とされる洋芝に合っていたのかもしれません。

今年父の雪辱を果たすことが期待されるウインキートスは「気分が乗らないと走らない」と言われていたゴールドシップと違い、前々走の日経賞で15着と敗れた以外は掲示板を外したことがない堅実派。

孝行娘が父の果たせなかった「札幌での重賞制覇」を果たせるかどうか、注目です。

北九州記念 ファストフォース

7月に北九州記念と同じCBC賞を優勝したファストフォース。母の父は「バクシン学級委員長」サクラバクシンオーです。

ウマ娘のプレイヤーにとって「典型的スプリンター」と言うイメージが強いであろうサクラバクシンオー。実際の競走馬も「歴代最強スプリンター」の声も上がるほどの名短距離馬でした。鍛え上げられたその馬体はカール・ルイスやウサイン・ボルトを彷彿とさせる筋骨隆々具合。以下にも短距離に合いそうな馬体からそれにふさわしいスピードを発揮し、11勝全てを1400m以下であげるスペシャリストぶりを発揮していました。

特にファンの間で語り草となっているのが引退レースとなった1994年のスプリンターズSです。1200mのレースは人間の短距離走と同じようなスタートからゴールまで一息で駆け抜けるようなレースと言うイメージです。その為、先手を取ろうとする馬は騎手がスタート直後から手綱をガシガシ押して前目のポジションを取ろうとします。しかし、このレースのサクラバクシンオーは騎手が押さずとも逃げ争いをする馬たちのすぐ後ろに取り付きます。4コーナーを回っても騎手の手綱は微動だにせず持ったまま。直線に入ってからゴーサインを出すとあっという間に後続を突き放し4馬身差圧勝。短距離戦、それもG1レースとしては異例の圧勝劇。勝ちタイムの1.07.1は当時の日本レコード。まさに「速さの極限に達した競走馬」と言える強さでした。

そんな「速さ」を売りにしていたサクラバクシンオーは産駒にもそのスピードを存分に伝えています。

小倉芝1200mコースはスタートからゴールまでほとんど上り坂がなく、外連味のないスピードを存分に生かせるコース。その為か、距離が1800mから1200mに短縮された過去15年の北九州記念のうちサクラバクシンオー産駒は4勝を挙げています。そういった意味では母の父にサクラバクシンオーを持つファストフォースは注目の存在と言えるでしょう。

ファストフォース自身に目を向けると、夏に1200m以下で行われる6重賞の通算成績を競う「サマースプリントシリーズ」の第2戦CBC賞を先述の通り制しており、ここを勝てばシリーズチャンピオンに大きく近づくレースとなっています。優勝馬の陣営には賞金も与えられるため、ここは是非とも勝ちたいレースだと思います。力の入れ方も半端ないでしょう。そういった意味でも期待が持てる1頭なのではないでしょうか。

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