[AJCC]人気の中心は菊花賞一番人気馬ガイアフォース。さらにノースブリッジ、エピファニー、エヒトら実力派が集結。 - 重賞プレビュー

今週は中山競馬場でAJCCが行われます。
すっかり1月の中山開催のG2競走としておなじみですが、個人的なイメージとしては『昨年の秋にG1に出走したものの力を出し切れなかった馬たちが出走して、ここを勝って改めて能力を証明する…』というレースです。

今年も昨年のG1での悔しい思いを晴らして、改めてG1で勝負していきたい馬たちが集まったように見えます。レース後に『ああ、この馬やっぱり強いよね』と思えるような実力馬の再始動に期待しましょう!

今年は一強体制か AJCC出走馬紹介

断然の人気を背負っても勝ち切れるか? ガイアフォース

今年のAJCCを考える上で、ガイアフォースが中心になるのは間違いありません。
同じ中山芝2200Mで行われたセントライト記念では、外から差し切って勝利。2着に負かしたのが次走で菊花賞を勝つことになったアスクビクターモアということを考えれば価値が高いですし、同レースで5着だったラーグルフが中山金杯を勝ったことも考えれば、ここでは力上位と言えます。斤量も57キロで今回はルメール騎手騎乗ということになれば、かなり人気も集中することでしょう。少し時計がかかり始めている中山の馬場を考えれば、やや重馬場で勝ったセントライト記念の再現となる可能性が高いと言えます。まずはこの馬の扱いをどう考えるか、という点が論点となりそうです。

菊花賞では8着に敗れた敗因の分析は、取り扱いを考える上でカギとなりそうです。
道中は中団の最内を進んでいましたが、勝負ところの2周目の3~4コーナーではすぐ外にジャスティンパレスがいて動くに動けず、外から圧力を受けていたようにも感じました。3000Mの距離が長かったという点もあるでしょうが、外々をスムーズに回った方がいいタイプなのは確かです。展開によって内々を通ることになってしまっては、この馬にとって厳しい流れといえるかもしれません。重箱の隅を突くような感じですが、気になる点はそこでしょうか。

折り合いが鍵となる重賞馬 ノースブリッジ

ガイアフォース対抗勢力の筆頭格は、ノースブリッジになるでしょうか。
昨年はエプソムカップを勝って秋に毎日王冠、天皇賞秋へと挑みましたが5着、11着と結果が出ずに終わりました。ノースブリッジにとって、このレースが再始動戦と言えそうです。

ただ、同馬は左回りの東京コースで結果を出してきた馬であり、中山芝2200Mは21年のセントライト記念で10着と大敗しています。スタート後に逃げて、その後に控えたものの、内に押し込められるような形になってしまって直線で失速してしまいました。

今回も逃げる可能性の高いバビットを行かせて折り合うことができるかどうか、が鍵になるでしょうか。

折り合いの難しいところは鞍上の岩田康騎手も認めるところですが、逆に言えばそうした馬をどうコントロールするのかが見ものでしょうか。毎日王冠はかなりハイレベルなメンバーでレコード決着。そこでの5着は価値が高いと言えます。

怒涛の4連勝、一気に重賞制覇なるか エピファニー

地力上位の馬に対して、4連勝中と勢いのあるエピファニーがどこまで対抗できるかという点も、今年のAJCCの注目点と言えるでしょう。

昨年の3月に未勝利戦を勝った後、怒涛の4連勝をあげたエピファニー。今回が、初の重賞挑戦になります。
前走のノベンバーS(東京芝1800Mの3勝クラス)では道中2番手で進んで上り3ハロン33秒3の瞬発力を見せて2着馬との競り合いを制しました。折り合いが難しい馬ではあるものの、能力の高い馬と見ていいでしょう。

東京芝1800Mの走破タイム的には、開幕週でレコード決着の毎日王冠には及びませんが、上り3ハロン33秒3は優秀と言えます。中山コースも2勝クラスでは1800Mの距離で勝っています。

今回は2200Mへの距離延長と時計のかかる馬場、重賞のメンバーに入ってどうか──さらにはバビットが逃げる展開で折り合いはどうか、という点がポイントになるはずです。

課題は多いものの、素質的にはここでも通用する可能性のある馬ではないでしょうか。

ベテランが活躍するAJCC、田中勝春騎手を背に エヒト

このレースはパワーが必要な中山での別定戦であるので、6,7歳の高齢馬の活躍が目立ちます。

昨年の勝ち馬キングオブコージは6歳、2着のマイネルファンロンは7歳馬でしたし、19年の勝ち馬シャケトラも当時6歳。18年の3着マイネルミラノは8歳馬とベテランの頑張りが光ります。そういう意味では今年6歳のエヒトも注目と言えるでしょう。

昨年は七夕賞で重賞初制覇。前走のチャレンジカップも3着と健闘。鞍上の大ベテラン、田中勝春騎手とのコンビは注目です。七夕賞、チャレンジカップと右回りの中距離重賞で結果を出しているので今回も同様に走れる可能性があると見ていいでしょう。

直線の不利があった中山金杯から巻き返せるか レインカルナティオ

最後に穴人気しそうなレインカルナティオについて取り上げます。

前走の中山金杯では直線に入って、ここから伸びるかという時に左右から挟まれてしまって失速してしまいました。騎乗した石川騎手も悔しかったことでしょう。同様に不利を受けつつも外を通っていたアラタは中山金杯で4着だったことを考えれば、レインカルナティオも2、3,4着争いはできていたのかもしれません。

また、今回3勝クラスを勝って参戦するスタッドリーとは夏の五稜郭Sで対戦していて、レインカルナティオが差の無い2着に対し、スタッドリーは勝ち馬から0秒2差の3着と力上位。スタッドリーは前走の勝ちっぷりから注目されそうですが、レインカルナティオは同等の評価でも良いはずと言っていいかもしれません。

ただ、中山金杯はスムーズに走れていたとしても2,3着。勝ったラーグルフと今回人気のガイアフォースはガイアフォースの方が先着しているので、力関係の順列をどう考えるかがポイントになりそうです。

中山の馬場について

最後に今の中山芝についてご紹介します。

年が明けてからCコースでの開催になり、年末の開催から少し馬場が回復しましたが、先週土曜で雨が降った中でレースが行われたので馬場のダメージが蓄積されています。今週で、一気に馬場が悪くなる可能性もあります。

雨の影響を受けた先週の日曜のレースでは内で逃げ残る馬もいましたが、あとのレースになるにつれて外からの差し馬の方が良く伸びていました。メインの京成杯も勝ったソールオリエンスは外からの豪快な差し脚が目立ちましたし、2着のオメガリッチマンは道中は内を進んでいましたが直線に入ると一気に外に出して伸びてきました。AJCCでも外から差し脚を伸ばす馬の方が展開と馬場が向くという可能性は十分にあると言っていいでしょう。


今年のAJCCはガイアフォースが中心になるのは間違いありません。

一強と考えるのか、2〜3着と考えるのか、着外もあり得ると考えるのか──。

他馬もなかなか強力です。前評判ほどすんなりとレースが終わってしまうとは考えにくいといえるのではないでしょうか。この記事が皆様の参考になれば幸いです。

写真:かぼす

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