[東海S]四位洋文調教師に初の重賞タイトルをもたらすか、ハギノアレグリアス。今年はフェブラリーSに直結しそうな東海S組に注目! - 重賞プレビュー

今年最初の中央G1フェブラリーSの前哨戦、東海Sが行われます。つい先日、年が明けたと思ったらもうG1の前哨戦ということで、慌ただしさも感じながらではありますが、G1を目指す実力馬たちのガチンコ勝負を見届けたいですね。

ここからフェブラリーSへ!
ダート界の主役へと飛躍する馬はいるか?

現在のダート界は非常に混戦で主役不在と言えます。

昨年のチャンピオンズカップではジュンライトボルトが見事な差し切りを見せましたが、前半1000Mの通過が1分02秒1と、G1としてはかなりスローペースとなりました。その後もペースが上がらず、残り400Mから11秒9-12秒3と一気に速くなった切れ比べのレースと言えます。いわゆるスローからのヨーイドンという競馬で、G1のレースとしてはかなり物足りない展開とタイムと感じたファンも多かったのではないでしょうか。

そのため、コースが替わり、展開もガラッと変わる可能性の高いフェブラリーSの参考にはしにくいのではないでしょうか。そうした点では、G1の前哨戦である東海Sと次週の根岸Sが大きな意味を持つと言えるでしょう。特に根岸S組は1400M~1600Mの距離が得意で、スピードでガンガン飛ばしていく馬が出走を予定しています。フェブラリーSはスタート後から速いペースになる可能性が高いので、スタミナや底力のある馬が多く出ている東海Sはしっかりチェックしておきたいところでしょう。

今年の東海Sの出走馬は新興勢力に注目?

今年の東海Sの出走馬はこれまでG1に出走した馬が少ない上に、前走3勝クラス勝ち馬が多い点が特徴です。

例年だと、地力は高いもののチャンピオンズカップで力を出せなかった馬が東海Sで巻き返さんとする馬が中心にいました。しかし今年のメンバーで前走が昨年のチャンピオンズカップだったという馬は、オーヴェルニュとスマッシングハーツの2頭のみ。中京ダートが得意の2頭が巻き返す可能性もありますが、今回は初のG1出走を目指す新興勢力に注目すべきでしょう。

レース全体の構図としては、重賞・OPでまずまずの結果を残してきた馬VS地方のレースで結果を残してきた馬VS前走で3勝クラスを勝った昇級組という組み合わせの。ここからどの馬が勝ち切って、フェブラリーSの有力馬として名乗りを上げるのでしょうか。

混戦必至の東海S 出走馬たち

混戦気味のメンバーではありますが、人気の中心になりそうなのがハギノアレグリアスです。
同馬は3勝クラスを勝った後に屈腱炎で1年8か月の長期休養に入ることになりますが、その後、調教師免許を取得した四位元騎手の厩舎に転厩。復帰2戦目の太秦Sを勝って、前走のみやこSでは2着と善戦しています。出遅れて後方からの競馬がハマったサンライズホープに差されてしまいましたが、アタマ差の2着はほぼ勝ちに等しいと言っていいでしょう。中京ダート1800Mは2勝クラス時に勝利しているように、コース適性もあります。脚質的にも安定している馬ですので上位に入る可能性が高く、今回は川田騎手騎乗で期待大と言えそうです。四位洋文調教師にとって初のOP勝利をもたらしたハギノアレグリアスが、厩舎に初の重賞勝ちをプレゼントしてG1のフェブラリーSへ向かうとなれば大きな話題になるでしょう。注目したい1頭です。

現在3連勝中と勢いのあるプロミストウォリアも注目の1頭です。デビューは3歳春の3月と遅かったものの初戦で勝利。その後2戦しましたが、骨折で長期休養となってしまいます。そして1年2か月後に復帰してから怒涛の3連勝と、一気にOPまで駆け上がりました。前走の摩耶Sは逃げながらも上がり最速でまとめ、2着に6馬身差の圧勝をしています。まだまだ上積みがありそうですし、能力の底を見せていません。重賞挑戦となった今回が試金石と言えますが、先行有利の中京ダート1800Mがピッタリあう可能性もあります。勢いそのままに重賞制覇の可能性もあり得るでしょう。

さらに、今年の東海Sでは前走で地方のレースを使った馬が参戦しているのも特徴でしょう。

なかでも、前走で浦和記念を勝ったクリノドラゴンは鞍上が武豊騎手ということもあって注目です。
昨年のシリウスSでは3コーナーでは最後方だったクリノドラゴン。直線に入っても進路ができずに残り200Mでようやく大外に出すとそこから伸びて4着と善戦しました。続くJBCクラシックも後方から進んで4着争いを制しました。JBCクラシックを勝ったテーオーケインズはチャンピオンズカップで4着でしたが、2着だったクラウンプライドはチャンピオンズカップで2着。JBCクラシック4着馬だったクリノドラゴンは相対的に力上位と言えるのは確かです。続く浦和記念ではレースの中盤から位置を上げていき、長くいい脚を使って差し切りました。シリウスS、JBCクラシックとハイレベルなレースを経験して地力強化しているのは確かでしょう。通常よりも差しが届きやすい今の中京ダートの傾向を考えれば、侮れない1頭になりそうです。

差し脚の鋭さではサンライズウルスも期待です。
前走のベテルギウスSでは逃げたピュアジャッジが2番手を離して逃げるという展開の中、直線で内の狭いところを通って、外から伸びてきたフィロロッソとの差し比べを制しました。ここ3走はOPで2,2,1着と好成績ですし、前走のベテルギウスS(阪神ダート1800M)のタイムはプロミストウォリアが勝った摩耶Sと同じ1分52秒0。3走前の太秦Sではハギノアレグリアスに0秒2差の2着でしたが展開と馬場傾向を考えるなら逆転の可能性もありそうです。

チャンピオンズカップでは明け4歳世代のクラウンプライドが2着、ハピが3着と世代の強さを示しましたが、明け4歳のウェルカムニュースも期待の1頭です。昨年2月のヒヤシンスSで8着後は長い休養に入りましたが、前走の竹田城S(3勝クラス)を勝ってOP入り。ダート1800M以上では4着以下がないという馬ですので底を見せていない魅力があります。前走の竹田城Sも道中4番手を追走して直線に入り、直線では外から並びかけようとしたハイエンドを差し返しての勝利とスタミナと勝負根性を見せました。プロミストウォリアがガンガン先行する流れになればスタミナと勝負根性が生きる展開になるでしょう。タフなダートで、より力を発揮しそうな馬と言えそうです。

今の中京ダートは差し有利?

最後に、今年に入ってからの中京ダートの傾向の変化についてご紹介していきます。

中京ダート1800Mはとにかく内、前が有利というのがセオリー。スタート地点が登り坂の途中にあり、1コーナーまでが短いのもあって、内枠の馬が前目の位置を取りやすく、逆に外枠の馬は前目の位置を取りにくい、取りに行くとスタミナを浪費しやすいコース形態と言えます。向正面に入って少し上ってから一気に下りが始まり、下りながら3コーナーに入るので向正面での捲るのが向かず、各馬が大きく動きにくい中で直線に入るので内々を通れる内枠の先行馬が有利なコースでした。

しかし今年に入ってからというもの、とにかく今年の中京ダート1800Mでは差し馬の好走が目立ちます。昨年と今年の日経新春杯の週までの計6日間の中京ダート1800Mのレースで、道中10番手以降を進んでいた差し、追い込み馬が馬券圏内に入った馬を数えてみると、下記の差がありました。

2022年(11レース)1着馬:1頭、2着馬:2頭、3着馬:5頭
2023年(9レース)1着馬:5頭、2着馬:5頭、3着馬:7頭

2023年の方が出走頭数が多いレースが多かったのは確かですが、これまで中京ダート1800Mのセオリーとは逆の差し、追い込み馬が多く馬券圏内に入っているのが分かると思います。はっきりとした理由は不明ですが、今の中京開催は関西の主場開催でもありますので、騎乗技術の高い騎手が多くいるという点、昨年よりも多頭数のレースになり、セオリー通り先行しようとしたら想像以上にタフなダートで先行馬が残りにくくなっている…というのが理由でしょうか。

前半にペースを抑えて進み、向正面の下りをいかしてスピードを上げていき、その勢いのまま長くいい脚を使って差し切るというパターンが増えたようにも感じます。東海Sではプロミストウォリアが速めのペースで逃げていく可能性もあるだけに差し、追い込み馬が追い込んでくる可能性も大いにあるでしょう。


今年の東海Sは混戦のフェブラリーSに向けて重要な位置付けになりそうですし、実力馬が揃ったガチンコ勝負になりそうです。

展開的にも逃げる馬、先行する馬、差してくる馬に実力馬がいるのでゴール前は白熱した好レースになるのではないでしょうか。2023年のG1に向けた戦いが始まる東海S。大いに注目しましょう!

写真:かぼす

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