クラシック候補の出現は歴史あるレースから
今週で1月開催の最終週となる中京競馬場では、きさらぎ賞が行われます。
きさらぎ賞と言えば、スペシャルウィーク、ナリタトップロード、ネオユニヴァース、サトノダイヤモンドといった後のG1馬を輩出しています。また、G1こそ取れなかったものの、ワールドエースやルージュバックらの大物感あふれる勝ちっぷりにも『この馬はクラシックを勝てる器だ!』と胸を熱くしたものでした。
今年も出走頭数は多くありませんが、クラシック候補と噂される馬が出走を予定しています。
上記の名馬たちに続けるかどうか注目です。
2023年 きさらぎ賞 有力馬紹介
フリームファクシ - 血統、馬主、その走り! これぞクラシック級の大物か!?
このレースの中心の1頭が、評判馬フリームファクシです。
半姉に秋華賞馬のディアドラがいる良血でデビュー前から注目された同馬。新馬戦では、後にホープフルSで1番人気に推されたミッキーカプチーノに差されて2着となりました。ただ、ミッキーカプチーノのその後を考えるならこの時点で重賞級の力は示していたと言えます。
その後は未勝利、1勝クラスと連勝することになるのですが、未勝利戦は直線の入口で勢いがついたところで前の馬が躓き、急な進路変更を余儀なくされながらも立て直して改めて加速。そんな不利がありながらもノーステッキで上り3ハロン33秒6と切れる脚を見せて完勝しています。
1勝クラスの前走も道中4番手を進んで危なげなく直線で抜け出し快勝。2着のダノントルネードも新馬戦で強い勝ちっぷりを見せた馬でしたので、フリームファクシの強さが際立ちました。
能力や立ち回りからも重賞級の力があるのは明白で、今回は前走と同じ中京芝2000M。圧倒的な人気を集めるでしょうし、その走りと勝ちっぷりが注目されることになるでしょうか。『金子オーナーが所持する高値の良血馬』という、いかにもクラシックを勝ち負けしそうな大物感ある同馬が、歴史あるレースからクラシックへと飛躍するその過程が見られるのかもしれません。
オープンファイア - ラストクロップのディープ産駒からまた1頭の大物候補
話題性という点ではディープインパクト産駒のオープンファイアもフリームファクシに負けていません。
現3歳世代がラストクロップの同産駒は国内に6頭しかいませんが、その少ない産駒の中からライトクオンタムが先日のシンザン記念を勝ち、オープンファイアが今回のきさらぎ賞に有力馬として出走するのですから改めてその血統の底力には驚かされます。
オープンファイアは新馬戦で今回と同じ中京芝2000M。道中は後方2番手で進んで直線では外へ。残り200Mを切ってもまだ前とは5馬身ほどの差がありましたが、残り100Mを切ってからの伸びが素晴らしく、あっという間に前を捕まえて差し切りました。続くアイビーS(東京芝1800M)ではスローペースで、逃げた馬が勝ち、2番手を進んでいた馬が残る展開のなか、後方2番手から追い込んで2着馬にクビ差まで迫りました。
おそらく2000Mがベストの同馬。道中は後方からの競馬になると思いますが、直線での切れは一級品です。先に抜けだすであろうフリームファクシにどれだけ迫れるか、が焦点になるでしょうか。
レミージュ - こちらも2勝馬 牝馬がここを選ぶのは自信の表れか?
今年のきさらぎ賞は中京芝2000Mで行われるので、1600Mの桜花賞が当面の目標になる3歳牝馬は選びにくいレースといえます。
最終的にオークスを目指すことになるにせよ、ひとまずは桜花賞路線だったり、ライトクオンタムのように対牡馬でも1600M前後のレースを選択する陣営が多い中、このレースを選択した牝馬がレミージュです。
新馬戦こそ12着と大敗してしまいましたが、その後は立て直して2連勝。
特に前走のエリカ賞はレース中盤で捲ってくる馬がいて一気にペースアップするレースで、前半1000Mが1分01秒8に対し、後半1000Mが58秒9という長く脚を使わされる展開になりましたが、2番手からプレッシャーをかけてきた3着馬や直線で大外から伸びてきた2着馬を抑えて逃げ切りました。持続力や底力は相当なものでしょう。
今回も逃げることになるかと思いますが、人気馬が中団、後方から差してくる展開になるのでマイペースで進められて恵まれた展開になる可能性が高いです。強豪牡馬が相手でも2,3着に粘るという可能性は十分にあるでしょう。管理するのは騎手時代に『牝馬の松永』と呼ばれた松永幹師。調教師となった現在は、管理する牝馬に期待しましょう。
ロゼル - 荒れた馬場、展開で浮上する可能性も秘める1頭
今回のように主役級の馬が明確に強い場合、意図的にペースや展開を荒らす馬が出てくる可能性を考慮すべきでしょう。そんな展開で注目なのが関東馬のロゼルです。
同馬は4戦目で未勝利戦を突破となりましたが、その前走が逃げた馬が2番手以降をやや離した展開。レースの中盤から後続が追い上げて上りがかかる底力勝負になりましたが、ロゼルは勝負ところで追って追っての展開の中しぶとく脚を使って差し切りました。スタミナと底力で勝負するタイプですし、最終週の荒れた馬場が向くタイプでもあるでしょう。重賞でどれだけ戦えるか、という点は未知数ですが、切れ比べになっても東京コースでは上り3ハロン33秒台を出せていたので上位に食い込むポテンシャルは十分でしょう。2000M以上で期待できる馬と言えるかと思います。
出走頭数が少なく、力の差があるメンバー構成ですので有力馬は上記の4頭になりますが、フリームファクシが突き抜けてしまった時にはシェイクユアハートとノーブルライジング上位候となるでしょう。2頭とも前走でフリームファクシと同レースに出走しましたが、いずれも3,4着と力の差を見せつけられてしまいました。ただ、前者は中京芝2000Mのコース経験の豊富さがありますし、後者は上り3ハロンはフリームファクシと同タイムで最速と直線での切れだけなら対抗できるレベルです。好走するだけのポテンシャルはあるでしょう。
レースは、レミージュが逃げて、フリームファクシが4番手辺りを追走し、オープンファイア、ノーブルライジングが後方を追走する展開になるでしょうか。ロゼルはスタートが不安定な面があるので、どの位置になるかは分かりませんが、直線での瞬発力がやや劣るだけに早めに動いていく形になるでしょう。それを見ながらフリームファクシが前を射程圏に入れて直線に入るという展開になるかもしれません。そこからはフリームファクシが突き抜けるのか、後方からオープンファイアが伸びてきて一騎打ちになるのか、数頭での叩き合いになるのか──と、考えるだけでもワクワクしますし、今回の走りがクラシックに続いていくことは間違いないでしょう。
この記事が皆さんの参考になれば幸いです。
写真:かぼす