[マーチS]絶好調の4歳世代が多数出走も、黄色信号!?ベテラン勢の逆襲はあるのか。 - 重賞プレビュー

実績馬も新興勢力も明け4歳勢が中心のメンバー構成
これからのダート界をけん引するのはどの馬か?

26日(日曜)の中山メインはマーチSが行われます。
マーチSはハンデ重賞で混戦のレースですが、時期的にも2月にフェブラリーSが行われた後ということから一線級のダート馬が出走しないこと、ドバイや高松宮記念へ主力騎手が参戦していることもあって非常に難解で波乱度の高いレースと言えます。昨年も2着に12番人気のケンシンコウが入る波乱の結果となりました。今年は週末から雨が降る予報が出ていますので渋ったダートで行われることを考えれば、波乱の可能性も十分あるでしょう。レースとしては面白い一戦になるのではないでしょうか。

今年のメンバー構成で中心を担うのが4歳勢です。
ただ、実は過去10年のマーチSでは4歳勢は苦戦傾向にあり、過去10年の3着以内30頭の内、3着以内に入ったのは5頭のみと少数。14年で1~3着を独占した他には2頭しか入っていないという点からも、この時期のベテラン勢がいかに層が厚いかを感じさせられます。
今年は明け4歳勢が多数出走を予定していますが、果たしてどこまで戦えるでしょうか。
芝の重賞と同様にダートでも明け4歳勢が存在感を示せるか、注目です。

マーチS 注目馬紹介

ハピ - 強豪たちとの対戦を糧に。無冠の大器がここで重賞制覇を目指す。

メンバーで最注目の1頭が、ハピでしょう。
JDD4着、レパードSで3着と現4歳世代で上位の力を示して古馬との戦いに入りましたが、シリウスSは2着、みやこSは4着の後にG1のチャンピオンズカップで3着と、古馬とも戦えるところを示しました。

ただ、堅実に走っている半面で重賞勝ちはありません。加えてチャンピオンズカップでは前半がスローの流れでインの3番手という絶好の位置が取れていたのが大きかったと言えます。うまい立ち回りは見せましたが、重賞を勝ち切るにはもうワンパンチほしい馬という評価であるのは確かでしょう。

いよいよ重賞初制覇といきたいところですが、重賞未勝利馬であるにもかかわらず58.5キロの斤量を背負うことになった今回はさすがに厳しい条件と言えます。

ロードヴァレンチ - 3連勝の勢いそのままに一気に重賞制覇へ。

渋ったダートで行われるハンデ戦といえば、前半から速い流れで進んでいき、そのまま押し切ってしまう馬が出てくる可能性も考えるべきでしょう。先行馬が多いというメンバー構成上からも逃げ・先行馬がどのくらい先行できるのかには注目です。

ハンデとの兼ね合いも考えれば3連勝中のロードヴァレンチにも注目が集まるでしょうか。
ここ2戦は同コースの中山ダート1800Mで逃げ切り勝ち。圧巻だったのは前走アレキサンドライトSで、好スタートからハナを切ると直線で突き放し、最後は2着に4馬身差の完勝でした。休養明けの昇級戦で、プラス14キロでも完勝だったことからOPで通用してもおかしくない存在と言えそうです。

スタートセンスが抜群ですので、今回も先手を取れる可能性がありますし、乗り替わりが多いメンバー構成のなか、永野騎手が継続騎乗する点も大きなプラス要素です。さらに、中山ダート1800Mは4戦3勝2着1回という完璧な成績。54キロという斤量も、他馬が重い斤量を背負わされているのに比べたら恵まれたと言えます。OPクラスに入っての力関係がどうかという面がありますが、好スタートから一気に押し切って人馬ともに重賞初制覇という可能性もあるのではないでしょうか。

ヴァルツァーシャル - OPでも力を示した素質馬。好条件が揃った今回はチャンス到来か。

レースの展開としてはロードヴァレンチ、ウィリアムバローズが逃げて、他の先行馬も競り合う先行激化の流れになる可能性が高いです。渋った高速ダートでもある程度の位置が取れる事、速い流れでも追走しやすい斤量であること、コース適性が高いこと、その条件を満たしつつOPクラスでも結果を出している実力馬が結果的に一番展開利がありそうな気がします。そうした好条件に恵まれたと見るのがヴァルツァーシャルです。

ここ2戦は同コースで走っていて、前走の総武Sでは道中3番手を進んでいましたが勝ち馬に交わされての2着。叩いた今回は大いにパフォーマンスを上げそうです。OPクラスへの昇級緒戦で2着、しかも上積みありとなれば期待が持てますし、斤量56キロは実績の割に恵まれたと言えます。2度目の重賞挑戦となった今回が試金石になると思いますが、条件が揃っているので好走を期待できるのではないでしょうか。

サンライズホープ - ムラのある実力派。混沌としたレースを自力でねじ伏せるか。

ここまで4歳馬を取り挙げてきましたが、マーチS自体は5歳以上のベテランが結果を出す傾向にあるレースです。

そのベテラン勢の代表格が、サンライズホープです。
21年のシリウスSを制した後は結果が出ていませんでしたが、昨年のみやこSは11番人気ながら勝利。このレースは今回も人気上位となるハピや、東京大賞典4連覇を達成した歴史的な名馬オメガパフュームらを相手に大金星をあげています。

揉まれるのが苦手なので先行しなければいけませんでしたが、出遅れたことをきっかけに後方からの競馬を選択し、外を回って差し切りました。偶然性の高い勝利ではありますが、力があるのは確かです。

今回のマーチSでも揉まれない立ち回りが必要になりますが、先行馬が多く、Hペース展開になって馬群が縦長になればスムーズに走れる可能性もあるかもしれません。ただ、今回は59キロの斤量。実力はあるにせよ、さすがに厳しい条件です。ハピとの比較で考えれば仕方がないかもしれませんが、どこまで自分の力を出せるかが注目です。

ウィリアムバローズ - コース適性の高さと中山リーディングの組み合わせは主役級

ダートでまだ底を見せていないウィリアムバローズにも注目です。

特筆すべきが中山ダート1800Mとの相性の良さ。
5戦3勝2着2回と、ほぼ完璧な内容ですし、不良馬場でも2着があるというコース巧者です。
得意の中山コースでの重賞制覇に期待がかかりますが、重賞初挑戦だったみやこSでは体調不良で14着。休養を挟んで年明けのポルックスSでは逃げて2着と好走しました。惜しくも敗れてしまいましたが、3着馬を3馬身離していますし、この時の4着馬のルコルセールが後に名古屋城S(OP)を勝っていますので、明らかにOPレベルでは一枚上の存在でしょう。

また、今回騎乗するのは中山リーディングの横山武騎手。3月19日終了時点では横山武騎手が27勝で、2位の戸崎騎手が16勝ですから圧倒的とも言えます。ドバイやG1がある中京に有力騎手が分散されているので、その存在感は際立ちます。馬の力と騎手の成績を総合的に考えれば力上位の存在ですし、斤量は57.5キロとハピやサンライズホープに比べれば恵まれた斤量。人馬の地力の高さはメンバー中1.2を争うと言っていいのではないでしょうか。

カテドラル - 兄にダート重賞勝ちのジェベルムーサがいる血統。高速ダートで浮上か。

雨などの影響で高速ダートになれば、芝から転戦してくる馬にも注目が必要でしょう。

カテドラルは19年のNHKマイル3着馬で、京成杯AH勝ちがあり、重賞も2着が6度もある芝の実力馬です。今回は、ダートのマーチSに参戦してきました。ダート適性があるかどうかは走ってみないと分からない面もありますが、血統的には兄に15年のエルムSを勝ったジェベルムーサがいます。同馬は14年のマーチSでも2着に入っていますし、中山ダート1800Mは4戦2勝2着1回と好相性。潜在的なダート適性があっても驚けません。

今回は先行馬が多く、馬群がばらけて進む可能性もあるので砂を被る心配が少ない展開になりそうです。必ず好走できるとは言い切れませんが、ハマった時は好走する可能性を秘めた馬と言えるでしょう。

ハンデ戦のダート重賞という点だけでも難解ですが、渋ったダートになりそうな点、先行馬が多くスタートから激しい先行争いが起きそうという点からも、展開がどうなるか読みにくいレースと言えます。逃げ馬がHペースで逃げつつそのまま残ってしまうのか──それとも、先行激化でゴール前がガラッと替わるような差し・追い込み馬が台頭する展開になるのか。

波乱傾向のあるレースらしく先の読めない展開にドキドキすることは間違いありません。
そんな難解なレースを楽しむために、この記事が皆さんの参考になれば幸いです。

写真:かぼす

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