少頭数ながらもハイレベルなヴィクトリアマイル前哨戦。
桜花賞と同コースで、レース結果だけでなく内容にも注目!
土曜阪神のメインレースは阪神牝馬S。
ヴィクトリアマイルの前哨戦ということもあって、トップクラスの牝馬が集まりました。
阪神芝1600Mは紛れの少ないコースですので実力馬による好勝負が期待できそうです。
また、翌日に行われる桜花賞と同コースであることから、桜花賞の展開も、阪神牝馬Sの内容からうかがえそうです。レース結果はもちろん、内容にも注目すべき点が多いレースと言えるでしょう。
阪神の芝は高速化!?
高速馬場での決着が見られそうな阪神の馬場に注目。
阪神牝馬Sにおける大きな注目点のひとつが、阪神芝の馬場状態です。
3月の18日は金曜の雨で重からやや重馬場へ、19日はやや重から良馬場へと回復しましたが、いずれも水分を含んだ馬場での開催でした。25日はやや重から良馬場での開催でしたが、26日は雨で重馬場での開催と2週続けて雨の影響を受けています。ただ、先週の開催は雨が降らなかったこともあって、かなり速い馬場での開催でした。雨に加えて芝が生育する時期というところもあったと思いますが、使い込まれた馬場という印象は薄いです。
実際のタイムでも、大阪杯は1分57秒4と過去10年で最速タイム。阪神牝馬Sが行われる芝1600Mでも、日曜5Rの3歳1勝クラスで1分32秒7と非常に速いタイムでの決着がありました。加えて今週からBコースに替わりますので内側の痛んだ部分がカバーされるので、より速い馬場での開催になるのではないでしょうか。
日曜の桜花賞へも関連性が高いのでしっかりチェックしておきたいところです。
阪神牝馬S 注目馬紹介
ルージュスティリア - 3連勝はいずれも完勝! 遅れてきた大器がここでも力を見せつけるか。
重賞でも結果を出した馬がいるメンバーですが、そのメンバーを相手にしつつ注目を集めるのが、ルージュスティリアです。3歳春時はチューリップ賞6着、フローラS15着と結果が出ませんでしたが、その後1勝クラスから3連勝でOP入りを果たしています。
前走の長篠S(3勝クラス)では2番手から進んで、上り3ハロン34秒2の脚を使って2着に2馬身半差をつける完勝。この走りができるなら、牝馬重賞でも勝ち負けは可能でしょう。
阪神コースも2勝クラス勝ちが同コース。
勝ちタイムも1分32秒6と高速決着にも対応可能です。
気になる点をあげるのであれば、馬場が渋った時にどうか、というところでしょうか。
新馬戦では、後の牝馬2冠馬で先週の大阪杯でも2着だったスターズオンアースに勝っています。じっくりと地力をつけたルージュスティリアがこの舞台で真価を発揮すれば、4連勝で重賞制覇もあるはずです。
イズジョーノキセキ - 有馬記念4着は伊達じゃないところを見せつけたい。
メンバーでトップクラスの実績を誇るのが、イズジョーノキセキです。
昨年秋の府中牝馬Sでは、G1を3勝しているアイドルホースのソダシに競り勝って重賞制覇。それだけでも実力は見せていますが、昨年の有馬記念では4着と大健闘でした。内をうまく立ち回って、エフフォーリア、タイトルホルダー、ヴェラアズールなどの牡馬のG1馬に先着したのはさらに価値があると言えるでしょう。
個人的には1800Mがベストかと思いますが、逃げ・先行馬が多く揃ったメンバー構成ですので差し脚が届く展開になる可能性十分です。岩田康騎手の立ち回りの巧さと直線でのイン突きで差し切る可能性もあるのではないでしょうか。
ママコチャ - 阪神芝1600Mの舞台は白毛一族が良く似合う。
速い馬場で行われるのであれば、ママコチャの巻き返しにも注目です。
3連勝で挑んだターコイズSでは道中でインの4番手を進んでいましたが、直線で外から蓋をされるような形になり、進路ができずに追い出しを待たされてしまいました。力負けではないことは確かですので、改めて重賞の舞台で力を発揮したいところです。
べストは1400Mだと思いますが、1600Mでも結果を出していますし、1600Mの持ちタイムは1分31秒7(新潟)と断然。スピード勝負なら互角以上に戦えてもおかしくありません。何より、一つ上のお姉さんが阪神F、桜花賞とこのコースで勝っているソダシです。妹のママコチャも阪神芝1600Mの適性が高いと言えるでしょうし、ここで結果を出せばヴィクトリアマイルで姉妹対決もあり得るのではないでしょうか。
メイケイエールを含めた白毛一族の対決のためにも、ここは負けられない一戦になりそうです。
フラーズダルム - 同コースの持ちタイムはトップ。牡馬と互角以上に戦える実力を牝馬重賞でも披露する。
牝馬限定重賞では、牝馬同士で戦ってきた馬と牡馬に混じって戦ってきた馬との比較も大きなポイントになります。その点では、近走で牡馬と互角に戦ってきたフラーズダルムにも注目です。
3勝クラス勝ちが今回と同じ阪神芝1600Mで、その時2着に負かしたのが先週ダービー卿CTで3着だったゾンニッヒ。3着に負かしたメイショウホシアイも先週3勝クラスを勝ったので、ハイレベルなメンバーの3勝クラス戦を勝ったと言えます。この時の勝ちタイム1分32秒3は、同コースでは最速です。高速馬場のままであれば能力上位と言えます。
続くターコイズSでは直線で詰まってしまって10着でしたが、前走の洛陽Sでは道中最後方から、上り3ハロン33秒5と最速の脚を見せて4着まで浮上しました。直線での切れはメンバーで1,2を争うほどでしょう。
今回は比較的出走頭数が少ないのでスムーズに走れるでしょうし、先行馬が多いので末脚がいきる展開にもなりそうです。元々は先週のダービー卿CTにも登録をしていた馬。牝馬同士ですし、コース適性も高いので、強敵相手でも互角以上に戦えるのではないでしょうか。
サウンドビバーチェ - 父はドゥラメンテ。血の勢いそのままに。
阪神芝1600Mの舞台で行われる今回の阪神牝馬S。
同コースで行われた昨年のチューリップ賞出走馬たちも、ひとつの参考になるかもしれません。
勝ったナミュールはオークス3着、秋華賞2着。今年も東京新聞杯で2着と健闘。2着のピンハイは3勝クラス勝ち、今回人気のルージュスティリアが6着だったことを考えると、昨年のチューリップ賞4着だったサウンドビバーチェの巻き返しを期待してもいいでしょう。
昨年秋の紫苑Sでは秋華賞馬のスタニングローズにクビ差の2着。開幕週の馬場をいかして最後の最後まで粘りました。秋華賞では7着でしたので、2000Mの距離よりも1600Mの方が合う可能性は十分にあります。
前走の洛陽Sは、休み明けということもあって伸び切れず11着でしたが、速い馬場で行われて、すんなり先行できれば一変あってもおかしくはないはずです。
直近ではフィリーズレビューのシングザットソング、毎日杯のシーズンリッチ、日経賞のタイトルホルダー、そして大阪杯のスターズオンアース(2着)と、ドゥラメンテ産駒の勢いはとどまるところを知りません。サウンドビバーチェも地力のある馬ですし、その勢いを味方につけたいところです。
ウインシャーロット - あと200Mをどう凌ぐか、立ちはだかる距離の壁を克服したい1頭。
直近の牝馬重賞から、ウインシャーロットの充実ぶりも見逃せません。
昨年末のターコイズS、今年の京都牝馬Sではいずれも惜しい2着と、重賞制覇まであと一歩です。
牝馬限定重賞では無視できない1頭でしょう。
展開的にもハナか2番手を進むと思われるので、この馬の動向がレースの大きなポイントになるのは間違いありません。400Mがおそらくベストの同馬にとって、今回は距離延長で直線の長い外回りコースに替わってどうか、という点は気になります。ですが、東京芝1600Mでも結果を出していますし、スローに落として先行できれば速い上りも使えます。
何より、全15戦で(5,7,2,1)と4着以下が一度しかないという安定感の高さは、このメンバーの中でもトップクラス。直線に入って残り200Mまでは問題ないでしょうし、あとは残り200Mを押し切れるかどうか、という点に注目です。
やや少ない頭数になった今年の阪神牝馬Sですが、出走馬のレベルそのものは高く、ヴィクトリアマイルでも人気になりそうな馬が出揃いました。紛れの少ないコースで、各馬が力を出しやすい展開になるでしょうから、ハイレベルな決着になることは間違いありません。また、翌日の桜花賞と同じコースですのでその馬場傾向も参考になることでしょう。見どころの多いこのレースですが、この記事が皆さんの参考になれば幸いです。
写真:かぼす