[目黒記念]ダービーの余韻を楽しみながら…。注目のハンデ重賞にサリエラ、ヒートオンビートらが集結。 - 重賞プレビュー

熱戦必至! ダービーの余韻を感じながら楽しむハンデ重賞、目黒記念。

28日・東京12Rは目黒記念が行われます。日本最古のハンデキャップ重賞として、ダービーデーに相応しい歴史あるレースです。その一方で2500Mという特殊な距離で行われるハンデ重賞なので、やや波乱傾向もある一戦です。

ダービー後の独特な雰囲気が漂うなかで行われる目黒記念。今年はどんな結果になるのでしょうか?

今年の目黒記念の見どころ

今年の目黒記念における注目点のひとつが、昨年の覇者ボッケリーニが出走を回避したことでしょう。昨年の目黒記念は57.5キロを背負って勝利。その後も秋の京都大賞典は後にJCを勝つヴェラアズールの2着。G1では結果が出ませんでしたが、G2では存在感を示しました。

今年初戦の日経賞では勝ったタイトルホルダーに離されましたが2着を確保。G1馬がいないメンバー構成では明らかに力上位の存在でした。そのため、今年の目黒記念では59.5キロのハンデを設定されていましたが、結果的に回避という判断に至ったようです。

そのため、今年の目黒記念は格上と言える実力馬の回避により、一転して混戦になりました。これからの飛躍が期待される4歳馬か、地力あるベテランか、隠れた実力馬がハンデ差によって浮上するのか、注目です。

たった100Mでも違いが出る 東京芝2400Mと2500M

目黒記念が行われる芝2500Mは、ダービーが行われる芝2400Mとは100Mしか違いません。しかし芝2500Mのコースはスタート地点が登り坂の地点であるため、よりスタミナが求められます。高速馬場で直線の長い東京コースであることを踏まえると、スピードの持続力と直線の切れ、そしてスタミナも問われるという、総合力が問われるレースになることでしょう。

目黒記念 注目馬紹介

サリエラ - 真価が問われる素質馬。牡馬混合で勝ち切って、女傑の道を歩めるか。

まず注目を集めるのが、サリエラです。
今回が5戦目というキャリアの浅い馬ではありますが、4戦3勝、その3勝は全て東京コースという完璧な成績。兄にダービー2着のサリオス、姉に有馬記念2着のサリエラがいるという良血で、さらに鞍上がルメール騎手となれば、中心的存在なのは明らかです。

東京での3勝は全て上がり最速という東京コースの申し子のような同馬ですので、あとは他馬との力関係が焦点になるでしょうか。

唯一敗れたローズSでは勝ったアートハウスから0秒1差。
そのアートハウスが中山記念で勝ったヒシイグアスから0秒2差の5着ですから、牡馬の重賞でも戦える下地はあると言えます。距離延長に対応できれば勝ち負けも可能でしょう。

牝馬の身で牡馬混合のG2 を勝てば、その先は牡馬の一線級との戦いになります。
サリエラは牝馬の枠を超えた女傑へと成長できるでしょうか?

ヒートオンビート - 地力、コース実績は十分。もう2、3着はいらない。

今回の目黒記念で最もハンデが重い58キロを背負うヒートオンビートが、実績馬の代表的な存在です。

重賞の勝ちこそありませんが、2着3回、3着3回と実績の積み重ねという点では文句なしに出走馬でトップクラスです。勝ち運こそない馬ですが、上位争いをするだろうということは容易に想像がつきます。

特筆すべきは東京芝2500Mのコース実績があるという点。
21年の目黒記念で2着、昨年のアルゼンチン共和国杯では3着と結果を残している点で他馬と比べて有利です。

スタミナがあり、直線の切れも兼備しているヒートオンビート。6歳となった現在でも力の衰えは感じません。

今回はレーン騎手を迎えて、安定度は随一です。
素質が高い4歳馬の壁となって立ちはだかるのでしょうか?

プラダリア - 回り道をしたこの1年、ダービーデーに何を想うか。

今年の目黒記念は『4歳馬VSベテラン勢』という構図といえます、古馬重賞で活躍が目立つ現4歳馬。イクイノックス、ドウデュースといったG1馬はもちろん、ジャスティンパレス、ラーグルフ、アートハウス、アグリと、数々の4歳馬が今年に入って結果を出しました。このレースでも4歳馬が勝てる可能性があるでしょう。

また、今の東京の芝のレースはとにかく東京コース実績のある馬が結果を残しています。
東京コースの実績がある4歳馬という事であれば青葉賞勝ちがあるプラダリアでしょう。未勝利を勝った次戦の青葉賞でいきなりの重賞制覇。ダービーへの出走権を取りましたが、ダービーでは道中5番手を進んでいましたが、展開が厳しかったのか伸び切れず5着と敗れました。

ただ、皐月賞馬のジオグリフ、後に天皇賞春を制したジャスティンパレスに先着しているのですから、現4歳馬ではトップクラスの力があるのは確かです。昨年の秋は菊花賞を見据え過ぎて調整がうまくいかなかったようです。立て直して今年に入ってからは日経新春杯、京都記念と3着と調子を取り戻しつつあります。今回の舞台はダービーデーの東京コースの目黒記念。

希望に満ちていた昨年のダービーから1年。
回り道はしましたが、どんな成長を見せてくれるのか楽しみです。

カントル - 長めの距離で素質開花か。ダービー馬の弟がダービーデーに飛躍を目指す。

このレースの前哨戦として、5月7日の10Rに行われたメトロポリタンSに注目します。

このレースはリステッド東京芝2400Mのレースとして行われたのですが、このレースから2着のカントル、3着のゼッフィーロ、4着のセファーラジエル、6着のバラジが目黒記念に出走します。

レースはやや重馬場であったためか、スローで流れて上り3ハロンでの切れ比べになりました。ゴール前では4頭並ぶ大接戦でしたで、2,3,4着馬はほぼ同じ価値があると言えますが、2着のカントルには注目でしょう。道中はインの3番手を追走し、直線でうまく外に出してしっかり伸びました。騎乗した横山和騎手はテン乗りでしたがうまく馬の力を引き出したと言えます。継続騎乗で上積みが期待されますし、前走2着なのに斤量が1キロ減るのも好材料です。血統的にもダービー馬のワグネリアンの弟という事でコースや距離に関しては期待が持てます。

7歳とベテランではありますが、新たな好勝負を期待できる存在ではないでしょうか。

ゼッフィーロ - 同厩舎のボッケリーニの想いを背負って好走を誓う。 

前述したように東京芝2400Mで行われたリステッドのメトロポリタンSからの出走馬が多い今年の目黒記念。

メトロポリタンSで3着だったゼッフィーロも、当然ながら注目の1頭です。2走前の御堂筋Sを勝って、前走のメトロポリタンSが初のOP以上のレースでしたが、直線では外から上がり最速で伸びてきて際どい争いにまで持ち込みました。

レースがスローで進んで、1,2,4,5着馬が比較的先行していた展開の中で道中後方から追い込んできたのですから、価値が高い走りでした。OP以上のレースでも互角以上に走れる力を示したと言えます。

ここまで9戦のキャリアで4着以下が無いという同馬。安定度は抜群ですので、あとは重賞のメンバーに入っての力関係がどうか、というところでしょう。

3走前の但馬Sでクビ差で負けたリューベックが中山記念で0秒2差の6着ということを考えれば、このメンバーなら互角に戦える下地はあると言えます。昨年の覇者で今年は回避したボッケリーニと同じ池江厩舎の同馬。回避したのはゼッフィーロがいるから、と考えてしまうのは考えすぎかもしれませんが先が楽しみな4歳馬であることは間違いありません。初の重賞でどんな走りをしてくれるのか楽しみです。

アーティット - Cコース替わりの高速馬場をいかして、押し切りを狙う。

先行馬が少ない組み合わせですし、人気のサリエラが直線で末脚を伸ばすタイプなので、前半はスローで流れるのではないでしょうか。ただ、ダービー週の今週はCコース替わりで超高速馬場が予測されています。馬場と展開の恩恵を生かして逃げ切ってしまう可能性も考慮すべきでしょう。

長めの距離で先行するアーティットに一発の魅力を感じます。
同馬は出世が遅い馬で、3歳春はクラシックに縁がありませんでしたが、1勝クラス、2勝クラスと連勝。そして前走は3勝クラスの身でありながらOPの大阪-ハンブルグカップに出走してなんと勝利を収めています。

レースの序盤でやや離して逃げた馬を2番手から追いかけて、早め先頭に立って押し切りました。この時0秒2差の2着に負かしたのが後にメトロポリタンSで勝ち馬と同タイムの4着だったセファーラジエルですから力関係上はここでも通用する下地はありそうです。

道中でうまくインの前目につけることができれば、内が止まらない展開に助けられながらも粘り込む展開はありそうです。

ダービーの興奮も残ったままで行われるだろう目黒記念。
独特の距離、コースにダービーデー特有の独特の雰囲気が残っている中で、レースが行われます。今年は観客も入ってより高まった雰囲気の中で行われますから、激戦必至になること間違いありません。また、先が楽しみな4歳馬がここでどんな走りをしてくれるのか注目です。その雰囲気を楽しむために、この記事が皆さんの参考になれば幸いです。

写真:かぼす

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