[阪神JF]アパパネ、メジャーエンブレム、ラッキーライラック、ソダシ。2歳女王からドラマチックな名牝へ!

阪神ジュベナイルフィリーズ(以降、阪神JF)は、冬の阪神1600mコースで行われる2歳牝馬のG1競走です。2001年に阪神3歳牝馬特別から現在のレース名に呼称が変わっています。

今回は、過去の錚々たる勝ち馬から、4頭のドラマチックな名牝を紹介します。
阪神3歳牝馬特別時代の名馬も紹介したいところですが、今回はあえて現在の名称変更されて以降の馬たちをピックアップしました。

アパパネ(2010年)
三冠牝馬として、そして母として活躍

ハワイに生息する赤い鳥がその名の由来のアパパネ。牝馬三冠を達成した名牝の、最初のG1勝利が阪神JFでした。父キングカメハメハ、母ソルティビットは共に金子オーナーの所有馬で、いわゆる「金子ブランド」の馬です。後述するソダシも父母共に金子オーナーの血統、まさにリアルダビスタを地で行くオーナーですね。

アパパでは新馬戦でこそ3着に敗れますが、未勝利戦と赤松賞を連勝して阪神JFへ。新潟2歳Sを勝っていたシンメイフジに人気を譲り、2番人気での出走でした。
18番枠からスタートすると無理に前に行かずに中団に控えて、主戦の蛯名騎手のゴーサインを待ちます。
直線に入って馬群が内外に広がると、空いたインコースに突っ込み、追いすがるアニメイトバイオを退けて1着でゴールしてG1初勝利。ここからアパパネの3冠牝馬への道が拓けていきます。

しかし、アパパネは「前哨戦ではなぜか敗れる」という傾向があり、チューリップ賞ではショウリュウムーンに差し切られて2着に敗れています。本番の桜花賞では掛かり気味ながら先行して逃げたオウケンサクラを外からしっかりとらえて一冠目、続くオークスでは歴史に残るサンテミリオンとの激闘でG1史上初の同着決着で二冠を達成します。

秋初戦のローズSでも阪神JFで凌いだアニメイトバイオやクラシックで戦ってきたワイルドラズベリー、エーシンリターンズに差し切られて4着。しかし本番の秋華賞では大外を捲ってアニメイトバイオの末脚を3/4馬身差凌ぎ切り、見事、牝馬三冠を成し遂げました。

牝馬三冠馬としてエリザベス女王杯に挑みますが、ここはスノーフェアリーの末脚とメイショウベルーガの距離適性の前に3着まで。3歳シーズンはこのレースで終了します。

4歳初戦のマイラーズカップでは中団から上がってきたものの、逃げたシルポートとクレバートウショウがそのまま残ってしまい、その後ろで先行したダノンヨーヨーまで残って4着、やはり前哨戦では勝てません。
それでも、G1の舞台に立つと強いのがアパパネ。ヴィクトリアマイルでは前年の牝馬二冠馬ブエナビスタより1列前で競馬を進めると、4コーナーでは大外を回し、直線では長くいい脚を使ってブエナビスタのキレる末脚をクビ差封じて勝利します。それまでの三冠牝馬はその後G1を勝てずにいましたが、アパパネはヴィクトリアマイルの勝利で通算G1勝利数を5勝に伸ばしました。その後はエリザベス女王杯で2年連続の3着があるものの、勝利は出来ずに現役を引退、繁殖牝馬になります。

アパパネは母としても優秀な成績をあげます。長男のモクレレ、次男の名前もそのままジナンボー、三男のラインベック、そして長女アカイトリノムスメは全て父ディープインパクトの産駒で、2021年12月7日現在、現役の4きょうだい全てが4勝馬というハイアベレージです。

モクレレの成績が振るわなかったときにはアパパネの繁殖としての能力に不安がよぎりましたが、ジナンボーは芝重賞での入着もありますし、ラインベックは芝ダート問わず勝ち星を挙げていて、アカイトリノムスメはオークス2着の後、秋華賞母娘制覇を成し遂げました。ディープインパクト亡きあとのアパパネの子どもたちにも、様々な得意分野を持った産駒の登場が期待できるでしょう。

メジャーエンブレム(2016年)
通算成績7戦5勝の快速馬

私が初めて春の府中に訪れたのは、メジャーエンブレムが勝ったNHKマイルカップでした。
メジャーエンブレムはダイワメジャー産駒の牝馬らしく、スピードを武器に逃げ、先行から押し切るレーススタイルで、通算成績7戦5勝。敗れたのはデンコウアンジュの追込みが決まったアルテミスSの2着と、包まれて抜け出したときにはシンハライトとジュエラーの一騎打ちを見届けるしかなかった桜花賞の4着の2戦のみ。安定感も抜群だっただけに早期の引退が惜しまれます。

阪神JFでのメジャーエンブレムは、ゲートが開くとすぐにダッシュがつき、スタートの時点で他馬の2馬身前に飛び出す好スタート。外からキリシマオジョウやメジェルダが競りかけてきますが、応戦せずにマイペースで先行し、インコースをロスなく回って直線に向くと、ルメール騎手のゴーサインに応えて後続から抜け出します。デンコウアンジュやウインファビラス、ブランボヌールらが中段から追いかけてきますが、その時には既にセーフティーリードを確保していました。結果は2馬身差の快勝。鞍上のルメール騎手とって、これがJRA移籍後の初G1制覇でした。

春は桜花賞を目指してクイーンカップから始動すると、他馬とは次元の違うスピードで5馬身差の圧勝、勝ちタイムも1.32.5も優秀なタイムです。
しかし、本番の桜花賞ではスタートが五分になると、外枠の馬たちが早めに先行してしまい、6〜7番手で抜け出すところが見つからないまま直線に入ってしまいます。直線で何とか馬群から抜け出すことが出来ましたが、その時にはトップスピードに乗っていたシンハライトと外から追っていたアットザシーサイド、更に殿から追い込んできたジュエラーに差し切られての4着敗退でした。

この敗戦の後、メジャーエンブレムはNHKマイルカップに向かいます。
ここではゲートを決めると、序盤からハナに立ってマイペースの競馬を選択、先行する各馬を直線でちぎって先頭に立つと、殿一気の末脚で追ってきたロードクエスト、後方からしぶとく伸びたレインボーラインを振り切って逃げ切り、2つ目のG1タイトルを手にしました。

次走は秋華賞トライアルの紫苑Sが予定されていましたが、左後肢の筋肉痛で回避、その後も脚部不安が治ることなく無念の引退となりました。

メジャーエンブレムが引退してから4年が過ぎ、田村厩舎で脚部不安からの復活を遂げた馬がいました。
その馬の名はグロンディオーズ。メジャーエンブレムと同じくサンデーレーシングの勝負服、そして長くいい脚を繰り出してスタミナ比べに持ち込むレースを得意とする馬です。

グロンディオーズは半兄が目黒記念を制したムスカテールということもあり、中長距離路線を中心に使われ「夏の上り馬」として菊花賞にも挑んだ期待馬でしたが、その後、屈腱炎のため長期休養を余儀なくされます。

1年8か月という長い休養を経て、復帰戦こそ15着に敗れたものの、馬体を絞って挑んだ日本海Sでは後方から2番上がりで2着し、3戦目の六社Sで2年2か月ぶりの勝利を果たしオープン入りを果たします。
中日新聞杯では距離が足りなかったか5着に終わりますが、長距離重賞のダイヤモンドSで見事に差し切り重賞制覇。その相手は後のジャパンカップ2着馬オーソリティでしたから、長距離での実力は確かなものでした。

天皇賞(春)への出走も期待されましたが、脚部のことを考えて目黒記念へ。このレースでは1番人気に支持されましたが、前半1000mが64秒の超スローペースになってしまい、後半しっかり伸びたものの4着まででした。
秋の活躍が期待されていましたが、残念ながらこのレースを最後に6月16日、放牧先で疝痛のため、この世を去ってしまいました。

最後は悲しい結末になってしまいましたが、メジャーエンブレムでの経験がグロンディオーズを復活させ、G1制覇の夢を見せたというもう一つのドラマも語られるべきでしょう。今後は田村厩舎所属の馬やメジャーエンブレムの子どもたちに、新たなドラマを託したいですね。

ラッキーライラック(2017年)
最強のライバルを持つ、阪神巧者の名牝

ラッキーライラックが阪神JFを勝った時、多くのファンが「この世代のクラシックはこの馬が持っていく」と感じたのではないでしょうか。ラッキーライラックの父は三冠馬オルフェーヴル。ラッキーライラックはオルフェーヴル産駒の初年度世代の1頭でした。母ライラックスアンドレースはアメリカのG1勝馬、ラッキーライラックはその3番仔にあたります。

産駒初の重賞制覇はロックディスタウンに譲りましたが、ラッキーライラックは夏の新潟の新馬戦、続くアルテミスSを連勝して阪神JFに駒を進めました。

レースはちょうど中団の位置から先行集団を追いかけ、コーナーでスムーズに外に進路を切り替えると、石橋脩騎手の剛腕に押されてラッキーライラックが上り33.7秒の末脚を発揮。先に抜け出していたリリーノーブル、あとから追ってきたマウレアを退けて勝利し、オルフェーヴル産駒初のG1勝馬になりました。

続く桜花賞トライアルのチューリップ賞もラッキーライラック、マウレア、リリーノーブルの着順で決まったため、通常であればその後もラッキーライラックが大本命で間違いありません。しかし、この年のクラシックにはどうにもならない強さの馬がシンザン記念をステップに参戦してきたのでした。

桜花賞、スタートも良くインの3番手からレースを進め、直線でも前が空いて抜け出し、押し切るかと思った刹那、大外から文字通り「とんできた」アーモンドアイが上り33.2秒の末脚を繰り出し、1馬身3/4差の敗戦を喫します。
続くオークスではアーモンドアイが短距離王のロードカナロア産駒であることから距離が不安視されましたが、なんとラッキーライラックをマークする位置で先行します。直線で粘るリリーノーブルの内にラッキーライラックが、外にアーモンドアイが進路を取って末脚比べに持ち込まれてしまい、3着に粘るのが精一杯でした。
オークスは現地で観戦していましたが、アーモンドアイの強さがただただ印象に残り、応援していたラッキーライラックが負けた悔しさよりもアーモンドアイのとんでもない強さに驚かされた1戦でした。

夏は調整が上手くいかなかったことに加え、主戦の石橋脩騎手が落馬負傷で北村友一騎手に乗り替わってぶっつけ本番で秋華賞に向かいますが、アーモンドアイの牝馬三冠達成を見送る9着で3歳シーズンを終えました。

アーモンドアイは世界への挑戦に向かい、ラッキーライラックは中山記念から古馬シーズンをスタートすると、いつもの先行策で「中山の鬼」ウインブライトの2着に好走。しかし阪神牝馬ステークス、ヴィクトリアマイルの2戦では結果が出ず、秋初戦の府中牝馬ステークスもスカーレットカラーに差し切られて3着まででした。

ここまで石橋脩騎手と先行策で勝負してきたラッキーライラックは、かつて父オルフェーヴルと凱旋門賞でコンビを組んだスミヨン騎手に乗り替わり、エリザベス女王杯へ。2番枠から好スタートを決めますが、いつものように出していかず、前に行く馬をやって中段7~8番手でレースを進めます。
父の背を知るスミヨン騎手の作戦は直線一気。内枠を活かして京都の4コーナーを抜けたところで一気に追うと、ラッキーライラックは激に応えて一気に加速。上り3ハロン32.8秒の鬼脚で逃げるクロコスミアをとらえ切って勝利し、2歳女王は復活を遂げました。

スミヨン騎手と香港ヴァーズにも挑み2着、年が明けてデムーロ騎手とのコンビを組んだ5歳シーズンは前年同様に中山記念2着からスタートすると、中距離戦のG1大阪杯を次走に選択。
確たる逃げ馬がいないレースは後に安田記念を差し切って勝利するダノンキングリーが逃げるレースになりましたが、しっかり脚を溜めたラッキーライラックはエリザベス女王杯同様にインコースでじっと我慢し、直線で前が空いた一瞬でダノンキングリーを交わし去って勝利をあげました。
しかし続く宝塚記念は道悪馬場に脚を取られてしまい6着敗戦、札幌記念でも先行して3着とG1を勝ったときの末脚が不発に終わってしまいます。

続く5歳秋、アーモンドアイと路線が重ならないことで鞍上にルメール騎手を迎え、再びエリザベス女王杯へ。
大外18番枠からのスタートを切ると、ルメール騎手は早めにインにラッキーライラックを誘導し、ロスなくレースを進めますが、後方からウラヌスチャームが動いたところでそれについて上がっていき、阪神内回りコースで大外捲りを仕掛けます。

4コーナーで捲り切ったラッキーライラックはそのまま後続の追撃を凌ぎ切り、エリザベス女王杯連覇を達成。
京都競馬場の改修工事のため、2歳から得意にしていた阪神コースでの開催に変わったのも味方したかもしれませんが、大外枠から外を回して勝ち切った走りは成長したラッキーライラックの強さを示してくれました。

ラストランの有馬記念ではルメール騎手がフィエールマンに乗ることになり、福永騎手とのコンビで中団からレースを進めましたが、クロノジェネシスとサラキアが最後方から捲り上げる中、懸命に追いかけますが4着まで、このレースを最後に現役を引退しました。

3歳時はアーモンドアイに歯が立たず、悔しいレースが続きましたが、別路線で復活すると大阪杯、エリザベス女王杯連覇で引退までにG1を4勝。阪神競馬場でのG1競走3種類制覇は史上初の快挙でした。

オルフェーブル産駒はダート短距離のジャスティンから芝長距離のオセアグレイトまでバラエティー豊かな重賞勝ち馬がいますが、ラッキーライラックはデビューから引退まで1600m~2200mが距離適性の中距離代表としてこれからも名を残すことでしょう。今後は繁殖牝馬として、再びアーモンドアイに挑みます。

ソダシ(2020年)
白毛伝説の幕開け

今となっては説明不要の「白毛のアイドル」ソダシ。
父はNHKマイルカップとジャパンカップダートを制したクロフネ、母は独特の斑模様で人気のあったブチコ。ソダシはブチコの初仔にあたります。白毛のシラユキヒメ一族にクロフネをつけた「金子ブランド」血統、白毛は代を重ねると出現率が下がるようで、全妹のママコチャは鹿毛です。担当の今浪厩務員がかつて名馬ゴールドシップを担当していたことから、人馬共に人気を博している1頭です。

シラユキヒメ一族は母ブチコがダートで4勝、母の姉ユキチャンは関東オークスを勝利し、いとこのハヤヤッコはレパードSを勝利しているように、主戦場はダートなのですが、ソダシは新馬戦から芝のレースでデビューします。

新馬戦ではスタートをまずまず出ると前の2番手でレースを進め、直線は鞭1発で抜け出して見事勝利。
続く札幌2歳Sでも3コーナー手前から抜け出し、のちにニュージーランドトロフィーを勝つバスラットレオン、そしてこの後何度も対戦するユーバーレーベンを振り切って見事に白毛馬初の芝重賞制覇を達成します。
秋は府中のアルテミスSから始動し、洋芝しか経験が無いことを不安視されましたが、府中の坂でも止まること無く3連勝。無敗で阪神JFを迎えます。

阪神JFでは、出足こそ今一つでしたが逃げを打ったヨカヨカを見ながら5番手を先行。
外からポールネイロンやエイシンヒテンら逃げて結果を出した馬たちが前に行きますが、ソダシはヨカヨカの真後ろをキープして抜け出すタイミングを待ちます。
その真後ろではルメール騎手がサトノレイナスとのコンビでソダシをマークし、デムーロ騎手とユーバーレーベンは後方から追い込みを狙います。メイケイエールは武豊騎手が懸命になだめて後方で我慢しながらレースを進めます。

直線に向いてヨカヨカが抜け出しをはかりますが、外からゴーサインを出されたメイケイエールが武豊騎手と共に末脚を伸ばします。この2頭の間からソダシが満を持して進出開始。ソダシをマークしていたライバルたちも動き出します。ソダシの内からサトノレイナス、メイケイエールの更に外からユーバーレーベンが突っ込み、ヨカヨカを差した4頭の末脚比べに。サトノレイナスが抜け出したかに見えましたが、ゴール前のわずか数完歩でソダシが差し返し、史上初の白毛馬によるG1制覇を成し遂げました。

春はトライアルを挟まずに桜花賞へ直行。今年の桜花賞は函館2歳Sを制したリンゴアメ以外の重賞勝ち馬が全て参戦するハイレベルなレースになりました。
阪神JFよりもいいスタートを切ったソダシは先行2~3番手の競馬を選択、メイケイエールは抑えが効かず横山典弘騎手が馬に任せて一気に先頭まで位置を上げます。サトノレイナスは追込みを狙い後方から。
直線では阪神JFを再現するかのように、馬場の真ん中からソダシが抜け出し残り200mで先頭に立ちます。
ソダシの後ろでレースを進めていたファインルージュ、アカイトリノムスメが続き、再び外からサトノレイナスが末脚を繰り出しますが、再びソダシが振り切ってG1連勝。1.31.1のレコードタイムを叩き出します。

牝馬クラシック連勝を狙って次走はオークスを選択。桜花賞で2着のサトノレイナスは日本ダービーに参戦したため、ソダシは1番人気に推されて出走しますが、川田騎手とコンビを組んだステラリアに終始マークされる厳しい展開に。残り400mまで粘ったもののここはデムーロ騎手とユーバーレーベンが優勝し、2着にアカイトリノムスメ、ソダシは8着に踏ん張るのが精一杯でした。

夏はデビューの地札幌で距離適性を計るべく、札幌記念に参戦。今年ブリーダーズカップフィリー&メアターフを制したラブズオンリーユ―やペルシアンナイト、ブラストワンピースらG1馬たちとの対決でしたがここも逃げるトーラスジェミニを直線抜け出しの競馬で振り切って勝利します。

札幌記念を勝ったことで、距離は持つから秋華賞は盤石……かに思えたのですが、当日に歯が折れてしまうアクシデントが発生した影響か、いつもの先行策から踏ん張りが効かず、10着に敗れてしまいました。勝ったのはアカイトリノムスメ、母娘秋華賞制覇を達成します。2着は紫苑Sを勝って距離適性を証明していたファインルージュでした。

競走馬の歯の生え変わりは3〜4歳ごろなのですが、まさか秋華賞で乳歯が折れてしまうとは誰も予想していなかったことでしょう。ここで2週間放牧に出され、歯の生え変わりを待って次走を決めることになっていましたが、陣営の発表は驚くべきものでした。

「G1チャンピオンズカップでダートに挑戦」。
この見出しを見たとき、多くのファンが驚いたことでしょう。
先述の通り父はクロフネですし、シラユキヒメ一族はダートで結果を出してきたので、ソダシの砂適性を見るチャンスととらえたのかもしれません。また、歯の回復を待ったためにマイルチャンピオンシップでは調整が間に合わなかった都合もあるでしょう。

12月5日、中京競馬場にソダシの姿がありました。1枠1番でのスタートから歴戦のダート馬たちを相手に積極果敢な逃げを打ちますが、インティに交わされてから伸び返すことが出来ず、12着大敗。さすがに初のダート戦が猛者の揃ったG1では敷居が高かったかもしれませんが、ソダシは4コーナー入り口まで見せ場を作っていました。

3歳シーズンの出馬表を見返せば、常に世代の、そしてそれぞれの路線のトップクラスの相手とレースを続けたソダシ。愛らしいルックスはもちろんですが、ソダシの魅力は、常にチャレンジャーとして挑み続ける陣営の姿勢にあると思っています。白毛伝説の古馬編では、同世代のライバルや各路線の強豪たちとどのような名勝負を繰り広げるでしょうか──。

写真:Horse Memorys

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