[エーデルワイス賞]サンドピアリスにダイナアクトレス…エーデルワイス賞好走馬の血統表に名を残す名牝たち。

1998年に統一G3として施行され、ホッカイドウ競馬では2歳牝馬三冠レースの最終戦として位置づけられているエーデルワイス賞。この早い時期に活躍する、若きダートの牝馬たち──。

この時期から重賞で好走する馬には何か秘密があるのではと思い、彼女たちの牝系を紐解いていきました。すると、彼女らの血統表に名を残す名牝たちにたどり着きます。

今回は、血統表に名牝の名を残す、エーデルワイス賞を好走した牝馬たちをご紹介していきます。

オーブスプリング (2016年 4着)

父ディーププリランテ
母ナスケンアイリス(母父フレンチデピュティ)
母母オブザーヴァント

本馬は、道営重賞のフローラルカップ勝ち馬です。

兄弟には南関の代表格のモジアナフレイバー。さらにもう一世代遡ると母ナスケンアイリスの弟に、2017年高松宮記念勝ち馬セイウンコウセイがいます。

オブザーヴァントの父であるカポーティは米2歳チャンピオン。セイウンコウセイもデビューは早く、モジアナフレイバーも除外挟んでの秋デビューと比較的早い時期から始動し息の長い活躍を見せています。

本馬も早くにデビューし、2歳重賞勝ってる仕上がりの早い馬でした。
そうした面も、牝系の特徴を受け継いでいたのかもしれません。

リコーデリンジャー (2017年 3着)

父スウェプトオーヴァーボード
母シマノタカラチャン(母父ジェイドロバリー)
母母グレートクリスティーヌ

リコーデリンジャーは、この年の門別牝馬勢における主役の1頭として活躍。後は短距離を中心に使われていました。

母の兄弟をみると、スプリンターズSにも出走したジャンダルムの母でありスプリンターズSと高松宮記念を制し快速牝馬のビリーヴがいます。短距離からマイルまでを中心に使われている血統で、ビリーヴの印象が強いせいか、母系が強く出てる印象を受けます。

本馬は、母として、この牝系の特徴を濃く残すのか、それとも父方が強く出るのか──繁殖になってからの活躍も楽しみなところです。

グラヴィオーラ (2017年 2着)

父サウスヴィグラス
母カクテルラウンジ(母父タニノギムレット)
母母ランニングヒロイン(母母父サンデーサイレンス)
母母母ダイナアクトレス

本馬は暮れの東京2歳牝馬優駿でも勝利した活躍馬です。3歳牝馬の主役候補でもありましったが、怪我のため道半ばで引退。その後はお母さんとして、第2の馬生をスタートしています。

曽祖母にあたるダイナアクトレスは、重賞5勝の名牝です。繁殖牝馬としても、いぶし銀のステイヤーとして愛されたステージチャンプ、重賞2勝のプライムステージなどを輩出。また、グラヴィオーラの祖母にあたるランニングヒロインが銀幕の英雄ことスクリーンヒーローを輩出したため、さらに血は広がっています。

この牝系は、父方の特徴を出しやすい印象も強い血統です。

スクリーンヒーローはモーリスを輩出し、種牡馬・種牡馬の父としても活躍をしています。そのため、血統としての勢いは十分です。あとは、ダイナアクトレスの血がこのまま牝系としても広がっていくかどうかですが、それは本馬の活躍にかかってるところも大きいでしょう。

エムティアン (2018年 3着)

父パドトロワ
母サンドハーブ(母父エルハーブ)
母母サンドピアリス(母母父ハイセイコー)

本馬は地方所属でエーデルワイス賞の好走をした牝馬です。その後に中央へと移籍すると、3歳では連勝するなどの活躍を収めました。その後はしばらく低迷期に入りましたが、2021年9月には2年ぶりの勝利を収めています。

祖母のサンドピアリスは、最低人気ながらエリザベス女王杯を制した名馬です。20番人気、単勝430.6倍という大穴の大激走で、今も語られるレースです。

父は、元祖・地方のアイドル、ハイセイコー。

サンドピアリスはエリザベス女王杯を制したその後も重賞戦線で活躍しましたし、その産駒にはダート重賞5勝のタマモストロングがいます。そのタマモストロングも、6番人気でかしわ記念を制しています、

当たるも外れるも神のみぞしる──そんな血統とも言えるでしょう。

本馬も、競走馬としてだけでなく繁殖牝馬としても、サンドピアリスの血が騒ぎ出す予感がします。

アークヴィグラス (2018年 勝ち馬)

父サウスヴィグラス
母キセキノショウリ(母父フジキセキ)
母母サマーベイブ(母母父トニービン)
母母母ダイナフェアリー

エーデルワイス賞を含め、2歳時には地方重賞・交流重賞をあわせて5連勝。

そうした活躍を評価され、2018年のNARグランプリ2歳最優秀牝馬に選出されています。

曽祖母にあたるダイナフェアリーは、重賞5勝という名牝。そして産駒には中山巧者&非根幹距離巧者として知られブリンカーが特徴的だったローゼンカバリー、青葉賞勝ち馬でその一勝の末脚でファンの心を鷲掴みにしたサマーサスピションなどがいます。

アークヴィグラスも引退後にはそうした牝系を広げる一翼を担うことが期待されていましたが、2020年に一番人気で迎えた秋桜賞の最終直線で故障を発生。残念なことに、安楽死の処置が取られました。


レースを見るのはもちろんですが、血統表や書かせていただいた牝系のルーツを調べてみるとより一層競馬を楽しんでいただけるかとおもいます。ぜひ、エーデルワイス賞の出走各馬や引退後にも、ご注目ください。

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