[JBCスプリント]フジノウェーブにブルドッグボス…地方所属の電撃王たち。

アメリカのブリーダーズカップを模範として、ダートの各チャンピオン決定戦として2001年に創設されるたJBC。開催地は毎年各地方競馬場の持ち回りとされているため、距離も、競馬場によって変わってきます。

そして、砂の電撃王を決める、JBCスプリント。今回は、そのダート短距離王決定戦を、地方所属で制した馬たちをご紹介したいと思います。

フジノウェーブ 2007年勝ち馬

父 ブラックタイアフェアー
母 インキュラブルロマンティック 母父stop the music

本当に息の長い活躍をしたのが、このフジノウェーブです。地方重賞、統一重賞含め7年連続重賞制覇……というだけで、どれほど長く地方の一線級として活躍を続けたか、わかるかと思います。

そんな彼のハイライトは、やはりJBCスプリントでしょう。
1番人気は『バトラー姐さん』こと、メイショウバトラー。全兄に南米で種牡馬として活躍したアグネスゴールドのいる良血馬・リミットレスビッド、短距離なら芝でもダートでも一線級のプリサイスマシーン、ダートの快速馬アグネスジェダイと、中央馬が人気どころをしめます。そんな中、フジノウェーブは7番人気でした。

ゲートが開くとアグネスジェダイ、プリサイスマシーンが押してハナ争い。ナイキアディライト、リミットレスビッド、メイショウバトラーも続き、内ではフジノウェーブが芦毛の馬体を煌めかせて好位の競馬を展開します。

アグネスジェダイがハナを奪い2番手にプリサイスマシーン、ナイキアディライト、4番手にフジノウェーブ、5番手にリミットレスビッドという隊列で、直線へ。

アグネスジェダイとプリサイスマシーンが叩き合いの様相を見せますが、外からナイキアディライト、さらに外に持ち出したフジノウェーブ、その後ろからリミットレスビッドが追い込んできます。アグネスジェダイとプリサイスマシーンがナイキアディライトを競り落とし、その外から一完歩ずつ迫ってくるフジノウェーブ。さらにリミットレスビッドが、うしろからジワジワと迫ってきます。

残り100m切ったところでフジノウェーブが並ぶと、そのまま先頭に立ち粘るプリサイスマシーンを振り切って先頭でゴールイン。

JBC競走における地方勢初制覇という偉業が達成された瞬間でした。

その後は東京スプリング盃4連覇等の功績を残したフジノウェーブ。その功績をたたえ、東京スプリング盃は名称を改め、2014年からはフジノウェーブ記念として施行されています。

ブルドッグボス 2019年勝ち馬

父ダイワメジャー
母リファールカンヌ 母父デインヒル

ブルドッグボスは、4歳から力を付け出した馬でした。勝ちきるまではいかなくとも、統一重賞で2着に食い込むなど、内容・結果ともに充実していきます。

5歳に入ると、移籍したタイミングと成長がうまく合わさったのか、安定した強さを見せるように。クラスターカップで重賞初制覇を達成すると、その後もJBCスプリント3着などダート短距離界の主力として活躍します。

翌年は勝ち運に恵まれず勝利なしで終えたものの、2019年に大きなチャンスが訪れます。それが、東京盃2着の後に迎えた地元開催のJBCスプリントでした。

同年の高松宮記念を制しているミスターメロディ、ダート短距離で安定感のあるコパノキッキング、同門のノブワイルドが人気で続いていく。さらには春の黒船賞勝ち馬サクセスエナジー、18年・京王杯2歳Sの覇者ファンタジストなども続きブルドッグボスは6番人気。コパノキッキングは鞍上に藤田菜七子騎手を迎え、女性騎手によるG1級競走が期待された。

レースは、ゲートが開くと内からノブワイルド、コパノキッキング、サクセスエナジー、ファンタジストの激しい先頭争いが繰り広げられる展開に。さらに向正面ではノブワイルドがハナを制して先頭横に広がりながらファンタジスト、コパノキッキングもが続き、サクセスエナジーは4番手ミスターメロディ、ショコラブランが押し上げてます。少し離れてブルドッグボスが続きます。

3コーナー手前から、コパノキッキングが先頭をとらえる勢いで、ノブワイルドを外から交わしにかかります。後ろにはミスターメロディ、ショコラブランも続き、後ろとはかなり差が開いた展開ながらブルドッグボスも追い出しを開始。

直線に入るとコパノキッキングが先頭、コーナーで一気に先頭集団との距離を詰めたブルドッグボスが外に持ち出し猛然と追い込んできます。先頭集団を一気に飲み込み、粘るコパノキッキングもゴール手前で差し切ってゴールイン。
2007年フジノウェーブ以来となる、地方勢勝利を収めました。

2021年に引退し、種牡馬となったブルドックボス。今後はお父さんとして、第二の馬生での活躍も期待されます。

サブノジュニア 2020年勝ち馬

父サウスヴィグラス
母サブノイナズマ 母父カコイーシーズ

短距離では安定した成績を残していたものの、重賞にはもう一歩のところで手が届かなかったサブノジュニア。しかし、2020年に本格化します。東京スプリント2着からの三連勝で地方重賞のアフター5スター賞を制覇すると、東京盃5着を挟み、スプリントの頂点を決めるJBCスプリントへ出走します。

2020年のJBCスプリントは、東京盃を制したジャスティンが1番人気。前年2着のコパノキッキングが2番人気で続きます。上述したブルドッグボスは3番人気でした。他にも、同年の高松宮記念勝ち馬モズスーパーフレア、ドバイゴールデンシャヒーン2着のマテラスカイ、前年の高松宮記念勝ち馬ミスターメロディなど豪華な顔ぶれ。そのメンバーの中、サブノジュニアは8番人気でレースを迎えました。

ゲートが開くと前回覇者ブルドックボスが出遅れるも、前はスプリント戦らしい主導権争いに。1枠のヒロシゲゴールド、モズスーパーフレア、外からノブワイルド、マテラスカイ、ベストマッチョ、クルセイズスピリッツが続き、先頭集団を形成。差があいてキャンドルグラス、押し上げ気味にコパノキッキングが続きます。サブノジュニアは後方で脚をためる競馬。

レースを引っ張ってきたモズスーパーフレアに、ノブワイルド、マテラスカイ、ベストマッチョ……さらに大外からコパノキッキングが距離を詰めにかかり、直線へむきます。

モズスーパーフレアが後ろとの差を広げにかかるも、マテラスカイがさせまいと脚を伸ばします。しかし、後ろから一頭だけ違う脚で飛んできたのがサブノジュニアでした。

そのまま並ぶまもなく差し切り、粘るマテラスカイ、モズスーパーフレア、後ろから来たブルドックボス、キャンドルグラスの猛追も時すでに遅し。

そのまま先頭で、サブノジュニアがゴール。

乾坤一擲とはまさにこのことかと思うような大仕事を成し遂げました。


ここまで、いかがでしたでしょうか?

地方勢の活躍も多く見られるJBCスプリント。地方vs中央という目線で見ても、きっと楽しいレースになるはずです。

写真:s.taka、ウマフリ写真班

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