数年前より加速し続けている一口馬主クラブの躍進はとどまる事をしらず、POG期間のGⅠレースで連対馬が続々と登場しています。

阪神JF

1着:レシステンシア(キャロットF)

朝日杯FS

1着:サリオス(シルクR)

ホープフルS

2着:ヴェルトライゼンデ(サンデーR)

桜花賞

1着:デアリングタクト(ノルマンディーOC)
2着:レシステンシア(キャロットF)

皐月賞

2着:サリオス(シルクR)

また重賞8レースの勝ち馬が一口クラブ所属馬です。数字にするとGⅠでは60%、重賞では34.3%で優勝している確率になります(2020年5月1日現在の重賞32レースで計算)。
POGの世界では一口馬主クラブは無視できない存在となっています。
今回は老舗中の老舗、社台レースホースのPOG注目馬を4頭特集したいと思います。

アレンシュタイン

父:ディープインパクト
母:フィオドラ
母父:Lord of England
堀宣行厩舎 (美浦)
2018年1月17日生まれ
牡馬・募集額1億円
母7歳時の出産で2連産目(第2仔)

社台ファームの募集カタログにおける「募集番号1番」である、この馬から取り上げます。
父ディープインパクト×母父Lord of Englandの組み合わせは本馬を含めてJRAに過去2頭しかおりません。そんな未知数な配合ではありますが、母のフィオドラは独オークス馬で期待が高まります。

社台ファーム生産でJRA出走経験のあるディープインパクト産駒の牡馬は過去に113頭いて83頭の勝ち上がりです。率に直すと73.5%となっています。重賞馬は12頭でPOG期間の代表馬はサトノアレス(朝日杯FS)トーセンラー(きさらぎ賞)ヴァンキッシュラン(青葉賞)ベストディール(京成杯)サトノインプレッサ(毎日杯)ギベオン(NHKマイルC2着)です。

管理する堀厩舎は近5年間で9頭預託され5頭が勝ち上がっただけでなく、その勝ち上がり馬たちはどの馬も複数勝利をあげていますので心配は不要でしょう。

募集時より馬体の小ささが課題となっていましたが、4月3日時点のクラブ発表の場体重は456kgまで増えて懸念点を払拭してくれました。動画を見るとまだまだ発展途上で右へもたれる面など課題はありますが、欧州血統にありがちな重苦しさもなくスピードがありそうな走りに感じられます。
クラブの募集額1億円という大きな期待に応えてクラシックロードを意識できる1頭ではないでしょうか?

クライミングリリー

父:ディープインパクト
母:コンテスティッド
母父:Ghostzapper
国枝栄厩舎 (美浦)
2018年3月16日生まれ
牝馬・募集額6,000万円
母9歳時の産駒で5連産目(第5仔)

続いては募集番号2番のクライミングリリーです。日本における父ディープインパクト×母父Ghostzapperの産駒はすべてこの馬の兄姉という配合です。第2仔の全兄ギベオンは毎日杯2着、NHKマイルC2着とPOG期間での活躍をしたほか、その年に中日新聞杯でも勝利しています。第4仔サトノフウジンはPOG期間3戦2勝でこの記事を書いている段階ではダービー出走を目指している状態です。デビューした3頭はPOG期間に勝ち上がり、ポイントをしっかり加算してくれていますので、社台RHの中でも「確実性」の高い1頭だと思います。

社台ファーム生産でJRA出走経験のあるディープインパクト産駒の牝馬は過去に118頭いて67頭が勝ち上がっています。つまり、勝ち上がり率は56.8%です。重賞馬は3頭で、POG期間でみるとマルセリーナ(桜花賞)シェーングランツ(アルテミスS)が代表馬になります。

管理する国枝厩舎は近5年間、6頭入厩で5頭の社台RH馬がデビューし、2019-2020シーズンにおける社台RHの代表格マジックキャッスルなどを送り出しました。この組み合わせで勝ち上がりはこの1頭ですが、名伯楽の手腕に期待したいと思います。

クラブの募集の段階から好評価が続き、コメントも好感触。2月に「調教中は他の馬と比べてバネの良さが目立ちます」であったり、4月は「他の牝馬たちと比べても、ひとつ抜けた脚力」と期待せずにはいられません。

動画ではまだまだ発展途上かなと思わせる走りではありますが、兄たちは秋口から冬にかけじっくりと時間をかけデビューした一族ですので焦る事もないでしょう。距離適性的にはオークスを意識したい1頭です。

セブンフォールド

父:ディープインパクト
母:カルティカ
母父:Rainbow Quest
藤原英昭厩舎 (栗東)
2018年3月10日生まれ
牡馬・募集額1億2,000万円
母11歳時の産駒で空胎明け(第5仔)

母カルティカは仏重賞で入着を果たし欧州で繁殖生活に入ったのちに日本へ輸入されました。初子の半姉ケマーは引退レースしか欧州GⅠで掲示板を外さず、GⅠを2勝している勢いのある母系です。父ディープインパクト×母父Rainbow Questの産駒はJRAでは3頭出走し1頭も勝ち上がれていないのは少々気がかりではありますが、過去の産駒は全て牝馬でもあります。今回、牡馬にでてどう変わるでしょうか。

管理する藤原英昭厩舎は社台RHの募集馬を近5年間で一番多く管理するエース厩舎で、過去に12頭を預かっています。勝ち上がりは6頭で、ギベオンでNHKマイルC2着などPOG期間内にポイントを加算してくれています。

募集時のカタログ写真から4月の段階の写真まで一貫してグッドルッキングホースで、皮膚が薄く非常に好印象な筋肉を披露しています。こちらも動画の動きを見るに、まだまだこれから身体が良くなってくるタイプに見えますが、順調ならば年内にデビューしてしっかりとポイントを取ってくれるのではないでしょうか。

ミステリーウェイ

父:ジャスタウェイ
母:ジプシーハイウェイ
母父:High Chaparral
安田隆行厩舎 (栗東)
2018年3月12日
牡馬・募集額4,000万円
母10歳時の産駒で5連産目(第5仔)

父ジャスタウェイからは2020年フィリーズレビューの勝ち馬エーポスなど、これまでに重賞馬3頭が輩出され今後も継続した活躍が期待されます。また母父としてのHigh Chaparralの産駒はJRAにて26頭中13頭が勝ち上がりシゲルピンクダイヤ(桜花賞2着)半姉アマルフィコースト(中京2歳S)トルークマクトトルークマクト(JRA62戦5勝の無事是名馬)など様々なタイプの馬がでています。このタイプの組み合わせは様々な特性をもっていますから、POG期間においても有利に働くのではないでしょうか。

管理する安田隆行厩舎は近5年間で4頭の預託ですが、うち1頭が京王杯AHを制したトロワゼトワルです。本馬はPOG期間に重賞、オープンで3度の入着を果たしポイントの上積みをしてくれました。比較的に走れるうちにしっかりと数を使ってくれる厩舎ですし、短距離に強いことは心強いです。

馬体はスピードタイプに映り、動画でも坂路をしっかりと駆け上がる姿には好感が持てます。
また、4月中に入厩予定で半姉アマルフィコースト同様に夏競馬から使い出せそうな事はポイントが高いです。厩舎の特徴と本馬の特性が合致した時に面白い存在になるのではないでしょうか。

以上、高橋楓が選ぶ社台レースホースから期待の4頭です。

はっきり言ってしまえば、ノーザンファームの「進み具合」と比べ、どうしても見劣りしてしまうかもしれません。

これは、「自然に任せる」方針の社台の育成のため、どうしてもこの時期はそうした進み具合での差が出てしまうのでしょう。ただし、だからと言って漫然と放置しているわけではありません。そこは一流牧場だけあって、しっかりと手をうっています。

美浦の外厩の山元トレーニングセンターの直線坂路コースの改修を行い、スタート地点側を延長。これにより全長はこれまでの750mから900mになっています。高低差も10mほど拡大されて、負荷の高いタフな調教コースに生まれ変わりました。また、調教馬場の素材も以前のポリトラックから、ウッドチップコースに変わっています。また従来通り栗東の外厩には全天候型のグリーンウッドトレーニングセンターがあります。

ぜひ、社台RHの躍進に期待してください。

この記事が皆様のPOG戦略のお役に立てれば幸いです。

※記事内のクラブの名称はクラブ法人名を使用しています。
※記事内の数字は2020年5月1日現在になります。
※記事内の写真は募集カタログの写真になります。

あなたにおすすめの記事