[連載・クワイトファインプロジェクト]第42回 続「ベラジオ」とのご縁と「プロの評価」

先週から今週にかけ、「ベラジオちゃんねる」と私のYouTubeチャンネルで立て続けに動画を公開した。その中で、「バトルクウ2023」は門別のトップトレーナー田中淳司調教師に預託されることが発表され、話題を呼んでいるところである。

ベラジオちゃんねるは約1万人以上の方々が視聴する人気チャンネルであり、コメントの数も私のチャンネルより遥かに多い。その中には、当然ながらクワイトファインプロジェクトと相容れない考え方の人もいるし、どこのどなたかは存じ上げないが私の個人的資質に痛烈な批判をされた方もいる。ネット上の誹謗中傷が社会問題となっている昨今、どう対処していいのかという課題は突き付けられているが、一方で私はこれまで自分の活動が100点満点だとも思っていないし、正直50点にも満たないと思っている。謙虚に、批判的意見をも糧にして、さらに活動を改善していかなければならない。

さて、今回のバトルクウ2023落札に至る様々なドラマの中で、一人、忘れてはならない人がいる。今日はこの場をお借りして、その方への感謝を述べたい。


前回コラムにも記載したが、10時50分に展示の時間が終わって11時30分のセリ開始を待つまでの約40分のインターバル。私はコンサイナー(愛知ステーブル)の場長を探しにセリ会場の13番きゅう舎に向かった。そこで、熱心に馬を見ている一人の男性がいた。少し前に真島大輔調教師がしたのと同じように、馬の歩様を見て、脚元を自ら触ってチェックしたり等、明らかに馬を扱うプロの方だというのはわかった。2日目トップバッターのこの馬をこの時間帯に熱心に見ているということは、おそらく入札はしていただけるであろうと直感した。それを受けて、愛知ステーブルの場長と緊急に話し合い、「価格交渉を受ける」という方針に変更したのが開始10分前の11時20分である。

その後のことは皆様もご存知の通りだが、この男性がどのようなお立場の方なのかが解らずじまいで、会ってお礼をすることも叶わなかった。

そして私はその6日後に大阪に赴き、動画撮影に臨んだわけだが、セリ会場で馬を見ていただいた男性が、園田競馬の田中一巧調教師であることをその時に教えていただいた(ベラジオちゃんねる動画でも14分くらいに具体的にお名前が出てきます。なお、「一巧」が正しいお名前です)。

ぜひ自分の厩舎で預かりたいと言っていただいたとのことで、販売者からしたらこれ以上の名誉はない。

今は日本中どこの厩舎も預託希望が殺到し、馬房のやりくりに四苦八苦されている。ましてや人気の園田競馬で、リーディングトップ級なら、入厩まで1カ月以上待ちというのもよく聞く話である。田中一巧調教師はリーディング5位(9/2時点)だし、入厩までの調整がかなり大変であろうことは想像に難くない。そんな人が、いくら林田オーナーの落札馬とは言え、自分で預かりたいと言っていただけるのは決してリップサービスでなく、本当にこの馬を評価していただいたからであろう。というより、そもそも見どころがない馬ならオーナーに購入のゴーサインは出さないはずである。

現時点で、「とも(後肢)」が寂しいというのは林田オーナーも森川社長も田中一巧調教師も共通の認識であるが、前肢と馬体のバランスは皆様にお褒めいただいているし、レポの懸念材料(LH飛節OCD)も林田オーナーはまったく気にしていないと明言されていた。思えば、姉のクワイエットエニフ号だって吉澤ステーブルに移動した直後は胸前が素人目にも寂しく映り、下手に体高があるから全体的に薄っぺらな馬体で、これで本当に南関に行けるのだろうかと不安だったのを覚えている。それが今や460kg級まで成長した。妹は、もう私の馬ではないのであくまで1ファンとしての心境であるが、3歳後半でも4歳になってからでも「とも」が強化された暁には大輪の花を咲かせるだろうと確信している。そのための門別入厩、しかも田中淳司きゅう舎所属ということで、期待は尽きない。

とは言え、日本全国どこの競馬場でも工夫に工夫を凝らして強い馬づくりに切磋琢磨しているのも解っている。そして、それぞれの競馬場を盛り上げていきたいという情熱も皆さん持っている。園田は私も2009年から2010年にかけて馬を預託し、小牧さんや岩田康さんは中央移籍後であったが下原騎手、大山騎手、川原正一騎手といった名手にも乗っていただいた。何人か顔見知りの調教師もいるし、気になる競馬場の一つではある。よって、例えばクワイエットエニフ号が今後の成長の中で、小回りコースに対応できる先行力と器用さを身に着けたなら、いつの日か園田にも挑戦してみたいし、その時にご縁があれば田中一巧先生にお願いして、今回のセリでの「目利き」に対するささやかなお礼が出来ればと思っている。

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