[連載・クワイトファインプロジェクト]第49回 記念すべき日と競馬の現実と

本日、門別競馬場の能力検査において、「ベラジオノユメ」号が合格しました。
先日YouTube動画で田中淳司調教師からコメントをいただいた際、「短距離向きの馬ではない」と明言されていましたから、今日の能力検査は正直無事に走りきれば(合格は言うまでもなく)いいかな、くらいに思っていましたので、今日の内容はゲートに課題は残しましたが想定内ではないでしょうか。

そして、明日で「バトルクウ2025」も無事に最初の1か月を経過し、いよいよ「ただのやんちゃ坊主」から「経済的価値のあるやんちゃ坊主」へとステージが上がります。それを受け、プロジェクトから近々に重大発表があります。少なくともバッドニュースではありませんので楽しみにお待ちください。

ベラジオノユメについては、もう自分の馬ではないので私も軽々にコメントは出来ません。ああなって欲しい、こうなるといいなと言うファン目線での願望はありますし、門別で認定(フレッシュチャレンジ、アタックチャレンジ等)を勝ってくれれば最高ですが、今の段階でもこれだけは明言できます。それは、

「門別の名門・田中淳司厩舎に入厩することができ、坂路1日2本の猛調教にも他のエリートホース達に劣後せずついて行き、特に脚元の不安もなく、2歳3月に能力検査に合格する」

ってことが、どれだけ立派なことか。
クワイトファイン以上に実績のある種牡馬の仔だって、この領域に辿りつけない馬は沢山いるのです。

もちろん、母馬のポテンシャルの高さが影響しているのは否定しません。バトルクウは本当に立派な牝馬です。母母シスタートウショウの良血馬ですし、これでもし中央で1勝していたらクワイトファインとのご縁はなかったでしょう。彼女にとって私のもとに来たことが幸せだったのかは分かりませんが、クワイトファインについて巷間言われている風評(『晩成だ』とか『馬体が寂しい』とか)をすべて覆す優良産駒を送り出したことで、この馬の繁殖牝馬としての評価が高まったという意味では良かったのかも知れません。
バトルクウの置かれた立場についても、ちゃんと考えています。もはやシスタートウショウのファミリーラインを継げる馬が少なくなっていることも承知しています。こちらも近いうちにご報告いたします。

バトルクウ2025については、まだやっと1か月ですからどうこう言える段階ではありません。ただ今は「牡馬」、「馬体は大きくなりそう」、「元気」、「賢い」、「バネがある」という幸せな5つの単語を並べながら、健やかな成長を見守りましょう。でも、めっちゃ楽しみなのは間違いないです。

そんな妹、弟の華やかな話題の陰で、姉クワイエットエニフも3/28の能験に向け必死で頑張っています。
今は戦略上のこともありネットで多くを語ることは避けたいと思います。ただ、初仔でやや成長の遅かった姉に、これまでプロジェクトの看板として多少無理を強いた部分もあったことも否定はしません。でも、今はそこまで彼女に背負わせなくても良くなった。後は、彼女自身の馬生のために、一歩ずつでも前に進んで欲しい。そう願っています。
当たり前のことですが、初仔が産まれなければ、2番仔、3番仔は産まれないのです。それも、サラブレッドの宿命であり、競馬の現実です(なお、テイオーノユメ号も初仔です)。
ただ、クワイエットエニフ、馬体は立派です。妹よりも雄大な馬体(現状480kg)を誇ります。クワイトファイン産駒イコール馬体が貧弱、という風評も多いですが、クワイエットエニフを見たらさらに認識を改めていただける、と言いたいですが、結局は母馬バトルクウの評価がさらに上がるだけのかな……。
それはさておき、今年種付した中央5勝馬アナモリが無事に受胎してくれたら、来年が非常に楽しみになります。初産でもないし、ある程度のサイズと、母馬のポテンシャルを色濃く受け継いだ仔を出してくれるといいですね。

競馬の世界は、キラキラした希望のある話ばかりではありません。ホワイトナイトが簡単に現れてくれる世界でもありません。名もなき多くの馬たちが、そしてそれを支える多くの人々が、それぞれの居場所で少しでも前進するために必死で頑張ってこの産業を支えています。それでも、グッドニュースより遥かに(表に出ない)バッドニュースが多い世界です。我々は、どんな現実もしっかり受けとめていかなければならないのです。それでも、多くの皆様からの負託とサラブレッドの未来のため、信念を持って今後も進んで行きます。

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