[重賞回顧]古都の思いを胸に〜2021年・みやこステークス〜

11月7日は、日本競馬にとって忘れられない日となった。

明け方に行われたブリーダーズカップ競走でラヴズオンリーユーとマルシュロレーヌが勝利を挙げ、日本競馬の歴史に新たな伝説を築いた。日本国内でも大きな盛り上がりとなり、日本馬の奮闘に酔いしれた。

そして同日、日本でもダート戦線で重賞が行われた。
今年も阪神競馬場に舞台を移して開催される、みやこステークス。
チャンピオンズカップにつながる重要な前哨戦である。

レース概況

今年のみやこステークスはフルゲート16頭の出走で行われた。

注目は安定感あるベテランと新進気鋭の3歳馬の2頭に集まった。
1番人気はクリンチャー。今やダートでの戦いも板についてきたクリンチャー。
ここ3走は重賞連勝に帝王賞3着と安定感抜群。悲願のG1タイトルに向けてここは負けられない戦いだ。
そして勢いに乗る3歳馬メイショウムラクモが2番人気となった。連勝を狙った前走のレパードステークスはまさに完勝。強い走りで重賞初制覇を成し遂げた。3連勝を掛けて古馬に挑む。
もちろん他の14頭も強豪揃い。オーヴェルニュやスワーヴアラミスもG1へ向けて勢い付けたいところ。
激戦必至のフルゲート戦は果たしてどうなるか。

通常のみやこステークスより100m短い、1800mのスタート地点。
16頭が揃って飛び出した。

まずは5番のアナザートゥルースが15頭を引っ張る。
連れてアシャカトブや芝での先行が得意なダンビュライトも前へと取り付いた。
向こう正面へと出るとクリンチャーやオーヴェルニュも前段に接近。レースを動かしたのは伏兵エクスパートラン。エクスパートランが進出を開始すると前段馬群は団子状態に。

3コーナー過ぎから各ジョッキーのアクションが大きくなる。

アナザートゥルースのリードが無くなり、ダンビュライトやクリンチャーらが横並びになって直線に向いた。
しかし直線に向いてからのアナザートゥルースはもう一段の脚を使って後続を突き放す。

クリンチャーやヴェンゼンスの追撃も封じ込め、このまま逃げ切りか─罫線と思ったところ、大外から矢のように飛んでくる2頭がいた。

それが、メイショウハリオとロードブレスであった。

一気にアナザートゥルースを捕らえ、併せ馬でのトップ争いに。
同体で入線したゴール板、制したのはメイショウハリオであった。重賞初挑戦で初制覇の偉業を成し遂げた。

各馬短評

1着 メイショウハリオ (浜中俊騎手 5人気)

直線での追い込みで、激戦のトップ争いを制した。

道中は中団の追走。流動的になったレース中盤から終盤でもポジションをがっちりと固めていた。
直線では逃げるアナザートゥルースに向かって追い込み、連れてきたロードブレスを接戦の末振り切った。

これで重賞は初制覇。新たなスター候補が、砂の世界に誕生した。

2着 ロードブレス (坂井瑠星騎手 6人気)

後方追走の策に出たロードブレス。
固まる前段から中団を見る形で競馬を進め、直線コースに出た。すると末脚が爆発。上がり最速の脚でメイショウハリオやアナザートゥルースに迫り、ハナ差激戦に持ち込んだ。

僅差で2着となったものの、勝ちに等しい内容と言って良いだろう。今後の勢いに期待だ。

3着 アナザートゥルース (松山弘平騎手 10人気)

今回は10番人気の評価となったアナザートゥルース。
しかしその粘り脚は健在だった。

逃げの手に打ったアナザートゥルースは、4コーナーでかなり迫られていたがコーナーワークで突き放しにかかった。クリンチャーなど先団の各馬を封じ込め、詰め寄るプリティーチャンスも抑え込んで3着を守った。

7歳とベテランではあるが、まだまだダートグレードの主役を担える。

総評

みやこステークスはメイショウハリオが制した。

常に流動的なレースで、逃げ馬も追い込み馬もそれぞれ見せ場を作ったレースであった。

メイショウハリオも上がり2位で制し、これからのダートグレードを盛り上げる存在となるだろう。
激戦必至のダート戦線を突き上げることが出来るか、注目である。

写真:俺ん家゛

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