[重賞回顧]短距離絶対女王、有終の美〜2021年・マイルチャンピオンシップ〜

昨年に続き、阪神競馬場で開催されるマイルチャンピオンシップ。

いよいよ短距離戦線も大詰め。12月には香港でビッグレースがあるが、日本ではこれが今年最後の大舞台といえる。今年のマイルチャンピオンシップは豪華メンバーによる争いに加えて、絶対女王のラストランと、見どころ満載。果たしてどのようなレースとなったか。

レース概況

今年のマイルチャンピオンシップは2018年のデビュー以降、この日本競馬の短距離・マイル界をずっと引っ張ってきた絶対女王・グランアレグリアのラストランとなった。
2019年の桜花賞でG1を制覇して以降、積み上げたタイトルは5つ。昨年のマイルチャンピオンシップも制しているだけに、このレース連覇で締めくくることが出来るのかが注目となった。
もちろんファンの支持もグランアレグリアに集中したが、相手となるメンバーもまた強力だった。

2019年の朝日杯FS覇者のサリオスや、グランアレグリアと同様にマイル戦線を引っ張ったインディチャンプなどに加え、なんといっても強力3歳馬軍団が戦いに臨んだ。
春のG1安田記念でグランアレグリアに迫ったNHKマイル覇者シュネルマイスターや昨年の朝日杯FSを制したグレナディアガーズ、怪我からの復活をかけるホープフルS覇者のダノンザキッドなどが揃い、「グランアレグリア一強」にはさせまいと立ち向かった。
このようにG1タイトルホルダーが揃いに揃った豪華マイル決戦。15時40分、運命の火ぶたが切られた。

ファンファーレの後、拍手が沸き上がった阪神競馬場。

向こう正面のゲートインはスムーズに進み、レーススタート。
好スタートを切ったのは1枠の2頭。そこから最内の3歳馬ホウオウアマゾンが先頭に立つ。そしてクリノガウディーも追走。さらにはサウンドキアラやサリオスも先行勢いへと加わる。そしてグレナディアガーズはやや引っ掛かりながら前団を追いかけた。シュネルマイスターやインディチャンプも中団を追走し、グランアレグリアはこれら中団を見る位置でレースを進めた。

ホウオウアマゾンが後続をやや話して逃げ、前半の3ハロンは35秒6のペースとなった。
外回りの4コーナーに差し掛かるとホウオウアマゾンに目掛けてサリオスやグレナディアガーズが並びかける。馬群が凝縮、横並びになって直線に向いた。ホウオウアマゾンが先頭も、サリオス、インディチャンプ、グレナディアガーズと横一線に各馬が追い込んでくる。特にサリオスとインディチャンプが伸びが良く、シルクレーシングの2頭がホウオウアマゾンをつかまえる。

──しかしその瞬間、今度はサンデーレーシングの2頭が追い込んできた。
シュネルマイスター、そしてグレンアレグリアであった。

瞬く間に先行勢を捕らえ、さらに追いかけたシュネルマイスターを振り切る。

まさに独壇場。着差以上のインパクトと強さを見せつけてゴールイン。
阪神競馬場は大きな拍手に包まれた。

各馬短評

1着 グランアレグリア (C.ルメール騎手 1人気)

グランアレグリアが有終の美を飾った。

後方追走の策を取ったグランアレグリア。コーナーでポジションを上げつつ直線での勝負に出た。この直線でたたきだした上がりは最速で32秒7。圧倒的な末脚で勝利を挙げた。
絶対女王はこの日も健在。ラストランをマイルチャンピオンシップ連覇で飾った。

2着 シュネルマイスター (横山武史騎手 2人気)

3歳馬のシュネルマイスターが2着となった。

中団追走となった道中で脚を溜め、直線でもしっかりと末脚を発揮し上がりタイムは32秒9。鋭い末脚を見せ、安田記念同様に古馬の強豪を追い詰めた。
絶対女王が居なくなる中、新たな主役として名乗りを上げるには十分の走りであった。

3着 ダノンザキッド (川田将雅騎手 5人気)

激戦となった3着争いにも3歳馬が食い込んだ。ダノンザキッドもシュネルマイスターと同じく中団追走。上がりタイム自体では1,2着馬には及ばなかったものの、伸び脚は怪我前の走りを取り戻したものだった。昨年のホープフルS馬がマイル戦線で復活ののろしを上げた。

総評

マイルチャンピオンシップでは見事グランアレグリアがラストランを飾った。

これで獲得したタイトルは6つ。現役生活4年の間短距離戦線を主役として引っ張り続け、最強女王アーモンドアイを下すなど無類の強さを保持し続けていた。
最終戦も上がりが32秒台と他馬を寄せ付けない圧勝劇。絶対女王は最後の最後まで短距離・マイルにおいて絶対女王で居続けたことを証明したレースであった。

阪神競馬場に集ったファンの拍手がこだまする中、また1頭歴史に残る名牝がターフを勇退した。

写真:RINOT

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