アーモンドアイの現役最後の輝きとなった『世紀の一戦』ジャパンカップから早くも2か月。
再び府中に競馬が戻ってきた。
2021年の東京競馬は、無観客で開幕。これから5開催44日間の日程を絶えず駆け抜け、画面の向こうの我々ファンに届けてほしい。

本競走は、1985年まで4歳(現:3歳)400万円以下・クロッカス賞として行われ、1989年からは東日本に舞台を移し、クロッカスステークスと名を改めてオープン競走として施行された。そして2004年からは第1回開催の初日、東京初のオープン競走として定着。2019年からはリステッド競走に指定されている。
昨年の優勝馬であるラウダシオンがファルコンステークス2着を挟んで、NHKマイルカップを制しGI馬となったのは、記憶に新しい。
この時期の3歳限定戦としては、クラシック路線やNHKマイルカップにあまり直結しないが、過去には、重賞5勝のシーキングザダイヤ、阪神カップ連覇など重賞4勝のサンカルロなどがこのレースを優勝後に出世を果たしている。


今年は、大井競馬からローズプリンスダムの半弟マテーラフレイバーを迎え、合計10頭が参戦。

単勝一桁台の上位人気に推されたのは5頭だった。

2.2倍の1番人気に推されたのは、ストライプ。
2戦目新潟の未勝利戦で勝ち上がり、重賞初挑戦となった京王杯2歳ステークスでは、勝利したモントライゼに1馬身未満の着差の4着、1番人気の支持だったリフレイムに半馬身先着する走りを見せている。

続く2番人気、4.1倍に推されたのはレガトゥス。半姉には、昨年の京成杯で1番人気2着のスカイグルーヴ(父:エピファネイア)がいる。2戦目新潟の未勝利戦を勝利し、5回目の出走。
新馬戦、未勝利戦とコンビを組んだルメール騎手とのコンビが再結成された。

5.0倍の3番人気、ニシノアジャストは父リーチザクラウン、母ニシノステディーという西山茂行氏の所有馬を両親に持っている。
2走前、同じ東京芝1400メートルの1勝クラスを勝利。その鞍上・三浦皇成騎手が、再登板となった。

7.4倍の4番人気には、ブルーシンフォニー。新潟2歳ステークス(GIII)にてショックアクションに1馬身4分の3差の2着となるなど、メンバー内でも随一の実績を誇る。
デビュー以来騎乗してきた田辺裕信騎手がストライプに騎乗するため、乗り替わりに。新潟で後塵を拝したショックアクションの鞍上戸崎圭太騎手とともに参戦する。

9.8倍の5番人気には、ユキノファラオ。デビュー以来横山典弘騎手が騎乗していたが、5戦目横山武史騎手に乗り替わり勝利、勝ち上がりを果たした。こちらは、これまで出走したすべてで着順掲示板に入る走りを見せている。

JRAの1勝クラスを勝利したのは2頭。その他JRA1勝馬、地方競馬で勝利を挙げた8頭というメンバー構成であった。

レース概況

ブルーシンフォニーとレガトゥスが後れを取ってスタートを切る。
順調に発馬し先行したのは、アスカロン、ロングングバース、メインターゲット、ストライプの4頭。やがてアスカロンが勢いよく飛び出してハナを奪い、1番人気ストライプは控えて3番手で進んだ。
その後ろにニシノアジャスト、出遅れたが挽回したレガトゥスがいて、最後方はブルーシンフォニー、ユキノファラオが待機していた。

ペースは落ち着き、前半の600メートルを37.0秒で通過。徐々に馬群が凝縮し、中団にいたレガトゥスが、一気にまくり好位までポジションを上げた。

逃げるアスカロンやロンギングバースが先頭のまま、最後の直線へ進入。2列目には、内を通るストライプ、逃げ馬2頭の間の陰にメインターゲット、外からレガトゥスやニシノアジャストが位置した。後方集団は、ブルーシンフォニーとユキノファラオが大外から追い上げを試みた。

残り400メートル付近でロンギングバースが抜け出し単独先頭に。石橋騎手の鞭が入る中、それらに連動して先行集団の騎手が盛んに促し始める。
次第にロンギングバースの脚勢がなくなると、内のストライプと外のレガトゥスがかわした。

内外離れての攻防となったが、かわした際のスピードで勝るストライプが先頭へ。残り200メートル付近では完全に先頭に躍り出た。レガトゥスを置いて差を広げると、そのまま特に鞍上が大きなアクションを行わないまま、余裕をもって決勝戦を通過した。走破タイムは1分22秒2。
離されたレガトゥスだったが、後続の追い込みを振り切り2着。外を回し直線追い通しだったニシノアジャストが3着、先に抜け出した2頭には及ばなかった。

2番目の速さで上がり3ハロンを駆けたユキノファラオが7着、3位タイとなったブルーシンフォニーは5着に敗れた。

各馬短評

1着 ストライプ

4番手から、開催初日の綺麗な馬場、最も内を伸びた。上がり3ハロンメンバー中最速の33.1秒の末脚を繰り出して先頭に、後続の追随を許さなかった。

牝馬によるクロッカスステークス制覇は、2013年のシーブリーズライフ以来8年ぶり。シーブリーズライフはその後、フィリーズレビュー5着、桜花賞12着という春を過ごしている。

2着 レガトゥス

出遅れ、折り合いを欠く道中ながら2着に。内を回った勝ち馬には及ばなかった。馬体面でいえば、もう少し距離延長も可能だろう。しかし、折り合いや出遅れなど課題も多い。
今回は出走賞金加算には失敗したが、成長力が見込めるモーリス産駒だけにこれからに期待したい。

3着 ニシノアジャスト

レガトゥスの外から追い上げを試みたが、ペースが遅いこともあり、先に抜け出した2頭には及ばなかった。

レース総評

結果的には1、2、3番人気がその人気通りワンツースリーで入線、下馬評通りの決着であった。

賞金加算に成功したストライプ。1600メートルへの距離延長も対応できると田辺騎手のコメントもあり、桜花賞への出走する資格を十分に得ている。近年、2歳GIからの直行や、非トライアル競走で勝ち名乗りを挙げて、桜花賞を制するケースがトレンドとなっている。ストライプが今後どのような進路を歩んでいくのか不明であるが、今後も注目したい1頭である。

あなたにおすすめの記事