冬の小倉最高峰の戦い、小倉大賞典。
レッツゴーターキンやサイレンススズカ(中京開催)など後のGI馬が勝利しているほか、メジロマイヤーやアサカデフィートなどベテラン勢など、これまで多種多様な馬が優勝馬として名を連ねる。


今年も重賞馬など実績馬が多数出走。
22頭が出走登録を行い、フルゲート16頭が揃った。

2.8倍の1番人気に推されたのは、ボッケリーニ。重賞初制覇となった中日新聞杯では、先に抜け出したシゲルピンクダイヤを内からかわし、クビ差を制した。次なる重賞勝利を狙う今回は、57kgでの出走となる。

2番人気は、フェアリーポルカ。前年の春は、中山牝馬ステークス・福島牝馬ステークスと1800メートルの牝馬重賞を連勝。今回は、若駒ステークス(L)以来となる牡馬との対戦となる。ハンデは55kg。

3番人気は、ヴァンケドミンゴ。条件戦すべてを福島に費やした「福島巧者」。エールステークスでオープン入りした後も、七夕賞、福島記念で3着2着とその肩書を維持している。前走、同じ右回りの中山金杯では、11着敗退。小倉で良績を残して、今後の活躍の幅を広げたいところ。ハンデは、56kg。

4番人気は、アールスター。前年の小倉記念では、条件馬ながら格上挑戦で勝利し、それ以来の小倉となる。13番人気に推された中山金杯では5着と、人気以上の走りを見せた。オープンクラスでは、二桁人気が続いていたが、初めて一桁のオッズ、人気に支持された。ハンデは56kg。

前年の小倉大賞典を制し連覇を狙うのはカデナ。5番人気に推された。重賞3勝、大阪杯4着の実績があり、58kgはトップハンデとなった。その他、福島記念を制したバイオスパーク、函館記念を制したアドマイヤジャスタ、重賞3勝のロードクエストなど重賞馬が出走。また重賞3勝のデンコウアンジュには、2月末で引退となる蛯名正義騎手が騎乗し注目を集めた。

レース概況

揃ったスタートを見せた。
大外のディアンドル、トーラスジェミニが先手を主張。2頭が並んだが、内のトーラスジェミニがハナを奪う。
テリトーリアルが3番手。その後ろに、フェアリーポルカやボッケリーニがつけた。バイオスパークやアールスター、デンコウアンジュは控えて中団へ。
後方には、ヴァンケドミンゴやロードクエスト。その最後方にはカデナとドゥオーモが位置した。

逃げるトーラスジェミニは、2番手のディアンドルとの差も広げ、後続を千切ってペースを作る。馬群は、縦長に。前半の1000メートルは58秒ちょうどで通過した。
向こう正面から第3コーナーにかけて、カデナなど後方グループが後方馬群は凝縮し一団となる。逃げるトーラスジェミニの脚はなくなり、ディアンドルが先頭となった。

スパイラルカーブを経て、後続の大半は馬場の外側に進路を求める。一つになった後方集団は、一斉に動き始めた。その集団の先頭は、テリトーリアルだった。

最後の直線に進入。馬場の中央を選んだ先頭のディアンドルを境に、内外で攻防が繰り広げられる。
内では、デンコウアンジュと蛯名騎手がただ一頭が追い上げる。
外からは、テリトーリアル、フェアリーポルカ、ボッケリーニ、アールスターなど。

残り200メートル地点で、ディアンドルに外からテリトーリアルが並ぶ。それに応じて、内からデンコウアンジュ。さらに外からボッケリーニが襲い掛かり、4頭が横一線となった。
次第に、外が優勢に。先に抜け出したテリトーリアル、追い上げるボッケリーニの競り合いとなり、テリトーリアルがハナ差振り切って入線した。その2頭から1馬身半遅れてディアンドル。
アールスターは、デンコウアンジュをかわすのが精いっぱいだった。

後方から追い込んだカデナ、アドマイヤジャスタなどは前には届かなかった。

各馬短評

1着 テリトーリアル

デビューから32戦、7歳にして重賞勝利を成し遂げた。
2月末で引退となる西浦勝一調教師へ重賞タイトルを届けた。
石川裕紀人騎手とテリトーリアルは、昨年10月にオクトーバーステークスで勝利して以来、5戦2勝3着1回と相性が良い。

テリトーリアルは今後、インティやシヴァージ擁する野中賢二厩舎への転厩が決まった。
「重賞馬」の「野中厩舎への転厩」といえば、トウカイトリックが有名か。トウカイトリックはその後重賞2勝を果たしており、テリトーリアルも転厩先でさらなるタイトルが期待できる。

2着 ボッケリーニ

左回りの中日新聞杯から一転、右回りの小倉でも勝利に等しいパフォーマンスを見せた。
新馬戦6着以外、12戦はすべて掲示板内という成績。オープン入り後4戦もすべて2着以内という安定感である。

全兄ラブリーデイは、5歳の年明けに中山金杯、京都記念と連勝し、天皇賞(秋)を勝利している。兄同様の成績を残すことができるのか、今後に注目である。

3着 ディアンドル

葵ステークスで重賞勝利し、スプリンターズステークスで4番人気に推されるなど、1200メートルで良績を残してきたが、昨年11月に2000メートル戦へ転向。ここ2戦は下位に沈んでいたが、3戦目にして結果を残した。

5着 デンコウアンジュ

すっからかんの内を突き、一瞬抜け出す気配も見せた。

蛯名騎手が戒告を受けるほどの鞭で懸命に追い上げたが、惜しくも勝利ならず。

総評

11番人気→1番人気→12番人気の決着となり、三連単は、23万越えと波乱となった。
西浦勝一調教師は、今月末で定年となるが、実は師にとってテリトーリアルが最後の重賞ではない。阪急杯にはブラックムーンが控えている。
騎手としてカツラギエース・ヤエノムテキなど、調教師としてカワカミプリンセス・ホッコータルマエなどが知られる。その華麗な競馬人生に花を添えた。

また蛯名騎手は最後の最後で、JRA全10場重賞制覇の快挙には届かなかった。ただ、見せ場を作り、勝利を夢見ることができた。同日の小倉2レースでは、8番人気のクインズセージで勝利。最後の小倉騎乗を終えた。
来週は、中山記念。蛯名騎手はゴーフォザサミットに騎乗予定である。その雄姿を見届けたい。

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