[POG26-27]注目馬紹介〜一口クラブ・広尾サラブレッド俱楽部

2007年に現行体制としてスタートを切った広尾サラブレッド倶楽部。そしてその年に産まれ、同クラブで募集されたステラリードが函館2歳Sを制覇して多くの注目を集めた。同馬は母としてもパラスアテナやキングエルメスなどの活躍馬を輩出し、広尾サラブレッド俱楽部の礎を築いた牝系となっている。

また、近年ではパンサラッサがサウジC、ドバイターフと2つの海外GⅠを勝利したことも記憶に新しいが、同馬は2歳時からホープフルSに出走するなど、POG期間から重賞戦線に駒を進めていた。さらにゴドルフィンマイルを制したバスラットレオンも、期間内にニュージーランドトロフィーを勝利。早い時期からの活躍を見せている。

本記事では、そんな彼らに続くような広尾サラブレッド倶楽部の注目馬5頭を紹介したい。

■アークシーベル

父:Sea The Stars
母:Belcarra
性:牡 毛色:鹿毛
所属:美浦・蛯名正義厩舎

父のSea The Starsは既に欧州で活躍馬を多数輩出している名種牡馬。2025年の凱旋門賞の1,3着馬は彼の産駒であり、フランスのリーディングサイアーにも輝いたという勢いがある。

そして母の父であるEstidhkaar は本邦初登場。がっしりとした欧州血統を持つアークシーベルが、果たして日本競馬に適応できるかというところはあるだろう。

ただ、母Belcarraは2歳秋から3歳春にかけて、短距離からマイルの重賞とリステッド競走を制覇。仕上がりも早く、スプリント路線で活躍できるだけのスピードを兼ね備えていた。さらに母系には日本でもおなじみといっていいDark Angelの血が流れており、函館や札幌の洋芝はもちろん、軽い芝でも躍動しそうな雰囲気は感じる。

育成過程でもガッツのある力強さと気性面を押し出しており、血統から感じられるパワーにも富んでいるとのこと。欧州からやってきたトップサイヤーの血が、日本競馬に一陣の風を吹き込むか。

■ルリエ

父:Baaeed
母:Malakoot
性:牝 毛色:鹿毛
所属:栗東・矢作芳人厩舎

先述のSea The Starsが送り出し、欧州芝中長距離の一時代を築いたBaaeedに、祖母が欧州GⅠ馬のAmbivalentという血統構成のルリエ。これだけでもかなりの実績馬が組み込まれていることが分かるが、血統表の全体を見渡すと、Dubai MillenniumにMontjeu、Authorizedといった超一流のスターホースたちの名前がずらりと立ち並んでいる。

さらに母Malakootの妹には、ヴェルメイユ賞を勝利し、BCターフで3着となったTeonaがいるというおまけつき。活躍馬で固められた、まさに純金のような血統と言って良い一族だ。

1頭目に取り上げたアークシーベル同様、これだけ欧州血統が多いと日本競馬の芝にフィットするのかという観点は間違いなく出てきそうだが、先述したように母の妹が米国のBCターフで3着となっているのがポイント。近年、日本馬も米国の芝では活躍していることからも、ルリエが日本に全くマッチしないとは思えない。

しかも2歳時からバンバン走ってきた近親が一族には多いため、ルリエ自身もデビューはそれなりに早くなりそう。クラブHPのポイント欄にも「ワールドチャンピオンの資質を備えた未来の女王候補」という文言が踊っているように、陣営からの期待も大きい1頭と言えるだろう。

■ヴァルティアラ

父:ロードカナロア
母:ディメンシオン
性:牝 毛色:鹿毛
所属:栗東・須貝尚介厩舎

母ディメンシオンはこれが3番仔。祖母ミスペンバリーはエタンダールやディメンシオン、そして世界の舞台で輝いたパンサラッサを送り出しており、クラブにとっては大きな縁がある血統のうちの1頭である。

今回、ヴァルティアラの父はロードカナロアとなったが、これは2つ上の兄であるコンタンゴと一緒。彼は惜しくも中央で勝利を挙げることは叶わなかったが、抹消後は岩手に移籍して2連勝。残念ながら怪我により引退を余儀なくされたものの、スピード能力が試される盛岡のマイル戦を2連勝していたことから、もし無事であれば中央に復帰して走る姿を見て見たかったところではある。

そんな兄と全く同じ血を持つ馬となれば、当然、ヴァルティアラにはそれ以上の成績が期待されることになりそうだ。ロードカナロアとディープインパクト系の繁殖牝馬の組み合わせには、ブレイディヴェーグやドナウデルタなど、夏から秋頃にかけて初出走を果たして結果を残す馬も多い。兄のデビューは11月だったが、果たしてこちらはどうなるか。

近況では「継続して乗り込んでいる馬たちのメニューにだいぶ追いついてきた」とのコメントも出ており、軌道に乗り始めてきた様子。きょうだいたちを超え、叔父のパンサラッサに追いつく日は来るか。

■グラディアトーレ

父:サートゥルナーリア
母:フォーエヴァーユアーズ
性:牡 毛色:栗毛
所属:栗東・荒川義之厩舎

血統表内のクロスはSadler's Wellsの4 x 4、Northern Dancerの5 x 5 x 5、Mr. Prospectorの5 x 5と様々なクロスがぎっしり埋まっているグラディアトーレ。彼の母の父はブルードメアサイアーとしてタイトルホルダーやソールオリエンスを送り出したMotivatorである。

この血統構成で思い出すのは、2025年のアルテミスSを制したフィロステファニ。兄、ソールオリエンス譲りの瞬発力でデビューから2連勝を飾った直後の電撃引退となってしまったが、わずか2戦でもファンに与えるインパクトの大きさはかなりのものであった。

そんなフィロステファニの父はエピファネイア。グラディアトーレの父、サートゥルナーリアの兄にあたる存在ということを踏まえるなら、彼女と同系統の血がグラディアトーレには流れていることになる。父系の種牡馬がRoberto系からKingmambo系に変わったことがどのような変化を及ぼすかはわからないが、それでもあのアルテミスSの走りを覚えている身からすれば、かなり楽しみな存在になると言って良いのではないだろうか。

グラディアトーレの馬名の意味は「剣闘士」。かつて、古のローマで彼らが使ったとされるグラディウスのように鋭い瞬発力を披露するその日を楽しみに待ちたい。

■ベイカーストリート

父:タワーオブロンドン
母:レトロクラシック
性:牡 毛色:鹿毛
所属:美浦・奥村武厩舎

祖母、ウェルシュステラから続く牝系の一員。ステラリードやパラスアテナといった活躍馬が近親にいる、クラブを代表する血統馬である。

父はタワーオブロンドンだが、広尾サラブレッド俱楽部の募集馬で同父の産駒というと、2025年にファルコンSまで駒を進めたラパンチュールがいる。両者は本数こそ違えど、Sadler's Wellsのクロスを持っているというのが共通点。だが一方で異なるのは、ラパンチュールがMr. Prospectorのインブリードなのに対し、ベイカーストリートはGone Westということだ。

彼は種牡馬としてZafonicやSpeightstownなどのダート短距離馬を多数送り出しているように、やはり砂の短い距離が主流になってきそうな気もする。クラブコメントでも「ベイカーストリートの活躍イメージはダートの短距離」と出ており、調教での動きもスピード感あふれる動き。力の要るダートの短いところでの活躍に思いを馳せてみるのも良さそうだ。

※写真はクラブ様公式ホームページより。
※記事内の産駒成績等は6月1日現在のものになります。
※本記事はクラブ様の許可をいただき執筆させていただいております。無断転載等はご遠慮ください。

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