[Rewind the race]夢乃頂点~2018フェブラリーステークス~

G1シリーズ開幕戦「フェブラリーステークス」。
毎年12月に行われるチャンピオンズカップと合わせて砂の王者決定戦として中央だけでなく地方からも強豪が参戦するレースだ。また、3月に行われるドバイに向けても大事な1戦となる。

今回は数ある砂の激闘の中から、得意の府中で夢を掴んだ1頭の優駿について振り返っていく。

2015年、大井競馬場で行われたジャパンダートダービー。
ダート界の世代No.1を決める一戦を制したのはノンコノユメであった。
ユニコーンステークスから連勝で世代の頂点に立ったノンコノユメは古馬をも凌駕する末脚が最大の武器である。直線で一気に各馬を交わし去る脚は今後必ずG1の舞台で活躍するだろうと、誰しもが思うような──そんな豪快なものだった。

ジャパンダートダービーを制したのち、ノンコノユメは武蔵野ステークスで古馬と初対戦。
ここでも10番手から豪快に差し切って勝利する。さらに連戦したチャンピオンズカップ、フェブラリーステークスでは共に2着と素晴らしい活躍を見せた。順風満帆な競争生活だと誰しもが思ったが、ここからノンコノユメはスランプに陥る。

フェブラリーステークス2着の後、G1を7戦含む8戦戦うも2着が1回のみ。残りはすべて馬券圏外という苦しいレースが続いた。得意の東京コースでも勝ちきれず、鞍上を主戦のルメール騎手からクリスチャン・デムーロ騎手やムーア騎手にスイッチしても勝ちきれない。さらに気性難から去勢手術を行うなど陣営も含めて工夫を重ねたが、2016年2017年と2年間勝利に見放されることとなった。
しかし陣営は、ノンコノユメの頂点への道はあきらめていなかった。

2018年の始動戦に選んだのは得意の東京コースである根岸ステークス。
初めての1400m戦だった。さらに鞍上も3歳時以来となる日本人ジョッキーの内田博幸騎手を初めて迎えた。新たな環境で挑む始動戦は先行するサンライズノヴァを直線で強襲。ハナ差捉えて3年ぶりの勝利を手にした。かつての勢いが豪脚のように戻ってきたノンコノユメ。夢の中央G1制覇へ向けてフェブラリーステークスへと挑んだ。

そして迎えた、2018年のG1開幕戦フェブラリーステークス。
前年のダートG1完全制覇を成し遂げたゴールドドリームが人気の中心となり、東海ステークスから連勝で来た上り馬テイエムジンソクも人気の一角を占めた。ノンコノユメは4番人気。こちらも人気馬の1頭としてレースに挑んだ。

冬晴れのもと、大歓声が包む東京競馬場。
G1のゲートが開いた。
まずは内枠各馬が飛び出していく。

先手を取ったのはニシケンモノノフ。
続けてケイティブレイブ、ノボバカラ、テイエムジンソクと続いた。ノンコノユメは指定席の最後方。直線勝負に賭けた。迎えた直線。ハイペースで引っ張った先行勢が苦しむ中、馬場の真ん中からゴールドドリームが抜け出しを図る。食い下がるインカンテーションと2頭で競り合う。

残り200m。
2頭のマッチレースの様相となったが、大外から青い勝負服が飛ぶような脚で迫ってきた。
最後方にいたノンコノユメだ。瞬く間に先頭に並びかけると粘るゴールドドリームとインカンテーションを横にしてもうひと伸び。クビ差捕えて遂にG1制覇を成し遂げた。

まさにノンコノユメらしい豪脚で夢を掴んだ勝利だった。

ゴール入線後鞍上の内田博幸騎手はガッツポーズを見せる。
内田騎手にとっても、実に4年ぶりのG1制覇となった。

人馬共に復活のG1制覇となった2018年のフェブラリーステークス。陣営の工夫が実り大願成就を果たしたノンコノユメ。人馬一体となった夢物語は冬晴れの日差しを受けながらきらきらと光輝いた。

写真:かぼす

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