こんにちは。ウマフリライター・徳澤泰明です。
「隣の芝生は青い」という言葉がありますが、筆者の周りにも、馬に関する楽しそうな活動をしている方が多くいます。
この企画では、そんな熱い活動の数々や、馬への愛を面白い形で表現している「人」をメインに紹介していきます。
記念すべき第一回のインタビュー相手は「そーこくん」(敬称略)の名前で活動している馬好きさんです。
「愛馬勝ち上がりたい会」の会長、馬好きアカウントさんのtwitterヘッダ画像の提供、ご自身でデザインされたTシャツやエコバッグの販売を通じての引退馬支援、さらにはお城オタクであり痛風でもあるなど(?)......幅広い活動を展開されている方です。
実は筆者との共通点も多く、そーこくんが現在お住まいの市に筆者も昔10年以上住んでおり、筆者が現在住んでいる家の近く(自転車で数分程度の距離!)にある学校にそーこくんが昔通学していました。また、どちらも30代サラリーマン。そうしたことで勝手に親近感・興味を抱いていたので、今回改めてお話を伺うのを楽しみにしておりました。
それでは早速、お話を伺ってまいりましょう!
愛馬が勝ち上がれなくても楽しむ気持ちを共有したい
筆者:本日はよろしくお願いいたします。まずは自己紹介をお願いいたします!
そーこくん:よろしくお願いします。「一口馬主イラストレーター」「愛馬勝ち上がりたい会会長」などをしております、そーこくんと申します。
筆者:私が最初にそーこくんに惹かれたのは、「愛馬勝ち上がりたい会」というパワーワードからでした。いつ頃から、どのような活動をされている会なのでしょうか?
そーこくん:ありがとうございます。「愛馬勝ち上がりたい会」は、元々「愛馬勝ち上がれない会」という名前でした。読んで字の如く、「出資している馬が勝ち上がれない(=未勝利引退してしまう)」という事をテーマに集まる会でした。2018年あたりにSNS上の冗談みたいな話からスタートしました。
活動は飲み会が中心で、多い時は50人近い規模でやっています。その他にも、クラブ別検討会や競馬場ツアー、藤森神社ツアーに加えて、プロレス部や釣り部などもしており、なんでもアリです(笑)
筆者:勝ち上がれない会を作ったきっかけは?
そーこくん:一口馬主は出資馬が勝つと口取り、記念写真といったサービスがあります。また出資者仲間とSNSで「おたおめ(※)」し合えますし、祝勝会をするなど交友も広がります。一方で、僕みたいに出資馬が負け続けますと......(笑) サービスも交友も、あまり無いんです。
「未勝利だけど楽しみたい」「同じ気持ちの仲間がいるハズだ!」と思い、会を作りました。
※「おたおめ」:「お互いおめでとう」の略
筆者:会の名前が少し変わったのは、どうしてですか。
そーこくん:2つ理由がありまして、 1つは(僕以外の)メンバーが結構勝ち上がりだしまして。「デアリングタクト持ってるんですが、もう参加できませんかね?」みたいな話になってきちゃったので、会のコンセプトはそのままに、間口の広い名前にしたいなと思いました。
もう1つの理由は、みんなが「勝ち上がれない会」は縁起が悪いと(笑) 実際、名前を変えたら数ヶ月ぶりに出資馬が勝ちました。
競馬関連のイラストに取り組み始めた意外なきっかけ
筆者:競馬を始めたのはいつ頃で、普段はどんな楽しみ方をされていますか?
そーこくん:競馬は、学生時代にやっていたダビスタからです(笑)スペシャルウィークやシルクジャスティスがアイドルでした。その後、馬券を買えるようになってからは会社の仲間と競馬場でワイワイ見て楽しんでいました。
筆者:こちら(当記事 冒頭の画像)の「NOT WIN.BUT ENJOY.」の画像も、ご自身のデザインですよね。イラスト・デザインはいつ頃から始めたのですか?
そーこくん:「勝てない。けど楽しむ」という会のコンセプトをもとに作りました。イラストもデザインも素人なんですが、昔から好きで、いくつかのイベントのフライヤーなどを描かせてもらった事もあります。......が、ほとんどは教科書の隅に描いてました(笑)
筆者:競馬に関連するイラストに取り組み始めたきっかけは何ですか?
そーこくん:実は子どもが「パパお絵かきして〜」と言うので描いた絵をTwitterに載せたのが始まりです。それを見た親しいフォロワーさんがアイコンを依頼してくれまして、そこから少しずつご依頼をいただき、馬を多く描くようになりました。LINEスタンプの作成も、競馬のテレビ番組への投稿も、Twitterのフォロワーさんが「やってみたら?」と教えてくれたのがきっかけです。
仲間達との様々な繋がりから生まれた「エコバッグ」「引退馬支援」
筆者:そーこくんがデザインした引退馬支援のエコバッグが、Twitterでも話題になりました。
500件を超える申し込みがあったそうですが、作成経緯や支援プランについて教えてください。
そーこくん:これも偶然なのですが、以前、自分用のメンコTシャツを作ったのがきっかけです。そのTシャツを、友人が欲しいと言ってくれまして。作成費用が1枚2,800円ぐらいしたのですが、友人が「面倒だから3,000円払うわ」と言うので、お釣りは引退馬に寄付する事にしたんです。ちょうどステイホームの時期で、引退馬や乗馬クラブが苦しいというニュースが流れていましたので......。
その話とTシャツの写真をSNSにアップしたら「引退馬のためなら」と買ってくれる人が何人もいました。そこで引退馬への寄付先について、競馬ラジオ「Marc fan」の方に相談したところ、角居調教師が主催する「サンクスホースプラットフォーム」をご紹介いただき、そこから今回のエコバッグの話に発展したというのが作成の経緯です。
さらに「愛馬勝ち上がりたい会」には偶然、 印刷会社・イベント会社・写真好き・ECに詳しいなど、色々なスキルを持つ人がいたので、アドバイスやご協力をいただきながら一緒にやってきました。
支援プランを私が立てているというよりは、収益を全てサンクスホースプラットフォームさんに寄付していますので、どう使ってもらうかはその道のプロにお任せしたいと思っています。たまに「いくら儲かるの?」と聞かれますが、1円も儲けていません!(笑)
筆者:引退馬支援エコバッグについて、反響に対する感想などをお聞かせ下さい。
そーこくん:正直びっくりしました。実は「50個作ったら余るかな?」「1人何個担当する?」と仲間内で相談していたので(笑) 本当にありがたいです。
競馬場でエコバッグを持ってる人を見かけたら、お礼を言いたいと思っています。
サラリーマンとして出来る範囲で、一人ひとりが行える小さな事・善意を掛け算で繋げていく
筆者:引退馬支援に関するデザイン・イラストの活動で、過去に苦労したエピソードなどはありますか?
そーこくん:苦労と言いますか、ありがたいお話なんですが、予想を超える反響をいただき、サラリーマンをしながら夜な夜なメールや枚数管理をしていて寝不足になりました(笑)
筆者:ご自身が好きでしている事とはいえ......本当頭が下がる思いです。引退馬支援の広がりに向けて、何が必要だと思いますか?
そーこくん:少しだけ真面目な話をしますと、「引退馬支援をしたい」という潜在的な思いが、昨今の一口馬主界隈にはあったんだと思います。一口馬主をしていると未勝利引退は避けては通れませんから。ただ今までは、なんとなくハードルがあったのかなぁ......と。そのハードルを取り払うようなモノが出来たら良いな、と思います。
今回のエコバッグは「アイツ何かやってるから1枚ぐらい買ってやるか」という皆さまの優しさがハードルを下げたのかもしれないと思っています(笑)
筆者:これからやりたい事や、活動を続けていく際のスタンス等についてもお聞かせいただきたいです。
そーこくん:僕は素人ですし普段はサラリーマンなので、「あくまでボランティアとして」という範囲ですが、活動は続けていきたいと思っています。今回のように引退馬支援の団体さんはもちろん、牧場さんや厩舎さん、クラブ等から「イラスト描いて」とご依頼いただけたら嬉しいです。そのためにも、もっと練習します(笑)あと今回のエコバッグは在庫不足で買えない(=支援できない)人が出てしまったので、何か新たなアイテムが出来たら、と思っています。
筆者:活動の「やりがい」を教えてください。
そーこくん:エコバッグを買ってくれた方も、サンクスホースプラットフォームさんも、一緒にやってくれる仲間も、みんな馬のための「善意100%」なのが素敵だと思います。サラリーマンというのは、思惑だらけの毎日なので(笑)
筆者:大変興味深いお話をいただき、有り難うございました。最後に、ウマフリ読者に何か伝えたい事があれば是非お願いいたします。
そーこくん:イラスト描きますので、気軽にお声がけください!ただ、あくまで素人なので優しくしてください(笑)
あと、エコバッグを作るきっかけになった競馬トークラジオ「Marc fan」が楽しいのでオススメです。騎手や調教師さんなど競馬関係者がゲストに来る、楽しい番組です。ぼくや勝ち上がりたい会のメンバーも何度かゲスト出演しています!
競馬トークラジオ「Marc fan」
https://ameblo.jp/marcfan
素敵な芝生を駆ける皆さんを今後も紹介していきます
「隣の芝生を駆ける人」第一回、いかがだったでしょうか。
そーこくんが競馬やイラスト活動を楽しむスタンス、そこに惹かれて仲間達が自然と集まってくる様子などがよく分かり、第一回に相応しい大変充実した内容になったかと思います。
また、冒頭でも少し触れましたが、筆者もそーこくんと同じく「30代サラリーマン」であるため、そーこくんを筆頭に様々な関係者が空いた時間(空けた時間)に全力を注いでいき、それが積み重なって一つの巨大な力になる過程に感動しましたし、有り難い刺激にもなりました。
そしてなんと......今回のインタビューに向けて、そーこくんから特製のイラストをいただきました!!
筆者をはじめ、「そーこくんのように真っ青な芝生を駆けてみたい」と思った読者の方々にも手を差し伸べてくれるような、明るいイラストを紹介して当記事を締めさせていただきたいと思います。
それでは、また。