[百万石賞インタビュー]捲土重来を期す、トランスナショナル

金沢競馬上半期の大一番、百万石賞。
このレースには金沢の絶対女王ハクサンアマゾネスがジャングルスマイル以来の三連覇を狙って出走する。
今年に入ってファストフラッシュが引退、ネオアマゾネスが移籍して現在、地元現役馬でハクサンアマゾネスに先着経験のある馬が短距離メインのオヌシナニモノと今年C級に降格したフジヤマブシだけとなってしまって文字通り敵なしとなった。
では、三連覇はもう決まりなのか。いや、まだ勝負付は終わっていないと虎視眈々と狙う者がいる。

百万石賞トライアル利家盃2着、トランスナショナルである。

気合十分(Photo by ぺこ)

トランスナショナルはセン馬の7歳。中央でデビューをしてオープンクラスで走っていたのでその名に覚えがある中央競馬のファンもいるかもしれない。
そんな馬が今年アルデバランS10着の後に金沢に移籍。
中央オープン馬の移籍に地元では話題と期待を集めた。
しかし、移籍初戦の笠松でのマーチカップは1番人気に推されるも7着、金沢に戻っての2戦目はデビュー以来初で最短距離の1400m戦でオヌシナニモノの3着ともどかしい結果が続く。
陣営の試行錯誤が花開いたのは移籍3戦目の1700m戦。
中団からレースを進めると早めに先頭に立って後は独走、1:48:2の好タイムで7馬身差をつけて優勝し、ファンも関係者も認める百万石賞トライアル利家盃の有力候補に躍り出たが。

「馬場の影響は大きくありました」

利家盃の後、井樋厩舎の柴田調教助手が残念そうに語る。
利家盃は強い雨の中、不良馬場で行われてハクサンアマゾネスが後続に7馬身差をつけての優勝。
トランスナショナルは後方からレースを進めるも2着争いを制するのがやっとと言う感じの2着だった。
しかし、トランスナショナルは戦績を見ると不良や重での好走はなく、良馬場を望んでいた所。持ち味の切れる脚を削がれてしまったようだ。

「松戸騎手も『前走より明らかに進んでいかず常に7割程度の走りだった』とコメントしていました」

この事からもハクサンアマゾネスに付けられた7馬身で勝負付が済んだと見るのはまだ早い。

「状態面で連戦の疲れもあったので。今回はしっかりリフレッシュ出来て立て直せている勝てると思います」

陣営はトランスナショナルの初重賞への手ごたえを感じ、鞍上に大井の和田譲治騎手を招いて必勝態勢を組む(松戸騎手は同厩舎のサンライズハイアーに騎乗予定)。
天気も金曜までは荒れるも週末には回復すると言う予報で後押しをする。

「この馬で年度代表馬を取りたいね」

柴田助手が力強く語る。その為には最強女王ハクサンアマゾネスを越えて行かなければならない。
トランスナショナルと井樋厩舎の挑戦は続いて行く。

調教の動きよし(Photo by ゆうか)

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今年金沢でデビューした加藤翔馬騎手、同じ厩舎の先輩吉原寛人騎手へのインタビュー等掲載されています。

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