「そうだな…君は素晴らしい、モルモットになるだろう」
怪しい目つきでトレーナーに語りかける、ウマ娘・アグネスタキオン。
日々、肉体改造を目的とした研究を重ねていて、担当トレーナーに薬やサプリメントを飲ませ実験体とすることも。
なぜ彼女は、ここまで肉体改造にこだわるのでしょうか?
その答えのカギは、彼女の現役時代──そして引退後の彼女の馬生にありました。
今回は、ウマ娘アグネスタキオンと、史実馬アグネスタキオンをご紹介していきましょう。
アグネスタキオンの目標レース
デビュー戦に出走
アグネスタキオンは父サンデーサイレンス、母アグネスフローラのもとに産まれました。父は言わずと知れたアメリカ出身の大種牡馬、母も桜花賞馬という点だけでも十分期待されていたのですが、兄のアグネスフライトがダービー馬ということもあり、アグネスタキオンは幼駒時から大きな期待を背負ってトレーニングに励むことになりました。
ちなみに「アグネスタキオン」という名前は、冠名であるアグネスに「タキオン(Tachyon)」という、いまだに存在は確認できていない超光速の物質をあわせて命名されています。そうした名前の由来からも、デビュー前当時のアグネスタキオンにかかっていた期待の大きさがわかるのではないでしょうか。
いざ迎えたデビュー戦。
調教のタイムがそこまで早くなかったということもあり、3番人気でしたが、レースでは才能を発揮します。後方7番手から前方集団を見る形でレースを進め、最後は上がり3ハロンを(600m)を33.8秒というタイムで駆け抜け、2着に3馬身差をつける堂々の1着でゴール。
これが、アグネスタキオンの伝説の始まりでした。
弥生賞で5着以内
新馬戦を勝利したアグネスタキオンは、ラジオたんぱ杯3歳Sに出走します。
ラジオたんぱ杯は現在年末の中山競馬場で開催されている、ホープフルステークスの前身となったレースです。最近では無敗の3冠馬コントレイルが勝利したレースとしても知られていますが、平成でもエピファネイア、ヴィクトワールピサをはじめとした多くの名馬が勝利した、言わば名馬の登竜門となっていたレースです。
ここでもアグネスタキオンはここでも危なげない競馬を披露し、後のダービー馬・ジャングルポケット、白い怪物・クロフネといった強敵に2馬身以上の差をつけ圧勝。この時鞍上の河内騎手が「次元の違う馬だと確信した」とコメントしているように、翌年のクラシックは間違いなくアグネスタキオンが引っ張ると、多くのファンが確信しました。
年が明け3歳になったアグネスタキオン。陣営は、クラシックの前哨戦として弥生賞を選択します。
多くの競走馬がこの”弥生賞”をクラシックの前哨戦として挑戦してくるのですが「アグネスタキオンが出るなら……」ということもあり出走を回避する馬が続出。史上最も少ない8頭立てでのレースとなりました。
そのような経緯と2歳時の走りからアグネスタキオンは文句なしの1番人気(単勝1.2倍)に支持されます。
レースでは不良馬場とパワーが必要なコンディションではありましたが、ここでもアグネスタキオンのスピードは色褪せることはありませんでした。先行しつつも上がり3ハロンを最速で駆け抜け、2着のボーキングに3馬身をつける圧勝。
この勝利で、クラシック初戦・皐月賞へ視界良好となったアグネスタキオン。
もし皆さんが、アグネスタキオンのようにデビューから負けなし、そして圧勝を重ね続けるウマ娘の担当トレーナーであれば、否が応でも皐月賞勝利、そして3冠ウマ娘になることを期待してしまうのではないでしょうか。関係者、そして多くのファンが、同じような期待をアグネスタキオンにしていました。
皐月賞で5着以内
いよいよ、アグネスタキオンは皐月賞に挑戦します。
当然のように1番人気でしたが、さらにすごいのはそのオッズ。クラシック初戦では異例の単勝1.3倍という支持が集まりました。
「アグネスタキオンにとって、皐月賞は通過点でしかない」と、多くのファンがアグネスタキオンの勝利を期待していたことでしょう。
弥生賞と同様、スタートから先行したアグネスタキオン。小回りの中山競馬場をうまく立ち回り、最後は計算通り4コーナーから抜け出します。後のグランプリホース・ダンツフレームの追い上げも物ともせず、まずはクラシック1戦目の皐月賞を制しました。
多くのファンがこの皐月賞でのアグネスタキオンの走りを見て「今年はアグネスタキオンの年」「三冠馬は間違いなし」と、シンボリルドルフ以来となる無敗3冠を夢見ました。
日本ダービーで5着以内
皐月賞を勝利したアグネスタキオンの次なる目標は、もちろん日本ダービーです。
トレーナーの皆様も、担当ウマ娘がデビューから皐月賞まで無敗で勝ち進んでいたら、同じように3冠を意識し、トレーニングにも力が入るのではないでしょうか。
アグネスタキオンにとって、ダービーは3冠を取りに行くためにも大事なレースですが、さらに、兄アグネスフライトとの兄弟ダービー制覇というとても大きな意味を持ったレースでもありました。
しかし、とある報道が届きます。
「アグネスタキオン故障」
無敗3冠、兄弟ダービー制覇を期待するファンの元に、衝撃が走りました。
屈腱炎という脚の炎症でした。これは競走馬にとって、致命的な怪我です。
アグネスタキオンはダービーを回避し放牧に出ましたが、2001年の8月29日付で競走馬を引退し、種牡馬として第二の馬生を歩み始めました。
引退後のアグネスタキオン
惜しまれつつ引退したアグネスタキオンですが、今度は種牡馬として競馬ファンを驚かせます。
初年度産駒がいきなり新潟2歳Sを勝利すると、ロジックがNHKマイルCを勝利するなど、種牡馬としても只ならぬ才能を発揮。その後も、皐月賞を制したキャプテントゥーレ、自身が出走することがかなわなかったダービーを制したディープスカイ、そして歴史的名牝ダイワスカーレットと、多くの名馬たちをターフに送り出します。
亡くなった父サンデーサイレンスの後釜として日本の競馬界を牽引し、2008年にリーディングサイヤー(産駒獲得賞金日本1位)を獲得するなど、種牡馬としても日本の競馬ファンを多く魅了しました。
競走馬としては志半ばで競走馬を引退したアグネスタキオンでしたが、産駒の活躍を見た関係者の多くは、アグネスタキオンが長期間にわたり種牡馬として大活躍し、その血を広げていくことを期待していました。
──しかし、その願いもむなしく2009年の8月、アグネスタキオンは急性心不全でこの世を去りました。
最後に
アグネスタキオンという1頭のサラブレッドの馬生をご紹介してきました。
いかがだったでしょうか?
もし仮に、例えゲームの世界の中でも、担当していたウマ娘が皐月賞まで無敗で勝ち上がり、ダービーを前に引退……となってしまうと、悔しさで一杯になってしまうのではないでしょうか。
ウマ娘のアグネスタキオンがトレーナーを実験体として、日々肉体改造を研究している理由もお分かりいただけるかと思います。
現実世界で怪我が原因で志半ばで引退したアグネスタキオン。
彼女の実験の数々は「できることなら、ウマ娘の世界では怪我をせず最後までトレーナーと……」という、彼女の強い思いの表れなのかもしれません。そしてそれをお願いできるのは、1番近くにいて1番信頼できるトレーナーただ1人なのです。
モデル馬のアグネスタキオンは、競走馬として4戦で伝説となり、父としてわずか8年で多くの名馬をターフに送り出したました。そんな彼を多くの競馬ファンの間がこう呼びます。
「幻の3冠馬」と。
今では、長年幻のままであったアグネスタキオンの3冠に、多くのトレーナーさんがウマ娘の世界で挑戦しています。
不思議な雰囲気をまとい、掴みどころのない彼女に翻弄されているのではないでしょうか?
しかしまさにそのキャラクター性こそ、多くの競馬ファンの前に突然現れ、そして”タキオン”という名の通り瞬く間に消えていった、モデル馬・アグネスタキオンがとても上手く表現されていると思うのです。
この記事を読んでくださったトレーナーの皆さん、是非これからも、彼女となったアグネスタキオンの実験にお付き合いされてみてください。
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