CBC賞は私が競馬を始めた1990年代前半は6月に開催される重賞だったが、1996年に中央競馬の開催日程が大幅に変更された際に11月の開催となり、2000年には12月の開催となった。その後、また6月の開催に戻るのだが、私にとって思い出の深いCBC賞は2004年の12月に行われていた時期である。当時は中京競馬場の改装前で、現在の中京競馬場とはコース形態が全く異なる平坦小回りのコースだった。
当時、私はロドリゴデトリアーノという種牡馬に注目していた。理由はよく穴を開けるからだ。ロドリゴデトリアーノはエリモエクセルというクラシックホースを輩出しているが、私の中のイメージとしては平坦小回りコースの開催後半のボコボコの馬場で激走するといった感じだった。
今回のテーマであるCBC賞に関連するロドリゴデトリアーノ産駒で思い出深い馬がゴールデンロドリゴである。名前を聞いただけでロドリゴデトリアーノ産駒だとわかる馬名だ。2003年のCBC賞ではGIで2度も掲示板入りしている割には全く人気になっていなかったので本命とした。すると、直線で後方から差してきて、熾烈な3着争いに食い込み3着となった。9ヶ月ぶりの休み明けにしては上出来だ。馬連の軸で狙っていたので馬券は惜しくも外れだったが、力のあることは示されたのでまだまだ見限れない。
この様に、ゴールデンロドリゴは「平坦小回りコース、特に開催後半の荒れた馬場で人気薄で激走する」という私のロドリゴデトリアーノのイメージをそのまま体現した馬だった。
翌2004年のCBC賞にもそのゴールデンロドリゴが登場した。前年3着馬も、函館スプリントSで2着はあったものの、それ以外のレースではパッとしなかったせいか、人気になっていない。単勝73.3倍の13番人気だ。もともと人気薄での一発というタイプであり、平坦コースが得意な馬なので、中京での大一番であるこのレースでは期待できる。馬場的にも3週目で時計のかかるようになってきた馬場の方が向いている。というわけで、前年に引き続きこの馬を本命とした。前年の反省を踏まえ、馬連だけではなくワイド総流しも買っておいた。
この時のゴールデンロドリゴの鞍上は赤木高太郎騎手に乗り替わりとなっていた。赤木騎手はこの年に中央に移籍した元園田競馬の騎手である。すでにJRAで過去5年間に20勝した地方騎手がJRAの騎手免許の一次試験を免除になる制度(通称「アンカツルール」)が始まっていたが、赤木騎手はその制度による移籍ではなく、1次試験から受験して地方から中央に移籍した初の騎手として注目を集めていた。その赤木騎手が、私がずっと追いかけているゴールデンロドリゴに騎乗するということで、注目していた。
ゴールデンロドリゴの身上といえば道中は後ろでためて、直線一気というものである。少なくともこのレースが始まる前まで、私はそう思っていた。しかし、今回は好スタートを決めたこともあり、逃げるギャラントアローの番手に付けた。「何やってんの」というのが正直な感想で、番手追走だと勝ち目は無いと思った。思わず「赤木、バカヤロー!」と叫んでしまった。しかし、直線に入ってからも脚色が衰えることはなかった。プレシャスカフェに先着を許したものの、見事に粘ってクビ差の2着と健闘した。バカヤローでも何でも無く、ゴールデンロドリゴの新たな面を引き出す好騎乗だった。前言撤回。赤木騎手には申し訳ない。追い込み一辺倒ではなく、前から行くレースもできるのか。それにしても中京では良く走る馬だ。
勝ったのは後に高松宮記念で3着に好走する4番人気のプレシャスカフェで、2着が我が本命ゴールデンロドリゴ。3着は9番人気のリミットレスビット。そして、4〜6着に1〜3番人気の馬が並ぶ。ここまでの6頭の着差がすべてクビ差の接戦で、ゴール前の攻防に見応えのあるレースだったが、その6頭の中で人気のない3頭が馬券圏内に入った。私の馬券は313.4倍の馬連が的中しただけではなく、ワイドを2本的中した。ワイドのうち2着3着の方は万馬券だった。一気に万馬券を2本的中だ。ゴールデンロドリゴを本命としたのが(予想とは違う展開だったが)炸裂し、さらに3着にも人気薄が突っ込んできた。
それから1年後、CBC賞の出馬表にゴールデンロドリゴの名前があった。過去2年が3着→2着なので、今回は1着かと淡い期待をして、本命とした。しかし、降雪のため9レース以降のレースが取りやめとなり、CBC賞も中止となった。翌週代替開催が行われ、出馬表にゴールデンロドリゴの名前はあったものの、今度は出走取消となった。CBC賞3年連続出走はならず、そのまま引退となった。もし、2005年のCBC賞が予定通りの日程で行われていたら、ゴールデンロドリゴはどんなレースを見せてくれただろうか?