[フェアリーS]波乱連続の重賞。2戦2勝馬メイクアスナッチ、阪神JFの5着馬ミシシッピテソーロらが集結! - 重賞プレビュー

波乱になりやすい重賞 フェアリーS

1月の3日間競馬の最終日に開催されるフェアリーS。

中山芝1600Mで行われる3歳牝馬のレースですが、過去10年を見ても、1番人気の馬が1勝、2着2回しか入らず、10番人気以下の馬が3勝、さらには2着にも2回食い込んでいるという波乱傾向のレースです。おそらく今年も、その波乱が続く可能性は高いでしょう。

波乱になりやすい要因のひとつが、3歳牝馬の芝1600Mとしては前年の12月に阪神JFがあって、同年の4月の桜花賞があるというスケジュールでしょう。有力馬にとっては休養の時期であると同時に、このレースを使っても桜花賞まで調子を維持するのが難しいという時期の開催になります。昨年のフェアリーSの勝ち馬のライラックは後にエリザベス女王杯2着と健闘し、フェアリーSで2着のスターズオンアースは後に桜花賞・オークスと二冠を制したように素質馬の活躍はありますが、過去10年の3着以内30頭の内、後の桜花賞で3着以内に入った馬は3頭のみと、桜花賞に直結しにくいレースであることも事実です。

一方で前走新馬戦を勝って次走フェアリーSに出走した馬が3勝、2着1回、3着4回、前走未勝利戦の次走でフェアリーSに出走してきた馬が3勝、2着2回、3着5回と、新馬・未勝利戦を勝った勢いそのままにフェアリーSでも好走するケースが見受けられます。ましたが、近走の状態や勢いそのままに馬券圏内に入る馬が多い波乱傾向にあるレースと言えるでしょう。

フェアリーS 有力馬紹介

波乱傾向なのは周知の事実ですから人気が分散する可能性が高いですが、中でも人気を集めそうなのがルメール騎手騎乗のエナジーチャイムでしょう。新馬戦を勝った後に京王杯2歳S(4番人気)に挑みましたが8着。出遅れながらも上り3ハロン最速の33秒3で伸びてきましたが、前々で決まってしまった同レースでは展開負けと言えます。距離が延びて、経験を積んだ今なら…というところでしょうか。

その京王杯2歳Sで3着と先着したのがスピードオブライト。道中は2番手を追走し、逃げたフロムダスクは交わせず、勝ち馬に交わされての3着とスピードを見せました。ただ、今回は1600Mへの距離延長が課題になるでしょう。

実績的にはミシシッピテソーロが一歩抜け出している印象です。今年のメンバーでは3頭しかいない2勝馬の1頭ですし、昨年の阪神JF(G1)では5着と健闘。ただ、今回は同レースで騎乗した原騎手ではなく、鮫島駿騎手への乗り替わりとなります。加えて同馬は6月→8月→10月→12月と使ってきていて、前走の阪神JFではマイナス14キロでの出走。余力が残っているかどうかも気になるところです。

2戦2勝と底を見せていないのがメイクアスナッチ。前回と同じく戸崎騎手騎乗でこちらも人気になりそうですが、新馬戦が8頭立ての芝1200M、前走が7頭立ての芝1400Mで先行しての勝利でした。こちらは多頭数の芝1600Mにどう対応するかが鍵になりそうです。

メンバー唯一の重賞勝ち馬であるキタウイングも注目です。新潟2歳Sを未勝利戦から連闘で勝利したように1600M戦に適性があるのは確かです。ただ、前走の阪神JF(14着)は前半600M通過が33秒7というHペースの中、4番手で追走して苦しくなりました。中団で追走できれば一変があっても良い馬です。

昨年の有馬記念を勝ったイクイノックスと同じく、木村厩舎のキタサンブラック産駒として注目のヒップホップソウル。2戦して1勝、2着1回とまだ底を見せていませんし、前走のベゴニア賞では牡馬混合でも1番人気に支持されたほどの素質馬です。レースでは前半で接触がありながらも2番手を追走していましたがクビ差届かず2着。1600M戦への適性も高く、鞍上・松山騎手も新馬からの継続騎乗となります。そうした点を踏まえても、地力上位と言えるのではないでしょうか。

新馬戦を勝ってこのレースに臨むのがリックスター。レースでは2番手につけて進み、残り200Mで先頭に立って押し切るというセンスの良さを見せました。まだ完成は先と考えていた素質馬が新馬で勝つ点に、伸びしろの大きさを感じます。鹿戸厩舎のエピファネイア産駒という点は、21年の皐月賞、天皇賞秋、有馬記念を勝ったエフフォーリアと同じ。同様の連勝街道を期待したいところです。

前走1600M組が好結果

過去10年のフェアリーSの3着以内30頭の内、前走の距離で区別すると、前走1600Mと同じ距離の馬が7勝、2着6回、3着6回と圧倒的な成績でした。前走のコースは様々でしたが、人気の馬でも穴馬でも前走は1600Mの馬が好成績を残しています。距離延長は1勝、2着1回、3着3回に対し、距離短縮は2勝、2着3回、3着1回と、延長よりは短縮の方がやや有利でした。最後に登り坂のある中山コースではスピードで押し切るのは難しそうです。

加えて今年のメンバー構成だと、前走で先行していた馬が多い上に、1600Mへ伸びてどうか、という馬がいます。前述の傾向通りなら前走短い距離でスピードで押し切ってきた馬たちが失速して、差し馬が台頭する可能性も十分あると言えそうです。


フェアリーSは波乱になる下地があるレースですし、実際に近年も波乱の決着が続いているレースです。

個人的に有力と思える馬を取り挙げてきましたが、ここで取り挙げなかった馬が3着以内に入る可能性も十分あるレースです。何分、キャリアの少ない3歳牝馬で取捨判断が非常に難しいレースであるのは確かです。この記事が皆様の参考になれば幸いです。

写真:かぼす

あなたにおすすめの記事